「中古を買って+リノベーション」では 予算に「ヘソクリ」と「柔軟性」を持たせよう!

たかが予算、されど予算。
物件にいくら、リノベーションにいくら、なんて総額予算を決めたところで、「運命の出会い」は突然に!200万円予算オーバー、どうしよう?!

そんなとき、予算に仕組んだ「ヘソクリ」と「柔軟性」、「痛みを伴うイメージ」で後悔しない選択をしましょう!

高原太郎

[著者]

高原太郎

宅地建物取引士。映画館勤務を経てリノベーションへ。リノままの一員として多くのお客様の住まいづくりに関わる。現リノまま広報。

「中古を買ってリノベーション」で予算管理が難しい理由

中古のマンションや戸建を購入してリノベーションしたい、といった際、非常に難しいのが予算の管理です。

多くの方が予算オーバーに苦しみます。何故そんな風になってしまうのでしょう?

わからないことが多い中で予算をたてる

皆さん予算をたてる段階では当然ながらどんな物件を買うかが決まっていません。そうすると、同じようにいくら位でリノベーションするか、もわかりません。

わからないことが多い中で予算をたてることになるため、いくらまでの物件を買えばよいか、いくらのリノベ費を見込めばよいのか、物件情報を目にするたびに毎回悩みながら進めることになります。

そうするとどうしても予算の精度は低くなってしまいます。

いつのまにか費用が膨張する

わからないことだらけの中でまず物件探しをはじめると、最初に不動産会社に相談することになります。

不動産会社はどうしても建築のこと、リノベーションのことの専門家ではないので、リノベーション費用がどのくらい必要か、や物件の特性に応じて注意すべきポイントなどは十分に説明することができないケースが殆どです。

不動産会社にきいた概算のリノベ費をもとに物件探しをしてしまうと、いざ物件を買った後でリノベ会社やリフォーム会社に相談した段階で「リノベーション費用が足りない」という事態に陥りがちです。

おまけに不動産会社は物件を買ってもらうまでが仕事。買った物件で目的のリノベーションがしっかりできるかどうか、までを責任もって考えてもらうのはなかなか難しいでしょう。 だからこそ、「中古を買って、リノベーション」ではワンストップリノベーションの会社に全体の予算管理をしてもらいながら物件探しをはじめる、という方法が有効なのです。

ワンストップリノベーションの場合の進め方は↓の記事で詳しく解説しています。

⇒リノまま【知る・調べる】「ワンストップリノベーション」vs「不動産とリノベを別々に依頼」比べてみました!失敗しない会社選びとは!?

さらに現在(2023年10月)では中古マンションの物件は値上がりが続いており、リノベーションに関しても職人の人工代、設備や材料の費用などは全て値上がり基調にあります。

「中古を買って、リノベーション」では物件探しやリノベの設計に短くとも数か月以上の期間が必要です。そのため、予算をたてた時点では相場とマッチしていたとしても、時間がたてばたつほど値上がりする相場との乖離がでてきてしまう、ということになってしまいます。

「中古を買って、リノベーション」で予算オーバーになりやすい理由

それでは具体的に予算オーバーになりやすい原因をいくつかみていきましょう。物件を購入する段階、リノベーションを検討している段階、それぞれに落とし穴があります。

物件購入諸経費を見落とす

「中古を買って、リノベーション」をスタートする際、多くの方は「物件価格+リノベーション費用」のことだけを考えています。

が、実際にかかってくる費用は物件価格とリノベーション費用の合計ではありません!
みなさん忘れがちなのが「物件購入諸経費」。いざ物件を決めて「この物件を買おう!」ってなったときに気づく方も沢山います。

「不動産を買う」ためには実際にはいろんな経費がかかってきます。

中でも大きなものは以下の3つ!

①登記関連費用:大半は不動産を購入した際にとられる「登録免許税」という税金です。

 通常は司法書士の先生に支払います。

②住宅ローン関連費用:融資手数料や保証料など名目はいろいろありますが、住宅ローンを借りると結構な金額の費用がかかります。

 金融機関に支払います。

③仲介手数料:不動産を買うときに仲介会社に支払うものです。

主なものは上記の3つほど。いずれも数十万円単位でかかってきますのでトータルで何百万円にもなるので意外に大きな出費です。

これらを見落としていて予算オーバーになる、というのはよくあるパターンです。

予備の費用を見込んでいない

新しく家を買う、そこに住む、といったことを考えると登記費用や住宅ローン関連費用、仲介手数料以外にもいろいろとお金がかかってきます。

引っ越し費用がかかったり、火災保険を購入時に何年分かまとめてはらったり、家具がほしくなったり、リノベ工事が終わるまでの家賃がかかったり、契約書の印紙代がかかったりと、1万円~2万円くらいの出費については感覚がマヒするくらいにいろいろと費用がかさみます。

