リノベーションで実現!事例でみる収納アイデアとプランを考えるコツ

Instagram、RoomClip、いろいろな会社の施工事例…。
インターネットを少し検索しただけで綺麗で片付いたお部屋が沢山出てきますよね。

「みんなこんな素敵な部屋に住んでいるんだ!」なんて羨ましくなり、そこからリノベーションに興味を持った方も多いかと思います。

実際にリノままで工事されたお客様からも、「荷物がいっぱいで家がゴチャゴチャなんです…」と言う声を聞いたりもします。

その原因は至ってシンプル。
持ち物に対して収納が足りていないのです。

家づくりではあまり目立たず日陰の存在になりがちな「収納」ですが、実は「素敵なお部屋」の影の立役者。

設計初期の段階からしっかり考えておけば、憧れの綺麗で片付いたお部屋に近づけるかも!!

散らかっているお部屋は実はリノベアイデアの宝庫!
家が散かりがちなあなたに向けて収納づくりのコツをお届けします。

著者

[著者]

リノまま編集部

リノままは「大きな企業の中の小さな設計事務所」として設計・工事・不動産それぞれの専門知識をもった少数精鋭のチームでひとりひとりのお客様と向き合っています

著者の詳しいプロフィール

リノベーションの収納アイデア 5選

リノベーションはこれからの「暮らし」にあわせて住まいを生まれ変わらせるためのもの。

Instagramや様々な会社の施工事例でみるお住まいは美しく片付いていますが、これらはすべて「暮らし」を主語にして収納をしっかり考え抜いたからです。

まずはそんな「収納」に特徴のあるリノままの施工事例をみてみましょう。

「収納の癖」を見極めてモノの住所を決める

リノまま【リノベーション事例】 頑張らなくても散らからない住まい

家の中の動線やご夫婦の動き方には「収納の癖」があらわれます。それらを見極めて実現した収納プラン。

キッチンは引き出しの中までプランを徹底。「朝ごはんにつかう食器類」「コーヒーの道具」などモノの住所をきちんと定めています。

玄関からリビングへ向かう廊下にも収納を設置。帰宅時の導線上に、バッグや鍵、コートを置くスペースがあるので、無造作にバッグを置きっぱなしにしてしまうなんて心配は無用です。

扉のあるクローゼット内にも、シュレッダーをそのまま使えるようにコンセントを備え付けていたり、それぞれの段にぴったり合うサイズのファイルボックスを使って収納していたり。ipadの充電や筆記具など、つい「ちょい置き」してしまいそうな小物も、中にしっかり置き場所をつくってあります。

