「頭金0」にまつわる危険な誤解!「貯金0」では家は買えない!!住まい探しのスタートに必要なお金っていくら?

コロナ禍で先行きが不透明な昨今、「できるだけ貯金を減らさずに家を買いたい」が本音ではないでしょうか?
よく「頭金0でも家は買える!」「物件価格もリノベーション費用もその他の諸経費もローンにできる!」なんて謳い文句を耳にしますね。

もちろんこれらは「事実」ではありますが、「貯金が少なくてもどうにか家を買うことができる」といった程度で、決して「貯金なしでも家が買える!」「貯金を全く使わなくても家が買える!」ってことではありません。

おまけに「できるだけ貯金を使わずに」家を買おうとすると必ず「落とし穴」があります。

よいことばかり、なんて甘い話はありません。

はっきりお伝えします。「頭金ゼロ」で家を買うことはできても、「貯金ゼロ」では家は買えません!
危険な誤解をしているあなた、住まい探しをはじめる前に誤解を解いてしっかり準備しておきましょう!

高原太郎

[著者]

高原太郎

宅地建物取引士。映画館勤務を経てリノベーションへ。リノままの一員として多くのお客様の住まいづくりに関わる。現リノまま広報。

目次
  1. 1. よくある「頭金0」の誤解!どんなに頑張っても住宅ローンに組み込めない費用はある!
  2. 2. 何からなにまで全部借りると審査が厳しい!?
  3. 3. フルローンにしても「手付金」の出費は免れない!?
  4. 4. 結局最初にいくら用意しておけばよい?

1. よくある「頭金0」の誤解!どんなに頑張っても住宅ローンに組み込めない費用はある!


>リノベーション事例「陽だまりのメゾネット」|リノまま

「頭金0でも住宅ローンが組める」「頭金0で家が買える」なんて謳い文句がありますが、よくあるのは「頭金0でも家が買える」=「自己資金0でも家が買える」=「貯金ゼロでも家が買える」っていう誤解。

これから「家を買いたい!」というあなた、まずはこれだけはしっかり覚えておきましょう。

たとえ「頭金0」でも、まずは100万円、できれば250~300万円のお金を用意して住まい探しをスタートしましょう!!

え?どうして?って思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

ではまず「頭金」のことから。

そもそも「頭金」とは何でしょう?

「頭金」とは「購入するものの代金」から「住宅ローンの金額」を引いたものです。

例をあげると以下のようになります。

例1)
物件:3000万円
住宅ローン:3000万円
→頭金0!

例2)
物件+リノベ:4000万円
住宅ローン:3900万円
→頭金100万円!

でも、よーくみてください!

実際に物件を買ってリノベーションするためには上記以外にもお金が必要です。

主に物件の購入やローンを組むために必要な「諸経費」です。

この「諸経費」主なものは、
①司法書士の先生に支払う登記関連費用
②融資手数料や保証料としった住宅ローンを借りるために必要な費用
③不動産の仲介手数料 の3つ。

これらはいずれも数十万円ずつのお金がかかってきます!

そのほかにも、契約締結時の印紙代、火災保険代、管理費や修繕積立金の清算金、固定資産税などの清算金、引越し費用、家具や家電を新調するためのお金、、、

どうでしょう。

「思ってたよりいろいろと出費がかさみそう」というのが本音ではないでしょうか?

「諸経費」ですが、少な目にみても物件価格の7~8%はかかってきます。

リノままでは予算に余裕をもっていただくために「物件価格の10%程度」としてご案内しています。

さきほど例にあげた3,000万円の物件の場合は300万円程度。

結構お金がかかりますね。

多くの金融機関では「諸経費」についても、ローンを組むこと自体は可能です。

諸経費分も含めて住宅ローンとして一体で貸してくれる金融機関もありますし、少し金利は高くなる(2%台など)ものの、「諸経費ローン」としてお金を貸してくれる場合もあります。

