床のリノベーションに最適な床材を選ぶための基礎知識とポイント【事例あり】
- 公開日:2024.5.22
- 更新日:2024.9.14
毎日足が触れる床は、私たちの生活で一番なじみの深い部分と言えます。材質やデザインも多種多様。リノベーションで床を張り替えることで、お部屋の雰囲気や体感も一新することができます。ただ、床材は種類も多く、それぞれの特性もあるので、どれを選ぶのがよいか迷われるもいらっしゃるかと思います。この記事では、床のリノベーションで使われる素材や、その選び方、張り替えを検討する際の注意点、費用などを床のリノベーションの基本的知識をご紹介します。ぜひ皆様の床のリノベーションのご参考になさってください。
床のリノベーションに使われる素材
床のリノベーションでは、まずは素材選びがポイントとなります。ここでは、各素材の特徴を紹介します。
合板フローリング
複数の木材を圧縮し、接着剤で固定したもので、耐久性とコストパフォーマンスのバランスが良い床材です。機能性とデザイン性を両立したい方におすすめです。
【特徴】
- 木材が交互に貼り合わされているため、反りや割れに強い。
- 無垢フローリングと比べて安価。
- さまざまな木目や色合いがあるため、空間イメージに合わせやすい。
- 遮音材と一体になったものもあり、遮音の基準が定められているマンションで使いやすい。
【注意点】
- 表面が木材のもの、プリントしたシートのもの、貼り合わせる木材の厚みなど、仕様が様々なので見た目だけでない質感も確認して選ぶ。
- 異なる木材を貼り合わせてあるため、表面が薄い仕上げ材の場合はキズが付くと下地の木材が見えてしまい、キズが目立ちやすい。
無垢フローリング
無垢フローリングは、一枚の木から削り出された天然の木材をつかった床材です。美しい木目、優れた耐久性、自然素材ならではの温もりや香りが楽しめます。
【特徴】
- 木の香りや温もりを感じられ、空間に落ち着きをもたらす。
- 湿気を吸放出するので、室内の湿度を調整してくれる。
- 適切なメンテナンスをすれば長く使え、古民家の床のような経年変化を楽しめる。
- 接着剤がほぼ使われていないので、シックハウスなど健康面のリスクを低減。
【注意点】
- 合板フローリングに比べてコストは高め。
- 樹種により質感や傷の付きやすさなどが異なるので使用する場所に応じた選択が必要。
- 湿気を吸放出する半面、季節によって多少の反りや軋みが生じる。
フロアタイル
塩化ビニルで作られたタイル。石目調や木目調など多様なデザインの商品があります。耐水性に優れて、メンテナンスも容易なので、水回りの床などに適した床材です。
【特徴】
- デザインのバリエーションが豊富で、木目や石目、コンクリート、モザイクなど様々な模様が選べる。
- 防水性が高いため、キッチン、トイレ、洗面所などの水回りに最適。
- 水汚れや油汚れをはじくので、拭くだけで汚れがとれるなど手入れが楽。
【注意点】
- 耐水性に優れているものの、つなぎ目からは水が入り込みやすい。
- 耐熱性は低いので、高温にさらされると反りや歪みが発生する可能性がある。
- 見た目は天然素材でも、踏み心地や手触りは塩ビ素材なので質感が気になることも。
タイル(磁器、陶器、せっ器)
粘土や石などを焼いて作る、いわゆる一般的にイメージされる“タイル”です。磁器、陶器、せっ器などの種類があり、床のみならず、内装、外装の壁などにも多用途に使われている素材です。
【特徴】
- 汚れや傷に強く耐久性が高い。
- 風合いや色彩、形、材質感などの幅広いバリエーションがあり、高級感を醸し出す。
【注意点】
- 素材が固くクッション性がないので、長時間立っている場所だと足腰に負担がかかる。また、食器を落とすと割れやすい。
- 触感が冷たいので、冬場は寒さを感じる。
- 左官工事が必要で施工費が高め。
畳
