中古戸建てのリノベは「構造」によって費用が変わる!

戸建てをリノベーションする場合には建物の構造や建てられた年代などによりリノベーションの費用も大きく変わる可能性があります。

今回は構造の種類や知って頂きたい点をいくつか挙げさせて頂きます。

著者

[著者]

リノまま編集部

リノままは「大きな企業の中の小さな設計事務所」として設計・工事・不動産それぞれの専門知識をもった少数精鋭のチームでひとりひとりのお客様と向き合っています

著者の詳しいプロフィール

戸建ての構造はどんな種類があるの?

戸建ての構造は大きく分けて、「木造」、「軽量鉄骨造」、「鉄筋コンクリート造」があります。

住宅展示場など見に行った事があるという方は何となく分かるかもしれませんね。

「中古戸建てを買ってリノベーションしたい」という方は、その物件の構造によっては費用が余計にかかったり、プランの制限が出たりすることもあるということを少しでも知っておいて頂くと安心と思います。

木造

木造には「在来軸組工法」、「木質パネル工法」、「2×4工法(2×6工法)」などの工法があります。

一番多いのは「在来軸組工法」で建てられた住宅です。

基本的に2階建ての住宅の場合はほとんどがこの木造。

建売住宅なども基本は木造だと思っていただいて大丈夫です。

ポイントは「在来軸組工法」か「2×4工法(2×6工法)」か?というところです。

「在来軸組工法」とは?

>在来軸組工法住宅と枠組み壁工法住宅|日本住宅・木材技術センター

柱や梁で骨組みをつくり、地震や風圧に耐えられるように筋交いなどの耐力壁がある構造です。

筋交いなどの位置やバランスに支障が無ければ、比較的間取りも自由に変えられるので、リノベーション向きの工法です。

基本は土台・柱・管柱・梁で構成する建物ですので、壁を壊して、窓を新しく付ける!なども比較的容易にすることができます。

例えば2Fに大きな吹き抜けをつくるなども構造上はし易い工法になります。

「木質パネル工法」、「2×4工法(2×6工法)」とは?

>在来軸組工法住宅と枠組み壁工法住宅|日本住宅・木材技術センター

「在来軸組工法」が柱や梁で骨組みを造っていくのに対し、「木質パネル工法」は、工場で生産したパネルを現場へ持ち込み、組み立てていく工法。

パネルが床・壁などの構造体としての役割を果たします。

「2×4工法(2×6工法)」も同様に壁のパネルで支える工法です。

主に大手ハウスメーカーで建てられた住宅に多く、基本の壁のフレームを2インチ×4インチ=2×4材でつくることからそう呼ばれています。

基本的な部材は下記、右の写真にあるように、2×4、2×6、2×8、2×10材などで構成されます。

壁のフレームを立てていくため作業性が良く、職人による腕の差が出にくい工法と言われています。

左>建築工程とパネル施工|一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会
右>ツーバイフォーの特長|一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

「木質パネル工法」、「2×4工法(2×6工法)」の場合は、壁で建物を支えている為、例えば、大きな窓を付けたい、大きな吹き抜けをつくりたい、大空間をつくりたいなどは在来軸組工法と比べると制限がかかります

とは言っても、必要な壁をしっかりと計画しておけば、間取りなどは比較的自由にできる工法なので、「うちは2×4工法だからリノベーションできないかも!?」なんて心配はしなくて大丈夫です。

軽量鉄骨造

高度経済成長期に一気に大手ハウスメーカーにより広まった軽量鉄骨造。

(鉄骨造のうち、鋼材の厚みが6㎜未満のものを軽量鉄骨造といいます)

