満足できるリノベーションのために必要な「丁寧な施工」とは?
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リノまま編集部

リノままは「大きな企業の中の小さな設計事務所」として設計・工事・不動産それぞれの専門知識をもった少数精鋭のチームでひとりひとりのお客様と向き合っています

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「丁寧な施工」とはどういうこと?

「当社は丁寧な施工がモットーです」「丁寧に工事をしてくれる会社にお願いしたい」など、「丁寧な施工(工事)」という言葉をよく耳にします。ただ、「丁寧な」という言葉が抽象的で、具体的に「丁寧な施工」とはどういうことなのかは、あまりピンとこない人がほとんどではないかと思います。

壊れていたところを治したり、不便なところを使いやすくしたり、とリノベーション工事は、既存部分とうまく折り合いをつけながら行う工事です。そのため、ある意味、新築工事以上に丁寧な施工が必要とも言えます。

この記事では「丁寧な施工」とはどういうことなのかを詳しく説明します。「丁寧な施工」を知ることによって、よりよい依頼先を見つけて、満足できるリノベーションが実現できることでしょう。

「丁寧な施工」の効果

丁寧な施工というと、職人の工事が丁寧で仕上がりがきれい、というイメージが浮かぶかと思います。しかし単に見た目がきれいになる以外にも丁寧な施工による効果は色々とあります。

トラブルを未然に防いで住まいを長持ちさせる

丁寧な施工は、住宅の寿命や安全性、さらには住み心地に直結する極めて重要な要素です。施工の品質が高いと、住宅の各部分がしっかりと組み立てられるため、建物全体の耐久性が向上します。逆に、雑な施工は、すぐに劣化や不具合を引き起こし、短期間で再修繕が必要になる可能性が高くなります。また、配管や電気系統、断熱材の施工が正確でない場合、後々漏水や電気トラブルなどの深刻な問題が発生するリスクが高まります。

これらの部分は完成してしまうと壁の中や天井裏、床下などに隠れて見えない部分になってしまうため、トラブルに気が付きにくく、トラブルが発生した際には壁や床などを部分的に壊して修繕するなど、補修工事が大掛かりになりがちです。丁寧な施工を行うことで、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。

特にマンションのリノベーション工事の場合、既存の給排水管に新規の給排水管を接続する工事が行われることが多々あります。水漏れや排水不良などが起らないように、配管ルートや配管の勾配、接続方法などを考慮して丁寧な工事が求められます。

床下配管の施工例

左側の既存の排水管に新しい排水管を接続しています。オレンジの管は給湯管、ブルーの管は給水管。配管ルートや管の勾配を緻密に検討し施工することで、段差を解消した住みやすい家にリノベーションすることにもつながります。(リノままの施工現場事例)

安心して暮らせる環境を作る

丁寧な施工は、建物の構造的な安全性を確保するためにも不可欠です。例えば、耐震補強や耐火性能の向上といった、安全に生活するための基礎部分がしっかりと施工されていれば、地震や火災といった非常時においても、建物が持つべき強度や機能を発揮することができます。

さらに、日常生活においても、壁や床、家具など身体に触れる部分が丁寧に施工されていることで、使用中に破損したり、怪我をしたりするリスクが大幅に低減され、安心して暮らせる環境が整います。

カウンター角の面取り

例えば、カウンターの角が鋭角だと、小さなお子さんのいるご家庭では頭をぶつけてけがをするといった危険性があります。角を丸く面をとってぶつかってもケガをしにくくするような配慮が必要です。(リノままの施工現場事例)

心地よく暮らせる

仕上がりの美しさも、丁寧な施工の大きなメリットの一つです。壁紙の継ぎ目や床材の貼り方など、見た目に関わる細かな部分がきちんと仕上げられることで、住む人が感じる満足度は大幅に向上します。特に、日々目に触れる部分が美しく整えられていると、居住空間としての快適さが増し、心地よい生活を送ることができます。

また、住まいの満足度が高いと、普段のお手入れにも気を遣うようになって丁寧に暮らすことにもつながっていきます。このように、丁寧な施工によって美観が保たれることで、住宅の資産価値も維持されやすくなります。

