中古マンションの上手な探し方と注意点~引きこもり物件探しのススメ~

コロナも5類に変更されていよいよ外出モード。「さあ物件探しからはじめよう!」なんて時期ですね。物件探しと物件選びはリノベーションするしないに関わらず一番重要なポイント。

でも、いきなり物件をみにいってしまうのはあまりおススメできません。
物件を「決める」ためには現地をしっかり見るのが大事ですが、実は「物件探し」って8割がた、自宅を出る前に勝負がついています!

物件を「探し」たり、お金の「作戦」を練ったりするのは、おうちでPCやスマホでできちゃうもの。失敗せずに、良い物件を選ぶために、まずはおうちで、「引きこもり物件探し」をおススメします。

目次

高原太郎

[著者]

高原太郎

宅地建物取引士。映画館勤務を経てリノベーションへ。リノままの一員として多くのお客様の住まいづくりに関わる。現リノまま広報。

1. 中古マンション物件探しのよくある失敗


>リノベーション事例「快適引き籠りライフ」|リノまま

中古マンションでも中古戸建てでも「物件探し」のよくある失敗は

・いきなり不動産会社を訪ねる
・その場で物件を紹介されてすぐに内見にいく

というパターンにのってしまうもの。

こんなパターンにのってしまうと、

・自分たち自身にとって大切な「条件」の検討が不十分
・勢いで物件を買ってしまう

なんてことになりがちです。

物件の購入契約をしてしまった後で

・ローンの支払いが思っていたより厳しかった
・周囲が夜になると人通りがほとんどなく帰り道がこわい
・リノベーションでお風呂を大きくしたかったのにできなかった
・必要以上に広くてスペースを無駄にしてしまった  etc.

といった後悔につながります。

物件を「決める」ためには現地をしっかり見るのが大事ですが、実は「物件探し」って8割がた、自宅を出る前に勝負がついているのです。

失敗しないための「準備」について詳しくみてみましょう。

既に物件探しをスタートしている方はこちらもどうぞ

【リノまま/知る・調べる】 中古マンションの物件選びの極意 物件調査や内見のポイントと注意点

2. 中古マンション物件探しの2つの方法

中古マンションでも中古戸建てでも、物件探しをするための方法は主に2つ。

自分で探すか不動産会社を訪ねるか、です。

まずはそれぞれのメリット、デメリットをみてみましょう。

2-1.【物件探しの方法①】自分で物件を探す

自分で物件を探すにはSUUMOやAt home、Home’sとった不動産ポータルサイトを使うのが一般的です。

市場で取引されている物件は、何も不動産会社にいかなくとも、ポータルサイトで大半のものをみつけることができます。

そもそも「良い」物件は売主様も早く、高く売りたいもの。

早く、高く売るためには多くの方にみてもらった方が効率的なので、沢山の方の目に触れる主要なポータルサイトにしっかりと掲載するからです。

ポータルサイトに載っていない売り物件や「未公開物件」というものも確かに市場にはあります。が、そういった物件が「良い物件」といえるかどうかは別問題です。

2-2. 自分で物件を探すメリット

自分で探す最大のメリットは「即時性」です。

どんなに不動産会社に欲しい物件の条件を伝えたところで、せいぜいポータルサイトの検索項目にでてくるような、金額や広さ、エリア、南向きかどうか、ペット可かどうか、といった要件を伝えるのが限界です。

でもそれらの条件は物件探しをはじめてしばらくの間は揺れ動くものです。

・いろいろみているうちに隣の駅の方が魅力的になってきた
・少し狭くなってももっと便利な駅の物件にしたい
・勤務先までの所要時間がかわらないなら思い切ってエリアを大きくかえたい
 ※横浜から大宮に検討エリアを変更、など

などなど、「気が変わった」のを不動産会社がリアルタイムで把握するのは不可能です。

自分で探しているとこういった「少し気になった」といったものにもすぐに対応できるのが最大のメリットです。

また、不動産会社に物件探しをまかせてしまうと、世の中の数ある物件情報の中から担当者が条件にあったものをセレクトして紹介物件として教えてもらえる、という流れになります。そのため、日々登録される大量の物件をすぐにみられる、という点では「自分で探す」」方が有利になることが多いです。