昔ながらのい草と藁床の天然素材で作られるものや、塩化ビニルや和紙、建材ボードから作られるものなど、素材による種類があります。和室のほかにも小上がりやベッドなど洋室のワンポイントのリフォームでも使いやすい床材です。
【特徴】
- やわらかい触感なので直接寝転んだり、座ったりしやすい。
- 断熱性、保温性が高く、冷えを感じにくい。
- 天然素材で作る畳は、無垢材のように湿気を吸放出する性能がある。
【注意点】
- 天然素材の畳は、吸水性に優れている反面、湿気を好むカビやダニが発生しやすい。
- 5~7年程度で表替え、10〜15年程で新調が必要。
- 見た目は同じでも、塩化ビニル製や和紙製の畳の質感は、天然素材の質感とは異なる。
カーペット
ウールやナイロンなどの繊維で織られた敷物です。一般的に3畳よりサイズが大きくて床全面に敷き込めるものを「カーペット」、3畳未満の物を「ラグ」と呼びます。
【特徴】
- 繊維の間に空気を含むため断熱性が高く、冬の防寒対策に適している。
- クッション性があって歩行時の足腰への負担軽減や転倒時のケガを予防できる。
- 音や振動を吸収するので、階下への防音対策になる。
【注意点】
- ホコリをため込んでしまうのでこまめな掃除が必要。
- 家具の跡が残りやすい。
- 素材によっては夏場は足元が暑く感じる。
リノベーションに使う床材の選び方
ここからは、リノベーションに使う床材の選び方をご紹介します。
リノベーションに使う床材は、部屋の雰囲気や用途、予算などの面から、それぞれの特性を考えて選ぶことが大切です。
部屋の雰囲気に合わせて選ぶ
床は部屋の中で占める面積が広いため、室内の雰囲気に合わせて選ぶことがポイントです。
その際はリノベーション全体のデザインコンセプトを念頭に、壁紙や家具などインテリアとの調和も考えて選びましょう。
例えば、明るいナチュラルなデザインであれば、メープルやバーチなど明るめの樹種を使ったフローリングが適しています。ヴィンテージやレトロな雰囲気にするには、ブラックチェリーなど濃い目の樹種を使ったフローリングが人気です。
モダンな雰囲気の室内にするには、フロアタイルを選ぶことですっきりと洗練された印象を与えます。フロアタイルは単調なお部屋の雰囲気に変化を加えたい場合に、窓際などの一角に貼るといった使い方にも適しています。
和の雰囲気を醸し出すには、なんといっても畳や無垢フローリングが適しています。無垢材の中でもスギやヒノキ等を選ぶとより和風の空間に仕上がります。
また、合板フローリングは色調が多種ありますが、無垢フローリングの場合は、ナチュラルな色味のナラやタモなどの素材に、塗装で色合いを変化させることも一手です。
部屋の用途によって選ぶ
リビング、ダイニング、寝室など各部屋での過ごし方も床材を選ぶ際に大切なポイントです。
リビング、ダイニングなど家族が集まって、長く利用する部屋の床には、耐久性や掃除のしやすさといった面で、合板や無垢フローリングが適しています。
キッチンや洗面所、トイレなど水を使う場所には、フロアタイルと使うと、水染みなどが目立たず、普段のお掃除も楽になります。
寝室には、無垢フローリングを使うと、調湿性能や木の香りの効果でリラックスできる空間を作ることができます。
また、小さなお子さんがいるご家庭では、小上がりやリビングの一角に畳のスペースを作ると、お昼寝などの際に重宝します。
磁器等のタイルは、汚れやキズが付きにくいため玄関土間に使うのに適しています。
コストを考慮する
床材は素材によって価格帯が幅広く、使用する床面積や施工費用も考慮する必要があります。
例えば、無垢フローリングは天然の木を使用しているため、コストは高くなりますが、耐久性があって、経年変化も楽しめます。長い目で見てコストパフォーマンスに優れています。