でも注意しないといけないのは「何からなにまで全て貸してくれる」というわけではない、ということ。

「諸経費」分も含めてお金を借りようとしても、さすがに「住宅ローンの関連費用までは貸してくれない」とか、「管理費・修繕積立金の清算費用や固定資産・都市計画税の清算費用までは貸してくれない」とか、「引越費用や家具・家電の代金は出せない」、といった話は普通にでてきます。

金融機関や他の条件によっても変わりますが、「頭金0でも諸経費は0にならない」ということと、「どんなに頑張っても住宅ローンに組み込めない費用がある」ということだけは頭にいれておきましょう。

だから、「貯金ゼロ」では家は買えないんです!

だったらいくらあれば買えるんでしょうか?

2. 何からなにまで全部借りると審査が厳しい!?

「諸経費」って結構お金がかかります。

「できる限りローンを使いたい」というのもよーくわかります。

なので、なるべく諸経費もローンにしたい、できることなら金利が安い住宅ローンの中に組み込んでしまいたい、というご希望をよく伺います。

そんなときに大事なのは、「全部借りようとしないこと」です。

当たり前ですが、金融機関は「ちゃんと返してくれそう」な方に低金利でお金を貸してくれるもの。

(↓詳しくは以下
〇私でもホントに借りられる?こんなに借りて大丈夫?住宅ローンにまつわるぼんやりとした不安)

みなさんが逆に「お金を貸す」立場だった場合に、「物件価格分もリノベ代も全部住宅ローン、諸経費も組めるだけ全部住宅ローン、自分の貯金からはできるだけ1円も出さない」という方にお金を貸すときってどんなことを考えますか?

「本当に大丈夫かな?ちゃんと返してくれるかな?」って少し不安になってしまいませんか?

金融機関も同じです。

なので、物件価格分もリノベ代も諸経費も何もかも住宅ローンに組み込もうとすると、審査が少し厳しくなります。

収入が十分にある方であっても、金利があがってしまったり、希望金額全額までは貸してもらえなかったり。

「諸経費分は自分たちの貯金から支払う」のが理想ですが、200~300万円といったお金をすぐに用意できる方ばかりではありません。

ローンに組み込もうとする場合でも、「少しは自分たちのお金から出しておこう」とするだけで審査の内容はかわってきます。

「頭金」は0でも、諸経費のうち100万円くらいは自分たちの貯金からだせるようにしておきましょう。

3. フルローンにしても「手付金」の出費は免れない!?


>リノベーション事例「モノトーン×素材感を愉しむ」|リノまま

さて、ちょっと話が変わりますが、「手付金」ってみなさんご存知ですか?

不動産の物件を購入するとき、通常は「契約」「決済/所有権移転」という2つのステップを踏みます。

この「契約」のときに、物件代金の一部を売主さまから買主さまに支払うもの、それが「手付金」です。

多くの方は住宅ローンを使って物件の代金を売主様に支払います。

この「住宅ローン」は実際に「物件を買う」という契約が成立してから2~3週間かけて本審査をおこなった上で実行されるものです。

つまり、「契約」した時点では、売主さまはまだお金ももらっていないし、最悪の場合は物件を買ってもらえない場合もありうる、ということです。

なのに「契約」してしまうと、売主さまは原則、他の方への販売活動はできなくなります。

だからこそ、物件の売買の「契約」が成立した証拠として、また万が一のときに契約が「解約」や「違約」になってしまったときのために、買主さまから売主さまへ「手付金」を支払う必要があるのです。

いろんな記事をみていただくと、「手付金」の相場となる金額のことがもろもろ書いてあります。

一概に「いくらが妥当」とは言い切れませんが、この「手付金」はみなさんが「この物件がほしい!」って思ったときに、買主様に「私は本気でこの物件を買います!」という意思表示をするお金です。

皆さん誰しも、売主様に「あなたに売りたい!」と決断してもらえないと絶対に物件を買うことはできません。

もし同じ物件を「欲しい!」って狙ってるライバルがいる場合、「手付金は殆ど出せないから10万円で!」という方と、「手付金200万円支払います!」という方、あなたが売主様だったとしたら、どちらに売りますか?