2-3. 自分で物件を探すデメリット

自分で物件を探す最大のデメリットは「専門家ではない」ことです。

マンションでも戸建てでも不動産の物件情報には専門用語が並んでいます。管理費、修繕積立金、借地権、耐震補強、現況、土砂災害警戒区域、擁壁などなど。

用語の意味くらいならばどうにか調べることができるかもしれませんが、そこにどの程度の重要性があるか、長く住むことを考えた場合にどのようなことが起こりうるか、などの判断がつかないケースがでてきます。

2-4. 【物件探しの方法②】不動産会社で物件を探してもらう

もう一つの方法は不動産会社で物件を探してもらう、という方法です。

希望のエリアの近くに店舗をかまえる不動産仲介会社を訪ねて、担当者と話しをしながら、紹介してもらった物件を吟味していく、という流れになります。

2-5. 不動産会社で物件を探すメリット

不動産会社で物件を探す最大のメリットは「専門家と一緒に探す」という点です。

専門家なので候補としてでてきた物件の良い点も悪い点もしっかりと説明できますし、専門用語がでてきたところでわかりやすく説明してもらえるでしょう。

また、日本中の販売中の物件がほぼ全て網羅されている不動産会社専用のポータルサイト「レインズ」からの情報も教えてもらえます。この「レインズ」には売主さまの意向がある場合などの一部の例外を除き販売をまかされた物件の情報を載せなければならない、という決まりがあります。

「レインズ」は不動産会社でありさえすれば、どこの不動産会社だろうが、日本中どこの物件でも紹介できる、という仕組みです。

(※この仕組みがありながら自社だけで他社からのお客さまに物件を紹介しないようにする「囲いこみ」をおこなっている業者も中にはあるのでご注意ください!)

SUUMOやHomes、at homeといったポータルサイトに未掲載の物件情報も含めて検討できる、というのは専門家ならではのメリットです。

ただ、「専門家」といっても「何の専門家か」には注意が必要です。不動産仲介会社なので、当然ながら不動産の専門家ではありますが、

・住宅ローンのことがどれくらいわかるか
・住宅ローン控除など税制優遇のことはどれくらいわかるか
・リノベーションやリフォームなど建築のことや工事のことはどれくらいわかるか
・地域の情報がどれくらいわかるか

などは会社や担当者によってまちまちなので気をつけましょう。

2-6. 不動産会社で物件を探すデメリット

不動産会社を通して物件を探す最大のデメリットは「変化」への対応がワンテンポ遅れる、ということです。

いくら不動産会社専用のポータルサイト「レインズ」を使えるといっても、物件探しをする自分たち自身が直接操作してみられるわけではありません。

あくまで、不動産会社担当者に条件を伝える→不動産会社の担当者がその条件に見合う物件を探す→担当者がその中でもよさそうな物件をセレクトして紹介、といった流れになるので、どうしてもタイムラグが生まれます。

特に物件探しの初期などは探しながら希望の条件がどんどん変わっていきます。そんな「変化」に対応しながら探すのにはワンテンポ遅れてしまいます。

また、一般的な不動産仲介会社は通常は店舗をかまえているエリアを中心に物件の紹介をしています。レインズなどの仕組みがあって日本中どこの物件でも紹介できる、としても普段なじみのないエリアの周辺環境などは把握しきれません。

当初横浜で物件探しをしていたのに、通勤時間が同じくらいの大宮周辺にエリアを変更した、といった広範囲でのエリア変更は苦手にしている会社が殆どです。

以下に両者の比較表をつくってみましたので頭にいれておきましょう。

不動産会社自分で探す
物件の情報量
探す条件の変更
広範囲での物件探し
情報の早さ
ポータルサイト
未掲載の物件情報
×
物件情報の精査

2-7. 中古マンション物件探しのコツ「引きこもり物件探し」のススメ

ここまでみてきたように、自分で物件を探す「即時性」と不動産会社で物件を探す「専門性」をうまく使い分けるのがコツです。

不動産会社の良さは「専門性」にあるのですが、まだ自分自身が「どんな暮らしをしたいか」「どんな住まいが欲しいか」「どのくらいお金をかけてよいか」が見えていない段階では、その専門性を十分に活かすことができません。

そんな段階でいきなり不動産会社に物件をすすめられて「なんとなく」良さそうに見えたから買ってしまった、というのは危険でしょう。

物件探しもリノベーションと同じように、お客様と関係する会社とのいわば「共同プロジェクト」です

共同プロジェクトを成功させるにはそれぞれが主体的に動くのが重要です。だからこそ、まずは自分たち自身を知るために主体的に準備をすすめておきましょう。

主体的に物件探しをすすめるために、おうちで不動産ポータルサイトをうまく活用する方法をお伝えします。

ちなみに、中古戸建てを希望する方も基本的には同じ方法が使えますが、中古戸建ての場合は建物の耐震性や道路付け、ライフラインの整備状況など注意すべきポイントが増えるので以下の記事など戸建ての物件探しの注意点を先にみてから進めていきましょう。特に自分たちに必要なサイズ感の見極めは必須です!