玄関のR上の壁

例えば、壁を曲面にするとお部屋の印象がだいぶ変わります。壁自体の工事はもちろん、床に接する部分の巾木やタイルも曲線なりに貼るといった丁寧な施工が要求されます。(リノままの施工事例『心も身体も整う住まい』

メンテナンスの頻度を減らす

丁寧な施工は、メンテナンスの頻度を減らす効果もあります。施工が丁寧であれば、建物が劣化しにくくなるため、将来的に必要となるメンテナンスや修繕の頻度を抑えることにつながります。初期費用が多少高くなったとしても、結果として丁寧な施工によって長期間にわたってメンテナンスにかかるコストを抑えることで経済的なメリットにもつながります。

断熱材の施工

例えば、断熱材は隙間ができないように敷設することが効果を発揮させるためのポイントです。それにより結露を防ぎ、下地や壁紙の劣化を防ぐことにつながります。写真は天井に断熱材を隙間なく貼っています。(リノままの施工現場事例)

「丁寧な施工」のポイント

丁寧な施工がされたかどうかは、最終的にリノベーション工事が完成した段階の仕上がりで判断されるものです。ただ、その過程で丁寧な施工かどうかを確認できるポイントがいくつかあります。

現場の整理整頓と清掃がされているか?

施工現場が整理整頓されて、きれいに掃除がされているか?ということは、丁寧な施工がされているかどうかを見極めるのにわかりやすいポイントです。工具や材料が整然と配置されていると、効率よく作業を進められ、ミスや事故を防ぐことができます。

また、マンションのリノベーション工事では工事期間中に共用部の廊下やエレベーターなどを養生することになりますが、現場が雑然としていると、出入りを通じて共用部も汚れがちで、住民からの苦情も起りやすくなります。

整理整頓と清掃が行き届いていることで、施工の品質も上がり、周辺にも迷惑をかけることなく、リノベーション工事がスムーズに進むことにもつながります。

整理整頓されたリノベーション工事現場

整理整頓・清掃が行き届いた現場は丁寧な施工の指標です。(リノままの施工現場事例)

設計図面通りに施工されているか?

設計段階で打ち合わせを重ねて出来上がった設計図面に従って正確に施工を進めることが、丁寧な施工の基本です。設計通りに仕上げるために、寸法や配置をしっかりと確認しながら作業を行い、現場での計測やチェックを怠らないようにします。

家具の作り付けや、建具の納まり、棚の高さやスイッチの位置、手すりや装飾小物の取り付けなど数センチ、ときには数ミリ単位での施工が必要な部分もあり、それを忠実に形にすることで、全体としての仕上がりが美しく、暮らしやすい住まいにすることができます。

部分的には数ミリ単位の精度での仕上げが必要なところもあります。こういった細かい部分の丁寧な施工の積み重ねで、全体として調和のとれたきれいな空間が作られます。(リノままの設計事例)

コミュニケーションは円滑か?

施工中の進捗状況や問題点を、施主や関係者に対して定期的に報告することも丁寧な施工の重要な要素です。工事が始まると、在宅工事でない限り施主は工事の状況をみることができません。状況が見られないと心配も募るもの。そんな施主の不安を軽減するためにも、工事の進捗状況を定期的に報告するということが大切になってきます。常に工事の状況が見えることで、工事途中に想定外のことがおこったり、確認が必要なことが発生したりした場合に、速やかに対処することができます。

また、現場監督や設計士、職人同士のコミュニケーションも丁寧な施工には不可欠です。施工中に設計図面の内容や意図がわからない場合や変更が生じた場合に、現場監督が設計者に確認を取り、職人にきちんと伝えることで、認識のズレによる施工の間違いを防ぐことができます。

スケジュール通りに進行がされているか?