一方、合板フローリングやクッションフロアは比較的リーズナブルで、初期費用を抑えられます。適切なメンテナンスを続けることで十分な耐久性が期待できます。
例えば、寝室だけ、リビングだけなど、お好みの場所だけを無垢フローリングにすることで、コストを抑えながら、お部屋の雰囲気を一段と良くすることもできます。
リノベーションの全体のプランや予算の中でバランスを見て選んでみてください。
リノベーションで床を張り替える際の注意点
ここでは特にマンションの床をリノベーションする場合の注意点をお伝えします。マンションの場合、好みの素材があったとしても、使用に制限が加わるケースがあることを念頭においてください。
遮音性能が求められる
下階への音を抑えるために、ほとんどのマンションでは管理規約の中で使用する床材の遮音性能の基準が定められています。そのため、定められた基準をクリアする素材や工法を選択する必要があります。また、中には遮音の点から、使用する素材をカーペットや畳などに限る(フローリングが使用できない)というルールのマンションもあります。床のリノベーションにあたっては、予め管理規約を確認して、床材の制限の有無を確認しておきましょう。
床下の構造による制限がある
マンションの床下の構造は大きく分けて、「直床」と「二重床」の二つがあります。
「直床」はコンクリートの躯体に直接床材が貼られている構造です。「直床」の建物でフローリングを使用する場合は、遮音性能を確保するために、遮音シートと一体になった合板フローリングを貼る必要があります。そのため、遮音性能のない無垢フローリングを採用することは難しくなります。また、遮音シートはクッション性がある素材のため、歩くとふかふかする感触がします。
「二重床」はコンクリートの躯体の上に、下地となる床を組んで、その上に仕上げの床材を貼る方法です。下地を支える束で遮音性能を確保しているため、仕上げの床材に制限はありません。現状が直貼りの建物でも二重床にすることで無垢フローリングを貼ることができるようになり、あわせて配管等の移設やメンテナンス性も良くなるといったメリットもあります。ただ、下地の分、床が10㎝程度高くなるため天井高が低くなります。また、部分的に二重床にすると室内に段差ができてしまうので生活のしやすさやバリアフリーの観点からは、全体的に二重床にするのがベストです。そのためリノベーションは広範囲かつ費用も高くなることは注意が必要です。
床暖房の設置はよく相談を
多くの床暖房は床材と一体のユニットとなっていることが多く、床材だけを張り替えることは困難で、床暖房とセットで交換をすることになります。また、床のリノベーションに合わせて新たに温水式の床暖房を採用する場合には、給湯器の交換や給湯配管の設置なども必要となり、構造的に床暖房を設置できないこともあります。床暖房を採用する場合には、リノベーション会社の担当者と事前によく相談をしましょう。
床のリノベーションにかかる費用
床のリノベーションにかかる費用を知るためには、必要な工事を理解することが大事です。
床のリノベーション工事を分解すると以下のような工事費用がかかります。
- 材料費:使用する床材そのものの費用。床材の種類や仕様によって大きく異なります。
- 施工費:床材を張るための工事費用。選ぶ床材や張り方によって変わります。
- 付帯工事費:お部屋の状況やリノベーションプランに応じて既存の床材の撤去や二重床の設置などが必要になります。
- 下地処理費:床の下地が不均一で修復が必要な場合は、下地処理の費用がかかります。
- 解体処分費:既存の床を撤去して廃棄するためにかかる費用です。
- 補修費:壁と床が接する部分の巾木や壁紙の補修などが必要となることがあります。
(一例)6畳間を、既存のフローリングを撤去し、下地は活かして中級程度の合板フローリングに張り替える場合で、30〜40万円ほどです。