 中古戸建て探しのポイント③~建物や土地のサイズ感を知っておこう~

3. 中古マンションの相場価格の決まり方

中古マンションでも中古戸建てでも、物件探しでは

・予算を考える
・物件に求める条件を考える
・条件にあった物件がどんなものかみてみる
・なかなか物件がみつからなければ条件を見直す
・それでもダメなら予算を見直す

といった具合に、物件情報⇔条件・予算を行ったり来たりするものです。

そのときに自分たちが考える「予算」と物件の相場が大きくかけ離れていることは多々あります。特に中古マンションは値上がりが続いていて、想像よりも「高い」と感じることがほとんどでしょう。

物件情報を先にみてしまうと、どうしても現実離れした高い物件ばかり欲しくなってしまいがちです。

物件の情報にいきなりふれる前に、「自分たちはいくらまでお金をかけてよいか」を大まかに知っておくことと、「不動産価格はどんな物件が高くなってどんな物件が安くなるか」の基本をまずおさえておくこと、が重要です。

3-1. まずは「ぼんやり」予算から考えよう!

マンションを買う、戸建てを買う、住まいを買うとなると~千万円という大きな買い物になります。100万円や200万円くらいの予算オーバーは許容してついつい気が大きくなってしまいがちです。

夢を膨らませる一方で、自分たちの暮らしに無理なく使えるお金はどのくらいか、を考えておく必要があります。最初の段階では今の家賃との比較でみておく程度でも構いません。

例えば3000万円のお金を使って住まいを手に入れたら、毎月ローンの返済がいくらくらいになるか、マンションの管理費や修繕積立金の支払いがどのくらいあるか、住まいを買ってリノベーションしたい方はリノベ費用・リフォーム費用をどのくらいかけられるか、あなたはすぐにイメージできますか?

最初の段階では細かい計算は必要ありません。概算でよいので「大まかにいくらお金をかけてよいか」「毎月どのくらいなら支払ってもよいか」を考えておきましょう。

↓予算の考え方は以下の記事を参考に、「無理のない」予算を考えておくのが必須です。


中古を買ってリノベーションするメリットは?予算の考え方と合わせて解説

住宅ローン、管理費、修繕積立金、火災保険、固定資産税…住まいって意外とお金がかかるもの。
「総額4000万円で中古マンションを買ってリノベーションしよう!」
さて、そのときあなたが「毎月」いくら支払うことになるかイメージできますか?
「毎月いくら払う」っていう「痛みを伴うイメージ」を実感することで、予算が膨張していくのをしっかりケアしましょう。

 「中古を買って+リノベーション」では 予算に「ヘソクリ」と「柔軟性」を持たせよう!

たかが予算、されど予算。
物件にいくら、リノベーションにいくら、なんて総額予算を決めたところで、「運命の出会い」は突然に!200万円予算オーバー、どうしよう?!
そんなとき、予算に仕組んだ「ヘソクリ」と「柔軟性」、「痛みを伴うイメージ」で後悔しない選択をしましょう!


3-2. 不動産価格を決める3要素

さて、予算のイメージはつきましたか?

続いて「どんな物件は高い?」「どんな物件は安い?」いろいろと条件はありますが、まず基本をしっかりおさえておきましょう!

↑この3角形。

駅から近いほど高い!広ければ広いほど高い!新しければ新しいほど高い!!