そうです。

「手付金はいくら支払うべき」という正解はありませんが、極端に少ない手付金にしてしまうと、「そもそも物件を売ってもらえない」「売ってもらうための交渉すらはじめられない」というリスクがあるのです。

リノままでは少なくとも100万円以上の手付金を支払った上で物件を購入していただくようにお薦めしています。

また、先ほどもお伝えした通り、住宅ローンが実行されるのはあくまで物件の「決済/所有権移転」のとき。

一方で「手付金」は物件の「契約」のときに支払うもの。

なので住宅ローンが実行される「前」に手付金を支払うためのお金が必要です。

したがって、手付金の支払いのためにはローンは使えませんし、不動産会社が手付金を貸し付けることなども法律で固く禁止されています。

もちろん、物件価格分全てをフルローンにしておけば「決済/所有権移転」のときには支払った手付金はみなさんの手元に戻ってくることにはなります。

それでも「契約」のときには自分たちのお金で「手付金」を支払わなければならないことには代わりありません。

つまり、どれだけローンを沢山組んでも、物件契約のときの「手付金」を支払えるだけの貯金はもっていないと家を買うことはできないのです。

4. 結局最初にいくら用意しておけばよい?


>リノベーション事例「北欧と暮らす」|リノまま

最後におさらいです。
・「頭金0」でも「諸経費0」にはならない!
・物件価格の10%程度の諸経費は必要!
・諸経費も一部はローンを組むことができるが、ローン審査が厳しくなる
・どれだけローンを組んでも、物件購入契約時に「手付金」は必要!

では、一体家を買うためには最初にいくらお金をもっていないといけないのでしょうか?

リノままでは以下のようにご案内しています。

ベスト:350~400万円程度
=諸経費分(物件価格の10%相当→多くの方は250~300万円程度)+手付金100万円以上

ベター:250~300万円程度
=諸経費分(物件価格の10%相当→多くの方は250~300万円程度)

※「リノまま」ではこういった諸経費分に充てられる程度の自己資金200~300万円程度でスタートするお客様が一番多いです。

最低限:100万円以上
=手付金の支払いにあてた後は諸経費の一部に充当

やはり「諸経費」分もローンに組み込むと金融機関の審査が厳しくなってしまうので、「なるべく諸経費分は自己資金で対応できる」形を目指していただくのが一番です。

その上で、少しでも頭金分を物件購入時にいれられるとスムーズに進めやすいです。

逆に「現金の持ち出しをなんとかおさえたい」という方でも、「家を買う」以上は100万円までの支払いは覚悟していただく必要はあります。

物件購入時の手付金で支払った100万円を諸経費の一部に充当することで、「ローンに組み込めない費用」を手持ちのお金から支払っていけるようにできますし、諸経費の一部であっても手持ちのお金から支払うことでわずかでも住宅ローンの審査は進めやすくなります。

とはいえ、コロナ禍もあって不透明な昨今。

みなさんの生活を考えると、貯金を手元に残しておくのはとても重要です。

家を買うために貯金を全部はたいてしまう、というのは決しておすすめできません。

万が一の蓄えとして残しておくお金をまずはキープしておきましょう。

万が一の備えとして必要なお金を除いて、「貯金が200万円以上使えるとき」が住まいをさがしはじめるのによいタイミングです!

そこまでのお金はなくても「100万円なら使えるとき」であれば、作戦をたてながらすすめていきましょう。

「貯金がまだ足りない」という方は、まずは100万円、できれば諸経費相当分の250~300万円を目標にお金を貯めていきましょう。

もちろん「リノまま」ではこういったお金のご相談も数多くお受けしています。

FP相談もお受けしますし、「手持ちの現金が少ない」場合でも「リスク」と対応するための「作戦」を一緒に考えていきますので、ご相談くださいね。


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