このように床をリノベーションするには、いくつかの関連する工事が必要です。また、どの工事がどれくらい必要かは、選ぶ床材や工事場所の状況によって変わってきます。更には床と合わせて壁や天井のクロスの張り替えなど含めたリノベーションをされることも多く、一概にいくらと示すことはできません。
床のリノベーション費用を知るには、リノベーション会社へ問い合わせをして、詳しく話を聞いてみることから始めましょう。
魅力的な床のリノベーション事例7選
ここからは、魅力的な床のリノベーション事例を7つご紹介します。
コントラストを効かせる濃い色味のフローリング
広々としたLDKを濃い色味のチーク材の合板フローリングで仕上げました。
壁を白い漆喰に、天井を白いクロス貼りとし、建具や床材に対照的な濃い色味の木材を使用することでコントラストが印象的なお部屋になりました。
「つながる空間 変わる住まい 〜今も未来も〜」 – リノまま施工事例
天井、家具と統一感のあるフローリング
白を基調としたシンプルなインテリアの中で、アクセントになっているのが、キッチンの板張り天井。フローリングと同じオークを選択し、ダイニングテーブルも色味を合わせて選んだので、素材と家具に統一感のあるコーディネートになっています。
第2の玄関を意識したフロアタイル
マンション1階のお部屋のリビング窓側の床をフロアタイルで仕上げました。靴やサンダルを置いておけば、LDKからもさっと外に出られる、いわば“第2の玄関”。LDKの床はナラの無垢の床、壁は漆喰で仕上げ、自然素材に囲まれた空間です。
部屋の間取りや方角によっては、窓際にフロアタイルを貼ることで、フローリングを太陽の日差しによる日焼けや雨の入り込みによる劣化から守るといった役割を兼ね備えています。
洗練された空間を演出するフロアタイル
床を大理石調のフロアタイルで統一。キッチンの人工大理石の天板や藍色の壁タイルに馴染み、白を基調としたインテリアでまとめられた落ち着いた上質な空間を醸し出しています。
「『離れ』のある ちょうどいい暮らし」 – リノまま施工事例
和モダンな空間を演出する畳と無垢フローリング
マツ材の無垢フローリングと淡いピンク色の畳を敷き詰めたお部屋。壁にはウィリアム・モリスのアクセントクロス、モザイクタイルなどを設えて、それぞれの個性を活かしながら和モダンな空間を作り上げています。
ワンポイントのヘリンボーンの床
玄関からLDKに続く廊下を、ナラ材の無垢フローリングをヘリンボーン張りで仕上げています。整然と並ぶ無垢のドア、ヘリンボーンの床、洗練された洗面台と、こだわりの詰まった空間が出迎えてくれます。ヘリンボーンは特殊な張り方のため、普通の張り方よりもコストがかかりますが、ワンポイントで使うことでコストを抑えつつ、お部屋の印象を一味替えてくれます。
使い勝手の良い畳の小上がり
リビングの一角に1.5帖ほどの畳の小上がりを設けました。畳を上げると、その下は収納スペースに。普段あまり使わないものをしまっておくのに便利です。将来は小上がりを含めて、リビングの一角を子ども室として仕切れるようにも設計されています。子ども室にした際には、小上がりはベッドとしても活用できます。
まとめ
今回は、床のリノベーションで使われる素材や選び方、注意点、リノベーションにかかる費用などを紹介しました。
床のリノベーションは、空間の雰囲気や用途、コストを考慮しながら自分のライフスタイルに合った素材を選ぶことが大切です。
合板フローリングや無垢フローリング、フロアタイルなど、さまざまな素材が使用されますが、それぞれの特性を理解し部屋の雰囲気やコストなどを考慮して選びましょう。
リノままでは、これまでにお客様の要望に応じて床のリノベーションを行ってきた実績が多数あります。床のリノベーションで「使い勝手の良い空間にしたい」「部屋の雰囲気を変えたい」など、ご希望の実現をお手伝いさせていただきます。ぜひご検討ください。
関連記事