住まいづくり STORY ~Y 様の場合~ 【リノベーション編vol.3】「インテリアイメージは譲れない!」低価格でも質感の良いものを

新築ではなく「中古物件を買って、リノベーション」を選んだご家族。
自分らしい暮らしって?住まいに求めているものってなに?
物件探しとリノベーションを通して、一つひとつ見つけていく過程をご紹介します。

今回の主人公は、都内にお住まいの、Y様ご夫妻。
2019年8月に入籍したばかりの、新婚のおふたりです。
同年9月に結婚式を控えていましたが、新型コロナウイルスの流行に伴う緊急事態宣言で、披露宴を延期することに。
住んでいた賃貸マンションの更新が1年後に迫っていたこともあり、先にマイホームを検討することにしました。

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Y様プロフィール
旦那様 30代 中央区にお勤め
奥様  30代 江東区にお勤め
当時のお住まいは押上(駅近の賃貸マンション)
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◯前回のお話
【リノベーション編vol.2】「うーん、ここはどうしよう?」リノベは決めることがたくさん!


 

あれこれと迷いつつも、着実にプランニングがカタチになっていった前回まで。
今回は、設計担当・李の立場から、プランニングの工夫や打合せの時に心がけていたことについて聞いてみました。


> 李 真弓 二級建築士

「Y様からお話しいただいた、やりたいことすべてを導入すると、残念ながら予算オーバーになってしまいました」。
こういう時にはまず、その中でも何を大事にしたいかを明確にしていただくことから始める、という李。

その結果、Y様の優先順位がもっとも高かったのは、「無垢の建具」と「ヘリンボーンの床」でした。

予算内で実現するため、インテリアイメージは譲らずに、低価格でも質感の良いものを取り入れることを提案。
たとえば、以下のような工夫がされています。

・ヘリンボーンは最も目立つ廊下に採用。それ以外の床は、見た目は無垢に近い合板タイプに
・見えにくい箇所の棚はシナランバー(コアとなる芯板に、シナベニヤを貼ったもの)に
・室内窓の数を減らす。ただし、全ての部屋に光が入るように位置を配慮
・壁はクロス中心に、色を絞る
・塗料も種類をできる限りまとめる

これらにより、当初はリビングのみの予定だった無垢の建具を、ほぼ全室にとり入れることができました。

「設計プランのお打合せで気をつけているのは『お客様の本音を引き出すこと』」という李。
そのためには、漠然とどうしたいか聞くのではなく、必ず図面やスケッチでたたき台を複数用意し、そこから意見を引き出すようにしているのだそう。

Y様とのお打合せでも、たたき台を見ながら「ここはもっと広くしたい」、「この高さだと使いづらい」、「こんな感じの収納を置きたい」などのように、より具体的なご意見を引き出しながらプランニングしています。

さらに、若いご夫婦のリノベーションは、長く生活されたご夫婦とは違って、なかなか互いの生活スタイルや好みを深く理解していなかったり、まだ少し遠慮があったりすることも。
そういった本音を引き出しづらい場合も、複数プランを描き起こして見せることで、実際の生活をイメージしながら、『こうしたい』『これはいやだ』を言いやすい環境をつくるようにしているそうです。

若いころからこれまで、多くの建築会社で様々な先輩設計士の仕事を見てきた李。
「なかには、お客様の意向やご予算をくみ取らず、素敵に見えてもお客様の予算オーバーだったり、お客様もなかなか正直な気持ちを言い出しにくかったり…といったケースもありました」。

「だからこそ、お客様と設計士がきちんと本音をぶつけ合い、互いに達成感・納得感のあるリノベーションのご提案を心がけています」。
経験上、やめた方がいい場合はハッキリとアドバイスはしつつも、Y様の素敵なセンスも引き出せたらいいな、という想いで打合せを重ねてきたといいます。

 


 

次回【リノベーション編vol.4】「セミスケルトンって?」お財布と環境に優しいリノベ!
はこちらから!

 


 

▼完成したY様ご夫婦の施工事例

リノベーション事例「光と風の通りみち」

 

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