リノベーションのコンセプト 考えるためのコツ

断言します。コンセプトのはっきりしないリノベーションは必ず失敗します。

リノベーションでは間取りなどのプランニングや素材、色など無数に選択肢があります。細かなところだけにフォーカスしてしまうと自分たちが本当は何がしたかったか、何が大切だったか、を見失ってしまいます。

ではどうやってリノベーションのコンセプトを考えればよいか、ヒントの一部を公開します。

リノベーションのよくある失敗

コンセプトのはっきりしないリノベーションは失敗します。リノベーションでは具体的な検討を始める「前」の準備がとても大切です。

まずはよくある失敗例をみていきましょう。

いきなり物件探しをはじめる

「中古を買って、リノベーション」を検討する方が予算だけを決めてすぐに物件探しをはじめる、というのは失敗しやすいパターンです。

物件探しはエリアと広さと予算が決まればスタートを切ることができます。でも、その条件だけでは希望のリノベーションができる物件かどうかはわかりません。

いざ物件を購入したあとで、「お風呂を大きくしたかったのにできなかった」とか「キッチンの位置を希望の場所に移動できなかった」とか「間仕切りを壊して広い部屋にしたかったのに壊せなかった」といったリノベの制約が判明して途方にくれるケースは非常に多いです。

いきなり現地調査やプランニングをはじめる

今のお住まいのリノベを検討する方などで、すぐに現地調査にきてもらってすぐに設計や工事に入るというのも失敗しやすいパターンです。

具体的で細かな要望を伝えることだけにフォーカスしてしまうと、「あれもやりたい」「これもやりたい」とあちこち目移りしてしまいます。そうするとリノベーション費用が膨張して大幅に予算をオーバーしてしまいます。

リノベーションで失敗する理由

リノベーションに限らずどんなことでも失敗する最大の理由は「自分を見失う」ということにつきます。

リノベーションや物件探しなどは特に自分を見失いやすいものかもしれません。その理由は2つ。「選択肢が無数にあるから」か「何もわからない中でスタートするから」です。

リノベでは無数に選択肢がある

リノベでは間取りの作り方、素材の選び方、アクセサリー類など無数に選択肢があります。細かな検討をいきなりはじめると、「自分たちにとって何が一番大切だったか」を見失ってしまいますが、細かな選択ひとつひとつに嵌ってしまうとどんどんリノベ費がかさんでいきます。

リノベするお住まいが既にきまっている方は今のお住まいがイメージできるがゆえに細かいことばかりに目がいきやすく、大きな目的を見失いやすいのです。

「中古を買ってリノベーション」ではどんな物件を買うことになるかがわからない

物件探しから始める方は最初の段階では「どんな物件をリノベすることになるか」ですら全くわかっていません。そのため、「自分たちにとって一番大切な要素をリノベで満たすことができる物件か」という条件を予め検討しておかないと、本来買うべきではなかった物件を購入してしまう、ということになりやすいです。

リノベするお住まいがどんなお住まいかがわからない段階でイメージがつかない中では、物件探しの際には価格や駅距離などのわかりやすい条件ばかりを気にするために、「リノベのできること/できないこと」の重要な要件を見落としやすいのです。

細かなことばかりに目が行くこと、何もわからないからわかりやすいことにしか目がいかないこと、対照的ですが、この2つが失敗のもとです。

リノベーションのコンセプトのたてかた

それではどうやってリノベーションのコンセプトを考えればよいのでしょう?物件探しから始める方も今のお住まいのリノベを始める方もポイントは同じです。

リノベーションのことや住まいのことを考えるのではなく「暮らし」のことを考える、という点につきます。

なぜなら、今のお住まいをリノベーションしたい方も、物件探しとリノベーションを一気に進めたい方も、決して物理的な「家」が欲しいわけではありません。

新しくなった住まいでの「快適な暮らし」を求めて住まい探しやリノベーションを考えているはずです。

それなのに「暮らし」のことを考えずに駅距離や築年数などのわかりやすい物件の条件やリノベーションの素材や設備のことばかりをみていては失敗するのも無理はありません。

もちろんこういった要素はどれも大切なものではありますが、あくまで「快適な暮らし」のために必要な条件である、というだけであってそれがゴールではありません。

それでは「暮らし」を始点に考えるリノベーションの進め方の一例をあげてみましょう。

暮らし探し

そもそもリノベーションや住まい探しを考えはじめたのは、「こんな暮らしがしたい」という想いがあるからではないでしょうか?