丁寧な施工を実現するためには、スケジュール管理も欠かせません。スケジュールが遅れると急いで工事をすることでミスが発生したり、仕上がりが雑になったりする事にもつながりかねません。そうならないように工期に沿った進行管理を行い、遅れが生じないように調整します。

スケジュール通りに工事が進むかどうかは現場監督の力量にかかっています。工事が始まる前の段階で、色々な職種の職人が効率的に工事ができるように工程を組んだり、資材を現場に納品するタイミングを調整したりといったスケジュールを緻密に立てることが重要です。また、工期中に問題が発生した場合には、迅速かつ適切に対応することで、スケジュールに遅れが出ないようにします。

工事期間中にこまめに検査が行われているか?

丁寧な施工のためには、工事の各段階で、品質を確認するための検査を行うことも大切です。解体工事の後、配線や配管の設置後、内装の仕上げ前など、重要なポイントで検査を行うことで、ミスや欠陥を早期に発見し、修正することができます。

また、工事が完了した後には、最終チェックを行い、微調整を行います。キズや汚れはないか、設備機器はきちんと動くか、建具はスムーズに開閉するかなど、細部までこだわることで、完璧な仕上がりを実現します。

その後、最終的に施主のチェックを経て、希望通りの仕上がりであるかを確認し、必要であれば最後の調整を行います。ただし、どんなに丁寧な施工をしても、経年変化はつきものです。そのために、アフターフォローや施工後のメンテナンス、トラブル発生時の対応方法についての説明がしっかりされるかも大切なチェックポイントです。

配線工事のチェック

工事途中でひとつひとつのコンセントの配線状態をチェック。(リノままの施工現場事例)

リノままの「丁寧な施工」へのこだわり

リノままでは上記のような基本的なポイントを押さえたうえで、更にワンランク上の取り組みで、丁寧な施工でのリノベーションを行っています。

工事は自社で行う

ワンストップリノベーションを行っている会社でも、工事は提携する施工会社にまとめて依頼していることもあります。

リノままでは、確かな技術を持っていることを確認した職人たちと提携し、現場監督を筆頭にチームを組んで一件一件のリノベーション工事を行っています。職人と直接やり取りをすることで、コミュニケーションを密にとることができ、設計の指示や現場の状況報告などがスムーズに行われ、丁寧な施工につながっています。

現場監督が最初から最後まで関わる

一般的には、工事の見積りは積算担当者、工事を提携会社に依頼する場合の現場監督はその提携会社の現場監督、アフターメンテナンスは専門の担当部門が担う、といった役割分担で工事が進むことがあります。

リノままでは現場監督が、現地調査から、工事中、完成後のアフターメンテナンスまで一貫して関わるのが特徴です。

それによって、

  • 現場の状況をよく理解して使用する材料を適切に見積もって発注できるので無駄が発生しにくい
  • 2~3日に1回は現場を回って職人任せにしないので、設計図面通りの施工ができているかを職人と密に確認ができ、共用部の養生や現場もきれいに保たれる
  • 自身が担当した工事なので、現場をよく理解していて、アフターメンテナンスが適切でスムーズに行うことができる

といったメリットがあります。

社内検査で細かい項目までチェックする

リノままでは、解体後、中間時(内装工事に入る前)、完成時に施主様立ち合いのもと、現場の状況を説明しています。また、一般的には行っていないような細かいポイントも工事の各段階でチェックをします。完成引き渡し時には着工~完成までの各工事、部位の写真を撮影して、図面一式とともに施主様へお渡しします。それにより今後のメンテナンスや将来的なリフォームなどをスムーズに進めることができます。

リノままの検査チェックリスト。壁や床の垂直水平や、換気扇の換気具合、各コンセントの通電状況などおよそ350箇所をチェックし、万全の状態でお引き渡しします。

まとめ

このように「丁寧な施工」は、完成した住まいの仕上がり、品質、効率、コストなどリノベーション工事だけでなく、その後の快適な暮らしにもつながってきます。ですので、依頼先を選ぶときには重視した方がよいポイントです。

ここに上げたいくつかのポイントを念頭において、口コミなどで実際に工事をされた方の意見を見てみる、リノベーションの相談の際に質問をしてみる、現場を見る機会があれば実際に見せてもらうなどして、丁寧な施工をしているリノベーション会社を選んでみてください。

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