「なんだ当たり前じゃん!」

そんな声が聞こえてきそうです。

そうなんです。当たり前のようにみんなが「いいな」って思ってる物件は高い!そういうことです。一般的に「資産価値が高い」なんていわれるのもこの3要素のバランスがよい物件です。

中古戸建ての場合はこれらの他にも建物固有の事情などが物件価格に反映しやすいのに対して、中古マンションの物件価格は比較的これらの条件から判断しやすいです。

中古マンションについては物件の相場をみるにあたっても

・同じ棟内のお部屋が過去にいくらで売れたか/今はいくらで売ってるか
・上記3要素が同程度の条件の他のマンションは過去にいくらで売れたか/今はいくらで売ってるか

などが容易に調べられますし、予想もたてやすいのです。

中古マンションの相場がわかるために重要な3要素。それぞれについて少し解説します。

3-3. 【中古マンションの物件価格を決める要素①】駅距離

駅からの距離が近い物件は高く、遠い物件は安い、というのがまずは基本。

とはいえ、ターミナル駅や急行停車駅から徒歩15分というのと、隣の駅の各駅停車しか止まらない駅の徒歩5分というのであればどちらが高くなるかはケースバイケースです。

住環境がよく人気のある駅かそうでないか、ターミナル駅かそうでないか、など駅の「格」によっても物件価格の差がつくので注意しておきましょう。

3-4. 【中古マンションの物件価格を決める要素②】広さ

いざ具体的な物件情報をみはじめてしまうと意外と見落としがちになる要素です。当然ながら広ければ広いほど物件は高くなります。

例えば60~70㎡といった広さで物件を探しているときに、たまたま見つけた物件が60㎡ギリギリの物件だったか、70㎡の物件だったか、は大きな価格差につながります。

あいまいなイメージでなんとなく80㎡はほしい、とか70㎡超以外はみない、といった条件付けをしてしまうと「高くて買えない」なんてことになりがちです。

10㎡程度の広さの違いであれば、リノベーションのプラン次第で解決できることも多々あります。自分たちのこれからの暮らしを考えたときに「本当に必要な広さ」はどれくらいか、をしっかり考えておくとよいでしょう。

また、「需要が多い」広さの物件の方が見つけやすいですし、万が一のときにも売りやすいです。マンションの場合だと一般的なファミリータイプの60~70㎡あたりの広さがそれにあたります。

広すぎる物件、狭すぎる物件は購入する人も限られる分、物件自体の数も少なくなりますが、少し割安になります。

住宅ローン控除などを利用する場合は「登記簿面積で」50㎡以上の広さが必要になります。不動産のポータルサイトなどで記載されている広さ(壁芯)よりも登記簿面積は少し小さくなってしまうので、50㎡ぎりぎりの物件の際はこういった税制優遇が使えないケースもあるので要注意です。

3-5. 【中古マンションの物件価格を決める要素③】築年数

築浅の物件は高いけれど築古の物件は安いというのが基本です。

中古マンションの購入を考えてる場合、狙い目は築20~30年くらいの物件です。マンションは新築時から急激に価格がさがり、築20~30年以降は価格の下落がゆるやかになる、という傾向があります。

従って、築20~30年よりも古い物件であれば比較的お手頃な価格で購入することができるのです。よく中古マンション購入の方が新築を買うよりも資産価値が高くて良い、なんて話がでますが、その根拠はこうったデータから言われています。

でも、築20~30年の中古マンションであれば、何もせずにそのまま住むことができるというのはまれです。多かれ少なかれ、リノベーションやリフォームは必要になります。

そんなリフォーム工事やリノベーション工事をおこなった分、資産価値があがるわけではない、という点だけは注意しておきましょう。

また、築40年を超える1981年6月以前の建築確認で建てられたいわゆる「旧耐震」の物件は注意が必要です。

耐震性の問題としてだけでなく、「住宅ローンの金利があがってしまう」「充分な耐震補強工事を実施しているといった一部の例外を除くと住宅ローン控除が使えない」といったお金に関するデメリットもいくつか出てきます。

物件価格だけは安くなっていてもこれらもあわせて考えたら結局は高くついた、なんてことにならないようにしましょう。

3-6. 優先順位をまずは「ぼんやりと」考える

ここで忘れてはいけないのは「予算は限られている」ということ。

「持ち点を5点もっていて、それを駅距離、築年数、広さで振り分ける」なんて想像をしてみましょう。

どのポイントを優先的に考えますか?