こちらは鉄骨の柱やブレースなどで構造部分をつくり、内部の間仕切り壁などは木下地でできているような建物です。

大手メーカーの建物の場合はそれぞれ独特の構造、設計ルールを定めており、それにより構造計算なしで建てられている建物が多いです。

よって、リノベーションする時には鉄骨のフレームなどはそのままにし、木造で出来ている間仕切り壁などは撤去してリノベーションすることができます。

リノベーションの際は木造と違い、2階建てでも階段位置の変更には確認申請が必要など注意点があるため、その場合は事前に良く相談しておくと安心ですね。

鉄筋コンクリート造

マンションと同じコンクリートでできた建物です。

コンクリートなのでマンション同様、耐久性はしっかりとしています。

但し、物件の価格もその分高くなります。

また、リノベーションで間取りを変える場合には、窓の位置を変更したり大きくしたりという工事がコンクリート造だと基本的には難しいです。

窓の交換も通常の住宅用ではなく、マンションやビル用の窓を使うためどうしても費用が嵩みます。

中古戸建てを買うときには何に気をつけたらよいの?

良さそうな物件を見つけたとしても、その中古物件が「元々建売として作られたものなのか、注文住宅で建てたものなのか、小さな会社が建てた家なのか、それとも大手メーカーで造られたものなのか?」いろいろ気になりますよね。

中古物件を探している方によく説明するポイントは次の5つです。

大手メーカーの建物でない方が理想

大手メーカーの建物は窓や外壁、外回りの部材などが全て特注仕様であり、大手メーカーでないと材料が取れないなども多々あります。

例えば、窓はオリジナルサッシであったり、外壁材もオリジナルなので、一般の建設会社では材料を販売していません。

よってリノベーションする場合は、内部は弊社でリノベーションを行い、外部は各ハウスメーカーで施工と分けて行うのが基本です。

もちろん、大手ハウスメーカーの建物はブランド力も安心感もありますが、施工の部分においてはリノベーション費用が割り増しになるという点は注意しておきましょう。

小さな工務店が建てた家でも大丈夫

名前も聞いたことが無いような工務店で建てていても、しっかりと作られている家は問題はありません。

そもそも全国の住宅の8割は大手ハウスメーカー以外で建てているお家だからです。

ただし、比較的築40年以上前のお家だと図面どおりにできていないことも多いため、一度購入前にしっかりとプロに見てもらうのが安心です。

古い家でも大丈夫?売主さんが定期的にメンテナンスしているかどうかがカギ

「リノベーションしていると築30年のお家より、築50年のお家の方が構造躯体がとてもきれいだった」ということも良くあります。

重要なのは築年数だけでなく、住まう方がしっかりと外壁、屋根のメンテナンスなどを施し、建物が劣化しないようにしてきたかということ。

築20年のお家でも、弊社でチェックしたときに、雨漏れの後から白アリの害があった例もありました。

築50年のお家でも太い柱や良質な木材を使っていたりすると、むしろしっかりしている場合もあります。

きちんとメンテナンスされていないお家を購入すると、屋根が塗装で済まないため屋根下地から全て葺き替えになったり、外壁も下地からやり直す必要があったりと、外部にかかる費用も膨大になる恐れがあるので注意が必要ですね。

敷地の境界、ライフライン関係に問題がないか

一戸建ての場合には敷地もしっかりと確認が必要です。

建物を建築する場合には、道路に2m以上接道していることが必須になります。

しっかりと敷地の境界を確認し、「接道が取れているか」「建物がお隣さんに越境していないか」など、住んだ後にトラブルが起きないようにしておくことが大切です。

また、公共下水がなく、浄化槽処理だったり、井戸水だったりするエリア、都市ガスがないためにプロパンガスを使用しているエリアなどもあります。

このあたりはリノベーションの計画にも影響することがあるので、前もって確認しておくと安心です。

建物が違法建築や再建築不可ではないか

古い建物の場合は、住んでいる方が確認申請をせずに増築していたり、建築基準法上で違法になっている建物もあります。

そうなると、多くの金融機関では住宅ローンの取り扱いなどができないことが多く、将来的な転売が難しかったり、そもそもリノベーション費用を住宅ローンでお考えの場合には購入自体が難しかったりもします。

また、いずれ増改築をする際には既存建物が違法であると、申請自体が困難なことがあります。

費用面、リノベーションの自由度の高さでおすすめなのは?