リノベーションのプランや物件の細かい条件の検討に入る前に、まずは「どんな暮らしがしたいか」をじっくり考える「暮らし探し」をたっぷりやってみてください。

「暮らし探し」といっても決して難しいことではありません。日頃どんな風に1日を過ごしているかとか、リモートワークの頻度は高いかとか、どんな趣味があるかといった、自分の暮らしを見つめなおすことからはじまります。

そうすると、家で過ごすのはどんな時間か、これからは家ではどんな時間の使い方をしてみたいか、そのために家にはどんなスペースが必要か、といったこれからの暮らしの姿がおぼろげながら見えてきます。

「どんなスペースが必要」という内容までおりてくるとなんだかリノベーションにつながりそうな気がしてきますね。

今のお住まいで不満に感じている点を洗い出す、というのもよい方法です。特にご家族がいる方はご家族全員がそれぞれの視点でお住まいへの不満を書き出してみると思わぬ発見があるものです。

リノベーションや住まい探しのヒアリングでご夫婦それぞれに今のお住まいの不満をきいてみると、お互いに全く違った内容が出てくることがしばしばあります。

優先順位付け

こうやって暮らしを見つめなおすと、これからの「暮らし」で大切にしたいものが見えてきます。それらの中でどうしてもゆずれないものから順に優先順位をつけていく、というのが「暮らし探し」です。

この流れは物件探しから始める方でも今のお住まいのリノベを検討する方でも同じです。子育ての環境を大切にしたいから物件の立地に最もこだわる、とか、家族で話す時間を大事にしたいからリビングをできる限り広くしたい、とか、在宅ワークの際に仕事とプライベートのメリハリをつけたい、とか。

皆それぞれ「これからの暮らしのために大切にしたいこと」は異なります。それはリノベーションのプランに活かすこともあれば、物件探しの条件に活かすこともあります。

ただ、どんなケースでもとても重要なのがこの「優先順位」です。どうしても実現したいことと予算に余裕があればやってみたいこと、が整理できていないと後々予算オーバーで苦しむことになります。

また、リノベーションや物件探しで求める条件にはかならず「理由」があります。

単に「広いリビングがほしい」といっても理由は様々です。

「家族みんなでゆっくり過ごしたいから広いリビングがほしい」というのと、「ダンスが趣味でストレッチや練習をしたいから広いリビングがほしい」とか「友達を招いてホームパーティーをするために広いリビングがほしい」では意味合いが異なってきます。

物件やリノベーションに求める条件に必ず「理由」も含めて考えておくと、単に「リビングを広くする」以外のアイデアが出せることもあります。

「暮らし探し」では「これからの暮らしで大切にしたいこと」「その理由」「優先順位」を予め考えておきましょう。それが「リノベーションのコンセプト」そのものになります。

資金計画

もしお金が無限にあるのであれば、リノベーションのコンセプトづくりはここまでで完成です。でも、皆、多かれ少なかれ限られた予算の中で住まい探しやリノベーションをはじめます。なので全体の予算コントロールは非常に重要です。

無理してリノベーション費用をかけても、無理して高い物件を買ってみても、その後の暮らしが苦しくなってしまっては元も子もありません。なぜなら一番大切なのは「暮らし」です。住まいだけ立派でも暮らしがよくならないリノベーションは失敗です。

いくらまでのお金をかけてよいか、特に物件探し+リノベーションの場合は物件購入の諸経費も見落とすことなくまず総額予算をしっかり固める必要があります。

「暮らし探し」と「無理のない資金計画」のすり合わせ

「暮らし探し」と「資金計画」ができたらあとは両者のすり合わせです。「暮らし探し」から導き出した優先順位の高い譲れない条件から順にみていって、「予算の範囲内でどこまで実現できそうか」を見極めていきます。