「駅距離3、築年数1、広さ1」って方もいれば、「駅距離1、築年数2、広さ2」なんて方もいらっしゃるでしょう。

「どうしても駅から近くて広い新しい物件がほしい」ってことであれば、持ち点は5点では足りません!都心から離れた郊外の駅にいくか、予算を追加するか、しか方法はありません。

まずはこの3つの要素のどこにプライオリティをおくか、を「ぼんやりと」イメージしておきましょう。この実はこの「ぼんやりと」がとても重要です。

まだまだ物件探しの入り口にたっただけなので、あまりガチガチに条件を固めてしまうと素敵な物件との出会うチャンスがなくなってしまいます。

もちろん、ペットが飼える物件!ルーフバルコニー!1階はイヤ!絶対南向き!などなど他にもゆずれない条件は沢山あることでしょう。

そのあたりはあとでたっぷりみていくことになるので、もう少し待ってくださいね。

4. 不動産ポータルサイトの賢い使い方

予算と物件探しの基本条件3つ「駅距離・築年数・広さ」。

何となくイメージできたら早速「どんな物件があるの?」をみてみましょう。自分で考えた優先順位に沿って、どの駅から何分程度のエリアにするか、築何年までにするか、どのくらいの広さがほしいか、を仮決めしたらポータルサイトを開きましょう。

4-1. 【中古マンションの相場感をつかむコツ①】「ぼんやり」地図をながめよう!

ポータルサイトで物件を眺める際におすすめは、HOME’Sの「地図から探す」 です。もちろん他のポータルサイトでもよいですが、必ず「地図」を使うこと。地図を使ってどんな条件の物件がどこにあるかを眺めていると自然と相場感ができてくるのです。

賢い使い方をみていきましょう。

HOME’S→「地図から探す」→「都道府県」

とクリックしてみてください。

↓価格と間取りを選ぶ画面がでてきます。

ここで要注意なのは「間取りにはチェックをいれない!」ということ。
どのみちリノベーションするのであれば今の間取りが2LDKだろうが3LDKだろうが関係ありません。

また、間取りは先に述べた物件価格を決める3要素ではありません。今はまだ相場感を知りたい、という段階です。

まずは最初に考えた予算の上限をいれて、

そのあと、専有面積、築年数、駅徒歩などの自分で考える最低条件をいれてみてください。

さて、あなたが「住みたいな」なんてあこがれるエリアに売り物件はありましたか?

ここで大切なのは「自分が住みたいな」って思うエリアの「相場感」をつかんでもらうこと。

どうですか?

なかなか希望の条件の物件は出てこない、というのが本音ではありませんか?

それではちょっと地図をスライドしてみてください。

このときに見てほしいのは個別の物件の情報ではなく、
「どのあたりに行けば自分の希望条件にあった候補物件がたくさんありそうか」というイメージをつくることです。

・ひと駅、ふた駅ずらしてみたら物件がありそう
・あれ?隣の路線にしたら物件がありそう
 例)東横線沿線→田園都市線沿線、多摩川線沿線
・思い切って通勤時間が変わらない程度にエリアを変えてみたら物件がありそう
 例)横浜周辺→大宮周辺

なんてケースはよくあるものです。

「ぼんやりと」地図をながめて、「最初は意識してなかったけど、こんな場所ならアリかな、物件ありそうだし!」なんてエリアをみつけられたらOKです。

4-2. 【中古マンションの相場感をつかむコツ②】思い切って希望条件を変えながら探してみよう!

次にやってみてほしいのは「条件をいろいろと変えてみる」こと。

ペットが飼える物件!ルーフバルコニー!1階はイヤ!絶対南向き!欲望に限りはありません。

でもでもあらあら、条件を追加すると候補物件が減っていきます。

「どんな条件でどのくらい物件が減っちゃったか」をぜひ見ておいてくださいね。

・ペットも大切な家族!絶対譲れない条件をいれたら候補物件がなくなってしまった
→予算、エリア、駅距離、築年数、広さといった根本的な条件を見直さないとなかなか検討がすすみません!

※国交省のマンション管理調査によるとペット可のマンションはほとんど2000年以降築の物件に偏っています。

・オートロックにしたかったのに候補物件がなくなってしまった
・憧れだったルーフバルコニー!条件にしたら候補物件がなくなってしまった
→あらためて「本当にルーフバルコニーが必須条件か」「本当にオートロックが必須条件か」を考えてみましょう。

※オートロックも2000年前後以降に建てられた物件に偏ってます。

※ルーフバルコニーは建物の北側のお部屋で斜線制限という規制に対応した結果建物の一部の住戸にできたもの、というのが多いです。従って、南向きのルーフバルコニーにはめったに出会えません。