物件購入諸経費は主要なもの以外にも細かくかかるものが沢山ありますし、それらはどうしても個人差があります。家具や家電製品の購入や引越し費用、火災保険などにどのくらいお金をかけるかはみんなバラバラです。

物件購入の諸経費、よく「物件価格の7~8%をみこんでおきましょう」なんて言われます。先ほどお伝えした主なものだけを考えるのであればおそらく大丈夫ですが、その他の様々な費用まで考えるのであれば、実際には「物件価格の10%程度」をみておいていただいた方が無難です。

リノベーション費用を十分にとっていない

次にリノベーション費用の見立てです。リノベーション費用は、対象となる物件の特徴や築年数、希望のデザインといった様々な要素で増減しますし、どこのリノベーション会社で設計や工事を進めるかによっても変わってきます。

⇒リノまま【知る・調べる】マンションのリノベーション費用はわかりづらい?リノベ費の仕組みと相場

そもそもリノベーション費用の見立て自体が非常に難しいものです。

内装を一新する「フルリノベーション」の費用相場は1㎡あたり税込16万円~22万円程度です。

戸建で検討する場合はこれらに加えて、屋根や外壁、外構といった家の「外側」の改修費用もかかってきます。

仮に内装だけのリノベーションを考えていたとしても、これだけ幅があると、例えば60㎡のマンションのフルリノベーションを考えても960万円~1320万円と大きな費用の差がでてきてしまいます。

リノベ費の予算を1000万円で見込んでいたとしても、いざ物件が決まってリノベプランを問い合わせてみたら300万円も予算オーバーしてしまう、ということがおこりうるのです。

予算オーバーにならないための対策

それでは予算オーバーにならないようにするためにはどうすればよいのでしょう?

予算オーバーになりやすい理由は以下の3つに整理されます。

・「わからないことだらけの中で予算をたてる」=全体像がみえない、ということ

・「見落としやすい費用=物件購入諸経費」があること

・「見極めが難しい費用=リノベーション費用」があること

それぞれの理由をつぶしていくことで予算オーバーへの対策ができます。

まず総額予算を決める

「中古を買って、リノベーション」では物件の目途が立つまでは物件価格もわからなければ、リノベーション費用も見当がつきません。物件価格がわからなければ物件購入諸経費の見立てもできません。

でも総額予算だけは決めることができます。なぜならお住まいを購入するにあたって「どこまでお金をつかってよいか」は皆さんそれぞれの収入や今後のライフプランに基づいて考えることができるからです。

「この先の暮らしを考えたときにどのくらいお住まいにお金を使ってよいか」をまず考えて、そこからでてきた総額予算を物件、諸経費、リノベ費などに振り分けていく、という形にすると、全体像がみえているので安心です。

総額予算を考えるには↓の記事も参考にしてくださいね。

⇒リノまま【知る・調べる】 中古を買ってリノベーションするメリットは?予算の考え方と合わせて解説

リノベーション費用の予算の建て方

仮に総額予算が4000万円としてみましょう。次はその予算の振り分けです。

それらをリノベーション費用、物件価格、物件購入諸経費の3つのブロックにわけていきます。

まずはリノベーション費用から。前述の通り「フルリノベーション」では1㎡あたり税込16万円~22万円程度の費用が必要ですが、この1㎡あたりの目安自体にも幅があります。

リノベーション費用のブレを防ぐためには、できるだけスタート前の段階で「どこの会社にリノベーションを頼むか」を絞り込んでおくのが理想です。

それぞれの会社の施工事例をみたり、個別相談にいったりしたりして、リノベーションの希望内容などを話していく中で、それぞれの会社のおおよその費用感がみえてきます。

リノベーション会社の選び方のコツは以下をご覧ください。

⇒リノまま【知る・調べる】 どこみても同じに見える!リノベーション会社の選び方

ちなみにリノままではフルリノベーションの費用感は1㎡あたり税込18~20万円程度。ファミリータイプ、70㎡の場合だと1300万円~1400万円くらいみていただくのが無難です。

物件価格の予算の建て方

4000万円のうちリノベで1300万円、とした上で、残りの2700万円を物件価格と諸経費に分けていきます。

物件価格の10%くらいの諸経費を見込むと概算で物件2450万円、諸経費250万円となります。

以上をまとめると下記のようになります。

〇総額予算4000万円 70㎡ファミリータイプ想定

 リノベ費:1300万円

 物件価格:2450万円

 諸経費 : 250万円

これでおよそのイメージがわいてきました。

が、あくまでこれは「予算」です。実際に物件探しを始めてみると、この物件価格ではなかなか「いいな!」って物件に出会えないことも多々あります。

同時に少し高いけれど数多くの「リノベーション済み物件」にも出会います。

そんな「現実」に出会ったときに「予算」を柔軟に調整する余地を残しておきましょう。

たかが予算、されど予算、予算の配分は柔軟に対応しよう!