広場のようなリビングを確保しつつも収納もバッチリ

リノまま【リノベーション事例】“家族思い”な快適ハウス

玄関の両側を収納に。土間を広げたアウトドアグッズ用のクローゼット、おしゃれなルーバー扉のシューズクローゼット、とたっぷり収納スペースを確保。

洗い物が多いことも考えてランドリースペースは広めに確保。登山靴も洗えるようにすスロップシンクも設置しています。

寝室にはロフトスペースを。ロフト下はお布団をしまうスペースに。ロフト上は本棚も設置してライブラリースペースに。そんな遊び心も魅力的な住まいです。

造作家具とロフトベッドで趣味を飾るスペースを確保

リノまま【リノベーション事例】 趣味を飾る大人の隠れ家

神保町の古本社やブックカフェをイメージして、大量の本やCDを造作家具などでしっかりと収納。

お気に入りのレコードを並べる壁掛けのレコードラックはご主人一番のお気に入りのポイント。

ロフトベッドの下にはたくさんのギターを保管するスペースに。

WICの壁には遮音材も施してあり、自宅で演奏も楽しめます。

Ⅱ型キッチンとパントリーでキッチン回りをすっきりと

リノまま【リノベーション事例】リノベをめぐるスタイリッシュな冒険

「ウチの中に出っぱっているものがない」と話すご夫婦のお住まい。

ご夫婦でお料理できるようにコンロとシンクを別々に配置したⅡ型のキッチンを採用。

Ⅱ型キッチンの収納スペースに加えて、キッチン億にパントリーを設置することで、キッチンでよくみかける吊り戸が不要になりスッキリしたお住まいになりました。

子上がりと廊下一面の収納でスペースをうまく活用

リノまま【リノベーション事例】 時がはぐくむアンティークな住まい

ご家族にとってリビングダイニングを広くすることは最優先。そのため、リビングの一角にオリジナルの引き戸つきの子上がりをつくって寝室スペースに。

普段は引き戸を全面オープンにして子上がりの床下に布団をしまえるのでリビングと一体化できます。

玄関にはキャンプ用品の収納スペースをたっぷり確保。廊下は壁全面を収納にして、ご家族それぞれの洋服収納を配置。わずかなスペースも無断にしないアイデアです。

今すぐ始められる収納プランのコツ① 今の荷物を知ろう

ここからは実際に自分たちにとってベストな収納を考えるためのコツをお伝えします。

お住まいが散らかっている、その理由はいたってシンプルです。

・物の量に対して収納の量が足りない→収納の「量」の問題
・使う物の近くに収納場所がな→収納の「質」の問題

まずは今のお住まいの荷物の「質」と「量」を知ることからスタートです。

今住んでいる家は、云わば自分の家族の現在の生活実態の縮図です。

「お家の荷物」は「きっちり片付けられているもの」と「どこかに散らかっているもの」の2通りしかありません。

「片付けられている量」と「散らかっている量」を大雑把に調べることでおよその「荷物の量」がわかります。

まずはお家をざっと見渡してみましょう。

・玄関の床に雑然と置かれたカバン
・廊下を占領するコートハンガーに無理やり家族全員の上着をかけ
・ソファの上にはたたむ前の洗濯物
・テーブルの上には郵送物や子供のお便りの束  etc…

「うわ散らかっている!」イヤになったりあわてて片付けしたくなったりする前に一旦冷静に。

今のおうちで「どこに」「何が」散らかっているか、これらは大切な「情報」です。

折角ある情報を上手く活用しましょう!

これを無視して理想だけを追求してしまうと、せっかくの新しいおうちでもまた同じことをくりかえしてしまいます。

この大切な「情報」の活かし方は後でお話しますので、一旦そのままにしておいて、まずは「きっちり片付いているもの」の量から調べてみましょう。

今のお家の「収納量」を知ろう

「きっちり片付いているもの」の量は今のお家の「収納量」を調べていくとわかります。

早速、お家の造り付けの収納の測り方から。

例えばこの収納(クローゼット)

よくあるクローゼットだと思います。

これを「自分」を基準に簡単に数値化してみようと思います。

数値化は簡単です。

◎横幅
両手を広げた時の幅に近い=1
自分の中心線から片手を広げた時の幅に近い大きさ=0.5

◎高さ

背の高さに近い=1
背の高さの半分に近い(腰より上/腰より下)=0.5
背の高さの1.5倍に近い=1.5

◎奥行

三つ折りの布団が入りそう、服が横並び(服の腕側が正面に来る)で掛けられそう=深い
ファイルや本くらいしか入らない=浅い

よって先ほどの収納(クローゼット)は

横幅: 0.5 高さ:1.5 奥行:左 浅い/右 深い になります。

この収納(押入)だと

横幅: 1 高さ:1.5 奥行:深い

この収納(上吊収納)だと

横幅:0.5 高さ:(0.5より小さそう…)0.25 奥行:浅い

なんとなくコツはつかめてきましたか?

「あれ?」っと思う部分もあるかとは思いますがその辺りはそこまでシビアにならなくても大丈夫です。

あくまでも現状の収納量を大雑把に把握するものなので軽い気持ちでやってみて下さい。

これらをまとめて、「どんなものが入っているか」「どのくらい入っているか」も書き出してみて下さい。 また、思うことがあれば「メモ」欄も作り何でも書いておきましょう!