もし、これらが「あきらめてもよい条件」ということであれば優先順位をおとしてみましょう。

4-3. 希望条件の見直しを考えてみよう

物件探しをしていてよくこんな場面に出くわします。

・1階はなんとなくいや!希望条件にしたら候補物件がなくなってしまった

そんなときはどうして1階がいやなのか、もう一度考えてみましょう。

例えば防犯面で気になる、ということであれば、マンションの1戸でも入ることができるホームセキュリティのサービスがあります。月々千円程度の支払いで契約できるサービスもあるので、検討してみるのも手です。

逆に1階のメリットもあります。専用庭でガーデニングが楽しめる!とか、小さいお子様が走り回っても下階を気にする必要がない!とか。

メリットデメリットが両方あるような条件だったり、他で代替できるような条件だったりする場合は見直してみましょう。

条件を見直すときのコツは
・どうしてその希望条件なのかの理由を突きつめて考えること
・他の方法でそれらの理由となった事柄を解決できないか考えること

の2点です。

安易に予算を増やすのは危険です。まずはしっかりと「暮らし」を主語にして条件をみなおしましょう。

4-4. 地図を使った中古マンション物件探しのメリット

いかがでしたか?これらの検討とあわせて、ポータルサイトの検索条件の予算・広さ・築年数・駅距離なども増やしたり減らしたりしてみましょう。

意外と「予算をどれだけあげても候補物件がふえない」なんてエリアもあれば、「駅から3分余分に歩くだけで一気に候補物件が増える」なんてエリアもあることに気づくのでは?

地図を使いながらぼんやりと物件を眺めてると、視覚的にその条件で物件があるかないか、そのエリアに物件があるかないかが頭にはいってきます。

実際にはどれだけがんばって探しても「そもそもマンションがあまり建っていない」なんて場所もあります。

今はたまたま物件がないだけでいつかは出てくるかも、といった期待は実際のところあてになりません。そもそもこの段階では物件の細かい条件の調査は全くしていない段階です。この段階で10件程度の物件があったとしても色々と調査していくと「買わない方がいい」という結論になるものが大半です。

こういった「ぼんやりと」ながめている段階で候補物件がない、ということは「世の中にない物件(あったとしても出会う確率が極めて低い物件)を探している、ということです。

いくら次々に不動産会社を訪ねてもないものは紹介できません。ここまでのステップを踏むことで、こういった「ないものねだり」で時間を浪費することを防ぐことができ、いつの間にかみなさん自身の中に「相場感」ができあがっていきます。これがポータルサイトをうまく活用することのメリットです。

4-5. 意外と知らない!「自分が本当はどんな物件に住みたいか」


>リノベーション事例「CIRCUIT」|リノまま

ここまでみてきてどうでした?

実は私は自分でこうやって探しているとついつい時間を忘れて脱線してしまいます。

どうしても好奇心が先に立って、「1億円の予算にしたらどんな物件がでてくるんだろう」とか行ったことのない場所にカーソルをあてて「ここはどんな街だろう?どんな物件があるんだろう」とか。

「昔住んでた町の近所のマンションはいくらぐらいするんだろう?」とか。

ふと目についた「リノベーション済みマンションってどんな物件になってるんだろう?」とか。

ただ、そんな風に好奇心にまかせていろいろと眺めていると、思わぬ「出会い」が待っています。

築年数や駅距離や、いろいろと「条件」はいってみたものの、そんな「条件」とは似ても似つかないのに気になるアイツ。

運命の出会いは突然に。「一目惚れ」です。

物件探しや物件選びって、結婚相手を選ぶのとどこか似ています。

いくら「条件」を並べてみても、条件がそろった物件だから買う、というわけでもないし、なぜか条件から大きく外れているのに気に入ってしまって買ってしまう、ということも。

皆さん「本当はどんな物件に住みたいか」「本当は何をもとめているのか」
なんて自分自身ですらよくわかっていないものです。

「物件探し」は「自分探し」!

だからこそ「ぼんやりと」眺めて、色んな条件を変えながら眺めてみて、「何か気になるな」をみつけていくことが大事なんです。

こんな「出会い」は自分で「主体的に」物件探しをやってみないことには絶対に訪れません。

自分で動いてみたから「直観」が働く、そんなメリットも大切にしましょう。

5. 信頼できる不動産会社の探し方

さてさて、物件の候補はみつかりましたか?

いよいよ準備完了!さあ内見しよう!いよいよ不動産会社の出番です。

でもちょっと待った!!

