「マンション管理」のチェックポイント<実践編①>中古マンションを蝕む「最大の敵」とは?

「マンション管理」のチェックポイント<実践編①>中古マンションを蝕む「最大の敵」とは?

2019.12.19

前回の<基礎編>ではマンションの「最大の敵」は「水」。

その「水」は雨や湿気として「外からくる水」と建物の中の給排水管を通って「内からくる水」としてやってくる、ってことをお伝えしました。

 

マンションの管理状態をみるための最大のチェックポイントは「内からくる水」と「外からくる水」それぞれの対策としてしっかり「修繕工事」が実施されるか

という点につきます。

 

では具体的にどうやって見極めていけばよいのでしょう?


目次

1 「長期修繕計画」って何?細かくてよくわからないんだけど!

2 「長期修繕計画」で見ておくべき2つのポイント①:「外からくる水」への守りは万全か?

3 「長期修繕計画」で見ておくべき2つのポイント②:「内からくる水」への守りは万全か?

4 「内からくる水」からマンションを守ることは難しい!

5 最後の落とし穴!「計画」があるだけで信用してはいけない!

6 まとめ

 

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1.「長期修繕計画」って何?細かくてよくわからないんだけど!

物件探しをはじめていたり、いくつか物件の情報をみていたりしている方であれば「修繕積立金」という言葉はきいたことがあるでしょう。

これはマンションの建物全体の修繕工事のために各お部屋の所有者のみんなで少しずつ積み立てている「貯金」のようなものです。

 

「このマンションは修繕積立金が1億円たまっているから安心です!」なんてセールストークをきくことはありませんか?

でもちょっと冷静に考えてください。

「修繕積立金」が貯金のようなものだとして、その貯金って何のためにためたものですか?

いつ、何につかうつもりでためたお金でしょうか?

こういった情報がなければ本当に「安心」かどうかはわかりません。

マンションによっては1億円あっても安心できないこともありますし、全然たまってなくてもさほど心配いらないこともあるのです。

 

そんな「修繕積立金」を「いつ」「どんな工事に」使う予定なのかを定めたものが「長期修繕計画」です。

あまり見たことない方も多いと思いますので下図をながめてみてください。

これは国交省が2008年に発表した「長期修繕計画」の標準様式です。

多くのマンションではこんな風に、縦軸に数10個もの細かい「修繕すべき項目」を洗い出して、
横軸に通常は30年くらい先までの年数をとって、「いつ、いくらで工事するか」を記載する形で作成されています。

長期修繕計画

 

2.「長期修繕計画」で見ておくべき2つのポイント①:「外からくる水」への守りは万全か?

ここで思い出してください。鉄筋コンクリートの最大の敵は「水」。

まずチェックすべきは「水」からの建物を守るための工事がきちんと計画されているかどうか、です。

 

たいていのマンションでは長期修繕計画の中で10年~15年くらいに一度、いろんな項目に数字がたくさんならんでいる年度があります。

さきほどの表で赤ペンで囲った①の部分です。

これがいわゆる「大規模修繕工事」というもので、数千万円から数億円程度の大きなお金をかけて建物のメンテナンスをしています。

これが「外からくる水」から建物を守る工事です。

 

細かい項目をざっとながめると屋上防水工事、外壁塗装工事、といったマンションの外側をなおすための工事がずらっと並んでいることがわかります。

多くのマンションではこういった、「外からくる水」への守りとしての大規模修繕はきちんとおこなわれていますし、計画もしっかりと立てられています。

問題は次の「内からくる水」への守りです。

 

3.「長期修繕計画」で見ておくべき2つのポイント②:「内からくる水」への守りは万全か?

細かい項目のところに給水管、排水管といった項目があります。

まず注目していただきたいのはこの給水管、排水管の工事の「周期」です。

こちらは先ほどの表で青ペンで囲った②の部分です。

つかわれている材質によっても異なりますがだいたい30年~40年に一度、取り換える必要がある、ということです。

 

次に注目していただきたいのは給水管や排水管の更新に必要な工事費。

先ほどの表では30年目に予定されている給水管の更新工事が1400万円強、同じく排水管の更新工事が1900万円弱。

あわせて3300万円もの修繕工事費がかかっています。

 

「外からくる水」は沢山数字が並んでいる箇所だから「大がかりな工事やるのかな」なんてイメージできるかもしれませんが、
こちらの給水管や排水管の更新工事は結構大きな金額が記載してあるのに1行でさらっと書いてあるのでついつい見落としそうですね。

 

4.「内からくる水」からマンションを守ることは難しい!

給排水管の更新は「内からくる水」から建物を守るために、非常に重要な工事です。

一方で非常に負担も重い工事で、マンションによってはこの1項目だけで数千万円~1億超となることもよくあります。

それだけに対応しきれていないマンションも数多くあります。

 

よくあるパターンは以下の3つ!