この様に家の収納量に対して、荷物の品目と荷物の量を全部書き出してみる事で、わかりやすく現状を把握出来るようになると思います。

造り付け以外の物の量も知ろう

作り付けの収納以外にも置き家具は何を持っているかを把握することも大事な作業の一つです。

例えばカラーボックス。

これらは捨てる予定でも、リノベーション後のお部屋に中身の収納先が無ければ、また家具を買って、物が増えて…と悪循環になってしまいます。

面倒な作業かもしれませんが、是非今のお部屋に置いてある家具の大きさも測って書き出してみて下さい。

測るのが大変でしたら、「何処に何が何個あるか」「大きいか・中ぐらいか・小さいか(感覚的で一先ずOK)」「どんなものが入っているか」「どのくらい入っているか」「メモ(思うこと)」なんかを書き出してもらえると、設計者は皆さんに寄り添い易くなります。

ここまで細かく調べられなくてもどっちみち新しい家で使う家具の大きさは設計途中にお聞きすることになります。

食器棚の大きさだったり、ダイニングテーブルの大きさだったり…。

早いうちに書き出しておくのも悪くないですよ!

次に家電。

こちらも大きさ、メーカー・品番を書き出してみて下さい。

冷蔵庫や掃除機等は生活スタイルによって意外と持っているものの大きさにバラつきがあります。

家電を測るのが大変だな…と思った方には裏技が!

家電の品番部分を写真に撮って渡してもらうだけでも構いません。

例えばこんな感じで。↓

この努力が綺麗で片付いたお部屋に近づくコツ。一緒に頑張りましょう!

今現在の収納出来ていないものを知ろう

最後のポイントは、日々の生活で出しっぱなしになっているものを書き出す事。

さっき、ついつい片付けたくなるのを「グッと」我慢したものたちです。

実は、「散らかってしまう」のには必ず理由があります。

「日々出しっぱなしになっているもの」は「今のおうちに片づける場所が無い」か「今のおうちの収納場所が片付けにくいところにある」と言う事なのです。

この章の冒頭にあげたのは以下、

・玄関の床に雑然と置かれたカバン
・廊下を占領するコートハンガーに無理やり家族全員の上着をかけ
・ソファの上にはたたむ前の洗濯物
・テーブルの上には郵送物や子供のお便りの束

無意識においていますが、実は帰る場所が無かったり、収納が困難だったり…と原因が必ずあります。

一応、表にまとめるとこんなところでしょうか。

こういった内容をもとにして

・玄関の床に雑然と置かれたカバン→玄関にカバン収納の棚が必要

・廊下を占領するコートハンガーに無理やり家族全員の上着をかけ
→玄関近くに家族全員のコートを掛けて収納するスペースが必要

・ソファの上にはたたむ前の洗濯物
→見た目もカッコ良い室内干しハンガーをつけて洗濯物の一時仮置きスペースを確保
 WICも家事導線近くに配置した方が良さそう

・テーブルの上には郵送物や子供のお便りの束
→ダイニングテーブルの近くに収納が必要

など、まだ自分自身では深くは考えていなかったけど、実は快適に暮らすために必要なものを拾い出していくことができます。

だからこそ今のおうちは「生活実態の縮図」なんですね。

さて、自分の荷物の量と質、わかってきましたか??

なかなか大変な作業ですよね。

でも、どれだけ見た目が素敵なお部屋を造っても、収納量が足りなければ部屋はごちゃごちゃしてしまい満足のいく暮らしは出来ません。

逆に、しっかり収納量を確保すれば、意外と皆が憧れる散らからない素敵な部屋のまま日常を過ごせる様になるかもしれません。

この努力が後にリノベーションされたお部屋の綺麗を保つ秘訣につながります。

まだ新しい家が決まっていなくても、何処の会社にお願いするか決まっていなくても、「今のおうちの荷物の量を知ること」そんな下準備は今からでもできるはず。

お家のリノベーションを考えているみなさん。ぜひ挑戦してみてくださいね。

今すぐ始められる収納プランのコツ② これからの収納を考えよう

「どこに」「何を」収納したいか考えよう

ここまで色々書き出してもらいましたが、その中の「メモ」の部分に注目してみましょう。

既に収納に対する要望が少し出ていますね。

おおよそ「どこに」「何を」どうしたいのかが書いてあります。

抜き出すとこんな感じ。

この調子でもっともっと収納に対する要望を探してみましょう!