SUUMOやHOME’S、At Homeなどに記載してある電話番号にそのまま電話をかけようとしていませんか?

これらのポータルサイトは売主様の代理人である不動産会社が掲載していることが多いもの。おまけにリノベーション工事について詳しい会社かどうかもまちまちです。

先にも述べた通り、一部の例外をのぞけば、どこの不動産会社でもどこの物件でも紹介することが可能です。

それでは一体、どんな不動産会社に頼めばよいのでしょう?

5-1. 物件探しや物件選びでの不動産会社の役割

多くの方が誤解していますが、不動産会社がどこであっても、取り扱いできる物件の情報量には殆ど差異はありません。

※もちろん「囲いこみ」によって紹介できない物件や、売主さまの事情で特定の不動産会社にしか情報をださない、という物件も市場にはありますが、これらは一部の例外です。

それでは不動産仲介会社にはどんな役割を求めればよいのでしょう?

物件探しは結婚相手を探すのとよく似ています。

「直観」と「ロジック」をいったりきたりしながら見つけていくもので、どちらが欠けてもよい物件には出会えません。

「直観」は物件を探すあなた自身が主体的に動かないと働くことはありませんし、どんな専門家でもそれだけはアドバイスできません。

一方で「ロジック」の部分である物件の条件の考え方や専門的な調査については「専門家」の意見をききながら組み立てていかないと容認できないようなリスクを見落とすことになりかねません。

不動産会社は「専門家」です。ここまで皆さんが自分で物件探しをしてきてみてきたいろいろな情報や感覚・直観に対して、「専門家としてのアドバスができるかどうか」が最も重要です。

5-2. 信頼できる不動産会社の見極め方

先にも少し述べた通り、どんな不動会社があっているか、はあなた自身が物件探しにあたって重要視する「条件」によって変わってきます。

・自分は住んだことがないけど、どうしても特定のエリアに住みたい
→そのエリアの住環境全般、治安の情報などをよく知っている不動産会社に相談するのが一番です。大手不動産会社よりも、地場で古くから不動産仲介業を営んでいる会社の方がよいかもしれません。

・購入した物件でリノベーションをして自分らしい住まいにしたい
→リノベーションやリフォームを考えていて、特に内装にこだわりがあるのであれば、不動産の専門家というだけでは心元ないでしょう。リノベーションやリフォームの工事での注意点、できることやできないことの判断、リノベ費用・リフォーム費用の見極めなどが大きな意味をもつので、建築の知識も豊富なワンストップリノベーション会社に相談するのがよいでしょう。

↓ワンストップリノベーション会社の選び方は以下を参考に!

「ワンストップリノベーション」vs「不動産とリノベを別々に依頼」比べてみました!失敗しない会社選びとは!?

・古い住まいも同時に売却したい、古い住まいの住宅ローンの残債も整理したい
→単に不動産のことだけでなく、住宅ローンの知識も豊富な会社に相談するのが一番です。不動産会社や担当者によっては住宅ローンのことなどは金融機関の担当者を紹介してくれるだけで知識はあまりない、といったケースもあるので注意が必要です。

このように、自分たちがどんな「専門性」を求めるか、によってどんな不動産会社がよいかが大きく変わってきます。まず「どんな会社があっているか」を考えましょう。

5-3. 不動産会社の担当者の見極め方2つ

不動産会社も結局最後は「人」です。いくら専門知識を豊富にもっていても、担当者のスタンス次第では信頼できるかどうかは大きくかわってきます。

大切な住まいのこと、大きな買い物を相談するパートナーです。少なくとも以下の2つのポイントは押さえておきましょう。

・物件のマイナスな情報を積極的に伝えてくれるかどうか
→世の中には「完璧な物件」は存在しません。どんな物件にもよいところと悪いところが必ずあります。しかもそれらは物件探しをしているあなたがどんな条件を求めるかによっても、良いところや悪いところは変わってきます。一般的に「優良物件」といわれているものでも、細かくあなた自身の希望条件と照らし合わせていくとあわないところは必ずあります。

あなたにとってこれからの暮らしがよくなる物件とは、そんな欠点も含めて愛せる物件です。

物件のよいところだけを盛んにアピールして無理に物件を買わせようとしてくる担当者ではなく、本当にあなたにとってよい物件探しができるように物件のネガティブな情報をしっかり伝えてくれる担当者の方が信頼できるのではないでしょうか?

