電気容量と給湯器

快適なマンションのリノベーションを支える電気と給湯。
今回は快適な暮らしの基本となる電気と給湯のリノベーションを考えてみました。

住んだあとではなかなか変更が出来ないところでもあるので事前の段階での検討が必要です。
ライフスタイルに応じて、必要な電気容量やガス給湯器の容量をしっかりチェックしましょう。

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リノまま編集部

リノままは「大きな企業の中の小さな設計事務所」として設計・工事・不動産それぞれの専門知識をもった少数精鋭のチームでひとりひとりのお客様と向き合っています

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1. 電気は「単相3線方式」配線かどうか要チェック

現在の新築分譲マンションでは電気配線は「単相3線方式」(40A以上の容量設定が可能で200Vが使える配線方式)が標準で、容量は当初の契約で40A~50A、最大で60A~10KvAまで可能というあたりが一般的だと思われます。

では、実際、必要となるアンペア数はどのくらいなのでしょうか?

図-1は東京電力のサイトに載っている最適なアンペア数を選ぶ目安です。

例えば、冬場の週末の炊飯時など、エアコン、TVをつけながらIH炊飯器と電子レンジを同時に使っているシチュエーションを想定するだけで40A近くになってしまいます。

これに他の機器の同時使用やエアコンの立ち上がり時の負荷などを見込んで計算すると、電気容量はやはり50A~60Aは必要という結論になりそうです。

築年数が古いマンションでは30Aまでしか使えない「単相2線方式」の配線のマンションもあるので、この場合は「単相3線方式」への変更が可能かどうか、管理組合と電力会社に確認する必要があります。

配線が「単相3線方式」の場合も、容量アップを前提とする場合は、事前に可能かどうか確認しておいた方が無難でしょう。

マンションに電力を引き込んでいる幹線の容量が既に余裕がなく、検討住戸の電気容量アップが難しい場合もありうるからです。

また、広さが15畳以上の広い空間に対応したエアコンやIHクッキングヒーターなどの200Vの電気機器を使用する場合は「単相3線方式」は必須となります。

「単相3線方式」かどうかは電気メーターに表示されています。

現在の契約アンペア数は分電盤のアンペアブレーカーに表示されていますので簡単に分かります。

2. 同時2箇所給湯の場合の容量の目安は20号

ガス給湯器の容量も要チェック項目です。

給湯器の容量は号数で表されます。

1号とは水温+25℃の温水を1分間に1リットル出湯する能力を表しています。

といわれても、実感がわかないので下記を参考にしてみましょう。

図-2は東京ガス、図-3はノーリツのサイトに掲載されている給湯器の号数の目安です。

これらを参照すると、シャワーとキッチンで同時にお湯を使いたい場合の容量として20号がひとつの目安になると思われます。

約20年前の1990年代前半ぐらいまでは、分譲マンションの給湯器の容量は高級マンション以外はファミリータイプでも16号や20号が一般的でした。

したがって築年数が古いマンションの場合は、給湯器の容量アップが可能かどうかの確認が重要になります。

容量を上げた給湯器の大きさが現在のスペースに納まるか、ガス管の容量は十分かなど事前にチェックしましょう。

また、追い炊き機能がないお風呂を追い炊き機能つきに更新する場合は、お湯を浴槽と湯沸器の間で循環させるための配管を増設する必要があります。

バスルームの近くに躯体を貫通するスリーブなどがない場合は、新たにスリーブを開ける必要があり、管理組合の承認を得ることが必要になります。

電気や給湯などに関してはやや専門的情報が必要となります。

事前の調査がしっかりしており、適切なアドバイスや管理組合への確認などをサポートしてくれるリノべーション会社だと安心ですね。