これまでご説明してきましたように、日本の住宅構造は8割は木造ですが、他にも鉄骨造や鉄筋コンクリート造の戸建てもあります。

また、木造の中でも工法に種類があり、「在来軸組工法」「木質パネル工法」「2×4工法」など、特殊なものもあります。

基本的に、リノベーションの自由度が高いのは、「木造」である「在来軸組工法」や「2×4工法」の戸建てですので、物件探しの際にはチェックしてみてくださいね。

※大手ハウスメーカーさんの鉄骨造などの戸建ても、弊社の施工事例として経験ありますが、コストがかかることもあり、木造であるほうが◎です。

まとめ

以上、戸建ての場合でもマンション同様、内部のリノベーションはほとんど自由にできるので問題ないですが、建物の構造や劣化状況などにより、外回りの工事がプラスでかかってくるというところが、マンションとの大きな違いになります。

戸建てを購入検討の場合や、自宅の戸建てをリノベーションでお考えの場合には、まず図面を持って気軽に相談してみましょう。

リノままでは、おおまかな資料があれば、注意点やリスクなども含め、リノベーションが実現できるかどうかアドバイスさせていただきます。


関連記事

〇中古戸建て探しのポイント⓪~はじめに~

●中古戸建てはリノベーションの金額がマンションよりもかかる?
●戸建て修繕費はマンションと同じく必要?
中古戸建ての物件探しは誰にお願いしたらいい?等、
「まずは自分で探してみたい!」という方が疑問思っているポイントをご説明してきます。

〇中古戸建て探しのポイント②~「古いほど高くなる?」築年数から見極めよう~

続いて見極めるポイントは、「築年数」。
一見、築年数が古ければ古いほど、物件価格は安いように見えますが、
その後リノベーションすることも考えると、結果的にお買い得なのはどちらなんでしょうか?
耐震基準によって異なる物件の特徴や、それによって必要な工事のステップから、探すべき物件の条件をご説明していきます。

〇中古戸建て探しのポイント③~建物や土地のサイズ感を知っておこう~

中古戸建てを探してみよう!と思った時に分かりづらいのが「建物」や「土地」のサイズ感。
「マンションなら70㎡や80㎡でもイメージしやすいけど、一戸建ては階段や廊下などのスペースもあるから同じ70㎡や80㎡だと狭いし、どれくらいの広さが必要なのかなぁ。」
「建物の図面は掲載されているけど、部屋の広さも分からないし、1Fと2Fの大きさも分からない。土地の形状も書いてないし、駐車場があるのかどうかもわからない」など。
そこで、まず、どのくらいのサイズの建物、土地を探せばよいか自分達の求めている「サイズ感」を確認していきましょう。

〇中古戸建て探しのポイント④~土地の形状や向きそれぞれのメリット・デメリットを知っておこう~

中古物件を探し始めると、道路や敷地の条件もいろいろ。
そこでそれぞれの特徴をまとめてみました!

〇中古戸建て探しのポイント⑤~ライフラインについて~

給排水、電気、ガス、TV、インターネット、電話…どれも当たり前のように使っている「ライフライン」              見落としがちですが、戸建探しではお家の前までひかれているかどうかは様々。                          しっかり見ておかないと思ってもなかったところでお金や手間がかかってしまうので要注意!

 

〇「頭金0」にまつわる危険な誤解!「貯金0」では家は買えない!!住まい探しのスタートに必要なお金っていくら?

よく「頭金0でも家は買える!」「物件価格もリノベーション費用もその他の諸経費もローンにできる!」なんて謳い文句を耳にしますね。
はっきりお伝えします。「頭金ゼロ」で家を買うことはできても、「貯金ゼロ」では家は買えません!
危険な誤解をしているあなた、住まい探しをはじめる前に誤解を解いてしっかり準備しておきましょう!