リノベーション後の間取りやイメージはまだ湧いていないことも多いので、今のお家をベースにして「これがこうなったら良いな」という風に書き出してみてください。

書くだけなら「タダ」です。

無理かもしれないとか思わずに、収納にまつわる要望、全部書き出してみましょう!

思いつく他の要望もついでに考えよう

自分たちの今の暮らしに身近な「収納」だけに集中してきましたが、これだけ徹底して考えてみると、リノベーションにあたっての収納以外の要望もつられて出てきます。

ついでに思うがまま、自由に書き出してみましょう。

例えばこんな感じで。

きっかけは「収納」でしたが、「収納」を通して今のお住まいを見直してみると、それはそのまま「暮らしを見つめなおす」ことにつながります。

それが引き金になって、暮らしの中でふとした瞬間に新たな要望を思いつくことが増えていきます。

冒頭にあげた事例のお客様も、きっかけは「収納をしっかりしたい」だったり、「お子様の独立」だったり、「子ども部屋をつくりたい」だったり、と実に様々です。

単に「収納プラン」といっても必ず日々の暮らしとつながっています。暮らしと切り離して考えることはできません。

収納以外のきっかけでリノベーションのことを考え始めた方が「収納」の問題にたどり着くことも多々あります。

どんな入口でもよいので、日々の暮らしの中での不便なことや不満、こうしたい!という理想について思いつく都度メモをしてもらい、どんどん要望を積み上げていきましょう。

こういった思いを洗い出すうえでの注意点は必ずご家族みんなで取り組んでおくこと、です。

せっかくリノベーションしてもご主人の希望だけ、奥様の希望だけ、といったお住まいでは快適さも半減です。お子様がいらっしゃる方はお子様にも、その家で暮らすすべての方の意見をふまえて、今のお住まいの不満やこれからの暮らしに期待することを書き出してもらうようにしましょう。

家族といえどそれぞれ違う視点のアイデアがあがってくるので新鮮な驚きがありますよ。

設計者に自分の思いを伝え、考えを共有しよう

「収納」からスタートする素敵なお部屋づくり。

ここまでに書いてきた事を地道に行ってもらい、最後にしっかり設計者に伝えてもらえれば準備完了です。

ここまでの作業の中で奇抜な要望がでてくることもあるかもしれませんが、「恥ずかしい」とか「これはさすがに無理かな」などと制限をかけてしまうことなく、そのまま伝えてみましょう。

みなさん自身のお住まいを快適にするための収納プランでありリノベーションです。

リミッターを外して思いをつたえるようにしましょう。

「暮らし探し」からはじまるリノベーション

ここまでみてきた通り、素敵なリノベーション事例は暮らしを見つめなおすこと、「暮らし探し」からはじまっています。

モノがきっちり片付いた美しいお部屋は暮らし探しを経て手に入れた新しい暮らしの縮図なのです。

私たちリノままでは「暮らし探しノート」を作成してもらったり、初回接客やプランを固める前に、担当から「趣味は?」「自宅に友人はよく来る?」「その人には泊まってもらいたい?」など、「何故そんなことを聞くの?」と思ってしまうプライベートな事をたくさん質問したりします。

そこにはリノベーションやこれからの暮らしにつながる以下のような思いがこめられています。

・趣味は?
→趣味の荷物がどのぐらいあるか把握し今後増えそうか確認

・自宅に友人はよく来る?
→お客様に見られたくないものを通路の導線上に見えるように造らない

・その人には泊まってもらいたい?
→お客様布団の収納場所が今後も必要かどうか

皆さん自身も今は気づいてなくても、これからお住まいに必要な事を見つける手掛かりにしているのです。

世間話をしている中でも設計者はそこをきっかけにリノベプランのアイデアを沢山見つけ出しています。

なので、不審に思わず、構えずに色々詳しく教えて下さいね!


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