・給水管や排水管の更新をそもそも計画化していない

・給水管や排水管の「更生」工事だけを計画している
※詳しくは省きますが「更生」工事で節約しつつ管の延命をはかるものです。
いずれ管そのものをとりかえる「更新」が必要になります。

・給水管や排水管の更新を計画化しているが工事を行うための「修繕積立金」が全く足りてない

 

ここでもう一度、最初にみなさんが考えた「どのくらい古い物件までアリか」を思い出してください。
 →(築10年、築20年・・・築50年も、全部同じ「中古マンション」 どのくらい古い物件までアリ?)

 

「新耐震」「旧耐震」どちらをターゲットにしてても、リノベ予算を確保しつつ、できるだけ便利なところに物件を買いたい!って考えているのであれば、
築20年超の物件を探す方が大多数でしょうし、旧耐震の物件も視野にいれているのであれば必然的に築40年程度以上になります。

 

そうです、みなさんが購入候補にいれている物件はいずれも「水」からの守りのために非常に重要な給水管や排水管の更新時期が迫っているものなのです。

 

にもかかわらず、対象になる多くの物件では給水管・排水管の更新にうまく対応しきれていません。

築30年近い「古い」物件を選ぶにあたって、

・給水管・排水管を更新しているか

・していなければ更新工事の予定がしっかり計画されているか

・その計画を実行するための「修繕積立金」が貯金できているか

をみておくとそのマンションの「管理」のスタンスがみえてくるのです。

 

5.最後の落とし穴!「計画」があるだけで信用してはいけない!

ここで最後にもう一つ、「長期修繕計画」はあくまで「計画」です。

みなさんは「夏休みの計画をつくったけど宿題が全然おわらなかった」「受験勉強の計画たててたけどついついテレビをみてたら時間が経ってた」なんて経験はありませんか?

計画だけをみていても実際に実行されなければあまり意味がありません。

 

もちろん、数十年間に及ぶ計画なので、途中で変更がでてくるのは当然です。

消費税があがれば工事に必要なお金もかわってきますし、物価や工事に必要な人件費なんかも変動します。

「長期修繕計画」は5年に一回程度は見直した方がよい、とされていますが、「10年20年前につくった計画をそのまま見直していない」なんていうのもあまりいい傾向ではありません。

・計画をたててから今まで計画にそって修繕工事を実施してきているか

・計画していたが工事を見送った際にはきちんと理由があるか

・そもそも計画をたてた時期が極端に古くないか

・現在の修繕積立金の残額が計画上の残額と近い水準になっているか

・実際にマンションの棟内で漏水事故などは頻発していないか

 

なんかをみることで「長期修繕計画」が実態に即した「しっかりした」計画なのかどうかが判断できます。

工事の項目は多数あるので、特に重要な「水」からの守りの工事を中心に計画が実際に運用されている形跡があるしっかりしたものなのかどうかを見極めましょう。

 

最初に触れた「修繕積立金が1億円たまっています!」とう営業トーク、今振り返っても本当に安心できますか?

 

・来年2億円かけて大規模改修する予定

・本当は3年前に1億2千万円かけて大規模改修する予定だったのにお金が足りなくて延期中

・長期修繕計画の見直し中で今後の修繕費がどのくらいかかるかよくわからない

・ほぼ計画通りに修繕積立金が1億円たまっている

 

同じ「1億円の修繕積立金がたまっている」という状況でも上にあげた3つでは意味が全く違います。

この中で安心できそうなのは一番下のケースくらいではないでしょうか?

 

もちろんいろんなマンションをみていると給水管更新までみていくと修繕積立金が不足しそうなケースが殆どです。

これだけ大掛かりな計画であれば、計画通りに進んでいないことも多々あります。

そんなときに「修繕積立金が不足するから買わない」っていってると買える物件はなくなります。

 

長期修繕計画やその実行状況が万全とは言えないときに、まずリスクがあることを自分自身で認識しておいた上で

・月々自分が支払う修繕積立金はいくら位まで上がる可能性がありそうか

・値上がりの可能性を踏まえても自分にとって月々の支払いは大丈夫そうか

を冷静に考えた上で「買う」「買わない」を判断した方がよいでしょう。

 

6.まとめ

「長期修繕計画」ではまず「外からくる水」と「内からくる水」から建物を守る修繕工事がしっかりと計画されているかをチェック、
再度に忘れずに「計画はしっかりと実行されそうか」をみてみましょう。

でもこれって、細かい資料もいるし、資料の見方も難しい!

「私にそんなことまでチェックできるかな」なんて不安なときは、信頼できるパートナーに相談してみましょう。

 


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