・物件探しでいきづまったときにアドバイスの引き出しを沢山もっているか
→物件探しでは必ず行き詰るタイミングがあります。条件を見直さないと候補物件が出てこない、とか、前述したその物件のデメリットを自分自身が許容できるかどうか判断がつかない、とか。そんなときに、少し違った角度から考えるヒントをもらえると視界がひらけてきます。

例えば、「マンションの1階はNG」という条件で物件探しを進めていたとしても、「1階だから子供が走り回っても気にしなくてよい」とか「防犯面は警備会社のサービスを契約すればカバーできる」とか「庭から家に直接出入りできて学校にいきやすい」といった具合に、NGにしていた理由によっては他のものでカバーできたり、別のメリットを考えたら、メリットの方が大きく感じられたりするかもしれません。

こんな引き出しが豊富な担当者が相談相手にはふさわしいのではありませんか?

5-4. 仲介手数料0には要注意!

物件探しで不動産仲介会社を利用すると「仲介手数料」として「物件価格の約3%+税」がかかってきます。物件によっては100万円を超えるような大金です。

不動産会社によっては仲介手数料ゼロや仲介手数料割引を謳っています。

お金を節約できるのはよいことなので、ついついこういった不動産会社に目がいきがちです。

でも不動産会社がここにあげたような「専門家としてのアドバイスや調査」をしっかりとやろうとすると必ず手間もコストもかかってきます。それも多くの方は物件探しとして2ヶ月から半年くらいの期間をかけるので、成約しなかった物件にたいしても調査やアドバイスはおこなっています。

仲介手数料はいわばこういった「専門家としてのアドバイスや調査」に対する対価です。

仲介手数料が0になったり割引になったりする、ということは必ず他のどこかでそれらのコストを回収する仕組みがある、ということです。

会社によっては紹介してもらえる物件の種類に制限があったり、ローンのアドバイスはあまりもらえなかったり、リノベーション工事を発注することが必須になっていたり、内見は~件以内といった条件があったりします。

こういった仲介手数料の割引については必ず割引ができる理由を確認した上で、自分たちが不動産会社に求める「専門家としてのアドバイスや調査」が十分にやってもらえそうかどうか、を見極めるようにしましょう。

自分たちがあまり必要としていないサービスがない分、仲介手数料が安くなる、というのであれば積極的に利用するのもりですが、仲介手数料の割引と引き換えに、自分たちが求めている「専門家としてのアドバイス」が得られないのであれば、物件探しに大きなリスクを抱えることになります。

5-5. 最終的に物件を決めるのはあくまであなた自身

最後に、あたり前のことですが、どれだけよいパートナーをみつけて一緒に物件探しをしても、「この物件を買う!」という決断をするのはあなた自身です。

物件探しを全て不動産会社にまかせていたとしても、この「決断」だけはあなたが主体的におこなわなければありません。

何度か書いてきたように、完璧な物件は世のなかにはありません。安い物件には安いだけの理由があって、みなが「良い」と感じるような資産性の高い物件は必ず「高い」ものです。

どんな決断をするとしても長く続く年月を考えれば必ず「リスク」はあります。

その物件のメリットやデメリットをみて、「あなたにとって許容できるリスクかどうか」をあなた自身が見極める必要があるのです。

「物件探し」はそれだけ重い決断が待っているものなので、どうせなら最初から主体的に、自分で動きながら楽しくすすめた方がよいのでは?そんな風に私は考えます。

6. 「暮らし探し」からはじめるリノままの物件探し

リノままではいきなり物件探しをはじめることはありません。

まずは「暮らし探し」と「無理のない資金計画」からスタートします。

私たちは「暮らし」を主語にして、「どんな暮らしがしたいか」そのために何が必要か、といったことをあなたと一緒に考えることを大切にしています。

こうしてつくりあげた「暮らしのコンセプト」から物件探しに必要な条件やリノベーションで実現したい内容を導きだしていきます。

ちょうどここであげたようなプロセスを一緒にすすめていくようなイメージです。時間も手間もかかるので、多くのお客様を一度にご対応することはできませんが、ひとりひとりのお客様とじっくり丁寧にむきあってきています。なので、申し訳ありませんが仲介手数料の割引もできません。

それでも「中古を買って、リノベーション」をこんな風にすすめてみたい、という方はぜひお声がけください。「暮らし探し」のコツをお伝えします。

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