【東京リノ日和6】<まちとマンション探訪~八潮パークタウン>

東京リノ日和 まちとマンション探訪編の第二弾は、品川区の八潮パークタウンを訪ねてみました。団地リノベーションにふさわしい大規模団地です。

<橋を渡った別世界。海に浮かぶ大規模公園都市>

八潮パークタウンは全69棟 総戸数2,898戸 居住人口12,000人を超える超大規模団地です。うち36棟 1,606戸が分譲住宅として供給されました。

八潮パークタウンは、京浜運河を挟んで海側に埋め立てられた人工島(大井埠頭)の一画を占めています。八潮パークタウンへは京浜運河に架けられた3本の橋を渡ってアクセスします。

橋はいつの時代も別世界への入口を象徴する存在でした。橋を渡るという行為は、別世界へと至る期待感を高めてくれます。こうした別世界感こそが八潮パークタウンならではの魅力といえます。

東京モノレール大井競馬場駅を経て、京浜急行立会川方面に至る勝島橋から見た八潮パークタウン。まさに海に浮かぶ緑の公園都市です。

八潮パークタウン

敷地のほぼ中央と勝島エリアを結ぶ人道橋かもめ橋から見た八潮パークタウン(正面奥)。かもめ橋は吊橋スタイルの優雅な橋です。

【東京リノ日和6】まちとマンション探訪~八潮パークタウン

京浜運河は大小の船が往来します。運河の対岸に見えるのは東京モノレール羽田線です。

京浜運河

<森に囲まれたアイランドシティ。>

橋を渡った先には四周が森に囲まれたアイランドシティが出現します。

西側の京浜運河沿いに設けらた京浜運河緑道公園。緑に覆われた水辺の散歩道が気持ち良さそうです。

京浜運河緑道公園

東側に広がる大井ふ頭緑道公園。ここはまるで鬱蒼とした森の中の小道です。木漏れ日が踊っています。

大井ふ頭緑道公園

大井ふ頭の物流機能との緩衝ゾーンとして設けられた広大なグリーンベルトの存在が、八潮パークタウンを森に囲まれたアイランドシティにしているわけです。

<中層、高層、スキップフロアなどバラエティに富んだ80年代団地>

八潮パークタウンの分譲棟が建てられたのは1980年代。住宅マーケットにおいて商品企画を競い始めた80年代は、旧住宅公団などによる団地もさまざまなバリエーションが作られました。八潮パークタウンの36棟の分譲棟もバラエティに富んでいます。

中庭を挟むように建てられた5階建ての中層棟。木が大きく育った中庭空間が贅沢です。

八潮パークタウン 外観

斜面を利用して作られた南欧風の瓦屋根の意匠をまとった階段室型の5階建ての中層棟。

八潮パークタウン 中層棟

ミニマルな14階建ての高層棟。まさに団地デザインの王道です。

八潮パークタウン 高層棟

当時流行ったスキップフロアの中層棟。開放片廊下型に比べ両面バルコニーが実現できる住戸の割合が増えます。

八潮パークタウン 中層棟 スキップフロア

<充実するオープンスペースの緑>

街区は大きな隣棟間隔が確保され、大小さまざまなオープンスペースが配置されています。開発から30年以上たち樹木は大きく育っています。

交差点に設けられた大きなスクェア。要所要所にこうした憩いの場が設けられています。

八潮パークタウン オープンスペース

まるで林間住宅と見紛いそうな住棟前の芝生と木立。花壇を囲んでベンチが置かれた居心地が良さそうなポケットパーク。

八潮パークタウン ポケットパーク

<周辺開発で生活利便が飛躍的に向上。もちろん子育て環境も充実>

分譲当時に比べ周辺開発などが進み、買物利便が飛躍的に向上しているも八潮パークタウンの大きな魅力です。

団地内には、スーパーマーケット、商店、理美容、歯科、接骨医、飲食店、ゲームセンター、ゆうちょATMなどが集積したショッピングセンター パトリア品川店があります。

団地の外に目を向けると、隣の勝島エリアにはショッピングモール ウィラ大井が、りんかい線品川シーサイド駅にはイオン品川シーサイド店があり、団地外にも徒歩圏に大型の商業施設が充実しています。