もちろん最初の段階では希望する内容と予算が釣り合わない、なんてこともよく起こります。その際は今一度「本当に譲れない条件か」をまずは検証して安易に予算を膨らませることはないようにして進めましょう。

先に述べた「大切にしたいもの」と「その理由」の「理由」をどこまでしっかり考えたか、がここで意味をもちます。例えば「ご夫婦で一緒に料理をしたい」から「アイランドキッチンがほしい」という希望に対して、「アイランドキッチン」にしなくとも、Ⅱ型のキッチンをゆったりと配置することで「ご夫婦で一緒に料理ができる」スペースを確保できるかもしれません。

「理由」がはっきりしていれば、当初の希望とは別の方法で解決できるかもしれない、といった具合に「大切にしたいもの」をそこなうことなく無理な予算計画にすることもなくアイデアが生まれる可能性が広がるのです。

コンセプトがはっきりしたリノベーションのメリット

ここまでの作業は時間もかかるし骨の折れるものです。おまけにできるかぎり実際に新しくなった住まいに住む方全員でやっておく必要があります。

でもここをじっくり考えておくとこの先、リノベーションや物件探しで迷ったときに必ず原点に立ち返って考えることができます。

リノベーションや物件探しを進めていると、必ず迷ったり悩んだりする場面に出くわします。まだ見ぬ「これからの暮らし」や「新しい住まい」のことを考えているのだから無理もありません。

そんなときに、自分たちにとっての大切な「コンセプト」に沿った悩みなのか、コンセプトとはあまり関係ないところで目移りしているだけなのか、がわかるだけでもぐっとスムーズに進められるようになります。

コンセプトをはっきりさせてからリノベーションを進める最大のメリットはここにあります。

様々なコンセプトをリノベーションで実現した施工事例

ここからはリノままのリノベーション事例をご紹介します。

リノままでは「いきなり物件探しはしない」「いきなりリノベプランの作成に入らない」、まずは「暮らし探し」からスタートしています。

ここで紹介するお客様も「暮らし探し」を経て、途中で悩んだり迷ったりすることもありながらも心地よい暮らしを手に入れた方々です。

家族の時間を大切に考えたリノベーション

リノまま【リノベーション事例】 “家族思い”な快適ハウス

家族が集まるリビングは、昼間は寝室と一体化して広々した空間に。リビングの一角にお子様の勉強やPC作業などができるワークスペースをもうけたり、寝室のロフトは秘密基地のように子供たちが遊べるスペースがあったり、リビングから寝室へプロジェクターの映像を投影してホームシアターにできたり。家族のためのしかけが随所にちりばめられています。

趣味の時間を暮らしの一部に溶け込ませたリノベーション

リノまま【リノベーション事例】しあわせを奏でる家

ヴァイオリンの演奏が趣味のご夫婦。いつでも気兼ねなく練習ができるようにリビングの一角に防音室を設けました。お二人にとって暮らしの一部であるヴァイオリンの練習が暮らしの中にしっかり溶け込むように、内装もリビングとあわせ、スリット窓を通してリビングの気配も感じられようにつくられています。

ペットとの暮らしを大切に考えたリノベーション

リノまま【リノベーション事例】 My Favorite Place

リビングと一体化した愛犬専用スペース。昼間は一緒にゆったりとくつろげます。玄関には土間を広げて愛犬用のカート置場を確保。シューズインクローゼットには足洗い場も用意しています。

25年前の思い出を辿ったノベーション

リノまま【リノベーション事例】グリニッジビレッジの記憶

25年前にニューヨークにお住まいだったご夫婦がかつて憧れたのはグリニッジビレッジのアパート。記憶の中にある色や素材に想いをめぐらせて、素朴でタイムレスなお住まいをつくりあげました。

まとめ

リノベーションは素材や設備といった「物」よりも、憧れの「暮らし」を起点に考えていくとぐっと成功に近づきます。

リノベーションのコンセプトを固めるコツは今の自分たちの暮らしを見つめなおして、これからの理想の暮らしに想いをめぐらせる「暮らし探し」です。 そんな「暮らし探し」からはじまるリノベーションをやってみたい方は是非リノままにご相談ください