さらに足を伸ばせば、旧東海道に並ぶ顔の見える個人商店や立会川駅付近のごちゃごちゃした雰囲気の商店街も楽しめます。

立会川駅の北浜川児童遊園にはこの地にゆかりの坂本竜馬の像が設けられています。ちょうどこの地で黒船警護に任務にあたっていた20歳前後の竜馬像です。竜馬が浜川砲台(現在の新浜川公園あたり)から黒船に光らせていた江戸湾とは、ちょうど八潮パークタウンがあるあたりだったわけです。

北浜川児童遊園 坂本龍馬像

かつて八潮パークタウン内には3つの小学校と2つの中学校がありました。現在は、中高一貫の八潮学園に統合されています。団地内には幼稚園と保育園が4箇所設けられています。

こちらは品川区立の八潮わかば幼稚園。32号棟(賃貸)の建物の1階に設けられています。広々とした園庭が贅沢です。

八潮わかば幼稚園

各種医療機関はもちろん、図書館、児童館センター、温水プールなど団地内に生活関連施設が一通り揃っているのは大規模団地ならではです。

<思わず感動するダイナミックな都市風景や水辺の景観>

まだまだある八潮パークタウンの魅力。

このダイナミックな景色は団地の東隣に広がる新幹線車両基地です。その先には大井ふ頭と東京湾が望めます。鉄ちゃんでなくとも、目の前を遮るものがなにもないパノラミックな都市風景には感動を覚えるのではないでしょうか。大井中央陸橋からはもっと間近に見ることができます。

新幹線車両基地

団地西側には京浜運河の景観が広がります。水辺に佇むと東京とは思えない空の大きさに感激します。

京浜運河

道路を挟んで南側の大井ふ頭中央海浜公園内には、夕やけなぎさや干がた保全地区などがあり、海辺の環境や生態系が残されています。ここには野鳥はもちろん、魚や海の生物なども息づいています。まさに八潮パークタウンは海に浮かぶアイランドです。

<嵐ファンの聖地。映画『ピカ☆ンチLIFE IS HARDだけどHAPPY』はここが舞台>

最後に八潮パークタウンが舞台になった映画をご紹介しましょう。『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』(堤幸彦監督2002)です。

今をときめく嵐が映画に初主演した作品で、その舞台となるのが品川区にある「八塩」という大規模団地です。実際のロケはここ八潮パークタウンで行われました。

団地で生まれ育って、いつも団地でつるんでいる高校三年生に嵐の5人が扮します。幼馴染との幸福な時間を過ごしてきた共同体から、卒業を機に否が応でも外の世界と向き合うことになるという、いわゆるイニシエーションの物語です。

生まれ育った幸福な共同体の場として団地が位置づけられています。奇妙な住人たち、仲間と過ごす無為な時間、淡い恋、夏祭り、外の世界への恐れとあこがれ、将来の不安、苦い現実、友情、悲劇など、まさにタイトルの『LIFE IS HARDだけどHAPPY』な青春物語がここ八潮パークタウンを舞台に繰り広げられます。

ラストの団地からの旅立ちで象徴的に登場するのが京浜運河に架かるかもめ橋。やっぱり橋は内と外をつなぐ存在なのですね。

京浜運河に架かるかもめ橋

この映画以来、八潮パークタウンは嵐ファンにとって聖地のような存在なのだそうです。ロケに使われた団地のそこここに巡礼するファンが絶えないとのこと。このシリーズは続編も含めて計3本作られています。

海あり、島あり、森あり、暮らしあり。海に浮かぶ緑のアイランドシティ八潮パークタウン。嵐ファンならずとも一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

*八潮パークタウン(分譲36棟)

住所 : 東京都品川区八潮五丁目
交通 :JR山手線「品川」バス19分
    :JR京浜東北線、東急大井町線「大井町」バス13分
    :りんかい線「品川シーサイド」徒歩11分
    :東京モノレール「大井競馬場前」徒歩8分
    :京浜急行線「立会川」徒歩19分
総戸数 :1,606戸
構造・規模 : RC造 地上5階建て~SRC造地上14階建て
事業主 : 旧日本住宅公団、東京都住宅供給公社ほか
分譲年 : 1983年~

text and photos by 大村哲弥(プロジェ代表)

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