リノベーション済み物件とは業者が一度キレイにリノベーションしてあって新築同様の内装になっている物件のこと。

もちろんすでに実施してあるリノベーション工事の内容の精査は重要ですが、給排水管などの見えない部分もしっかりとリノベーション工事ができている物件であれば、わざわざ全部壊してスケルトンリノベーションをする必要がないものもあります。

「どうしてもリビングを広くしたい」「室内窓つけたい」「土間をつけたい」こういった希望で一部だけのリノベーション工事であれば、内容にもよりますが500万円くらいで対応できるケースもあります。

そうやって考えると概算でも予算に幅をもたせられます。

 物件価格:2450万円~3200万円

 リノベ費:1300万円~500万円

 諸経費 : 250万円~300万円

ほとんどそのまま住めそうで一部だけリノベする物件ならば3200万円まで!

内装全部一新して思いっきりリノベするような物件ならば2450万円まで!

こんな感じで予算に幅をもたせて柔軟に物件探しをはじめると、検討できる物件も増えていくのでお勧めです。

こんな風に予算は「総額予算を死守しながら配分をうまく調整していく」ことがとても重要です。

なぜならそもそも「総額予算」はあなた自身がこれからの暮らしを考えたときに「住まいのために使ってよいお金」として導き出したものだからです。

予算が足りない、そんなときこそ「痛みが伴うイメージ」を!

さてさて、予算が本当に大切になるのはここからです!なぜならここまではあくまで「机上の計算」にすぎません。

「運命の出会い」は突然に。

実際に物件を探しはじめると、総額予算をあと200万円だせば理想にピッタリの物件が買える!やりたいリノベが全部できる!なんて場面にかならずぶち当たります。

総額予算を守って検討をすすめてきても、「少しならいっか」と予算オーバーを容認してしまいたくなるときこそが要注意です。

多くの方にとって住まいを手に入れる「中古を買って、リノベーション」は何十年にもわたって支払いが続く大きな買い物です。気が大きくなって安易に使うお金を増やしてしまう、というのは絶対に避けなければいけません。

「本当に総額予算を増やしてしまってよいか」を考える際に一度、次の手順でいままでのおさらいをしてみてください。

さきほどの例でいくと

【総額予算4000万円→4200万円にしたい!】

まずはどこからお金を調達するか

 お金の調達方法はこの2つだけ!

 ①自己資金分を増やす or ②ローンの借入を増やす

 ①自己資金分を増やすとき

 自己資金分を増やすには「貯金をもっと使う」「親御さんに援助してもらう」といった様々な方法があります。

 ・「貯金をもっと使う」
 →本当に自分たちの備えとして大丈夫かどうかを確認

 物件探しを始めた当初などで、「全然いい物件がない!」なんてときには、少し待って「がんばって貯金をもっと貯めて貯めた分を使う」って策もあります

 ・親御さんなどに援助してもらう
 →「援助してもらう」と金額や内容によっては「贈与税」の対象になってしまう可能性があるのでご注意を!

 ※詳しくは「住宅購入 援助 贈与税」などで検索してみましょう

 ②ローンの借入を増やすとき

 「100万円借りて35年で返済すると月々3000円くらいの返済」を必ず思い出す!
 →200万円借入を増やすと月々6000円くらい支払いが増える

ローンの考え方の基本は以下もあわせてご覧ください。

⇒リノまま【知る・調べる】中古を買ってリノベーションするメリットは?予算の考え方と合わせて解説

 そうすると、「元々決めていた月々の支払い13.5万円」(もちろん管理費・修繕積立金なども含んでいます)が「14.1万円」に増える!→本当に毎月「14.1万円」を支払っていて大丈夫かどうかを確認!

ざっとこんな感じです。

必ず、「自分の貯金が減る」「毎月の支払が増える」って具合に自分にとって身近な「痛みを伴うイメージ」を描くと、「外食を少し減らせば対応できそうかな」とか「さすがにこれだけ負担が増えるのはきびしい」とか自分たちの暮らしの中での影響をイメージできるようになります。

物件を決めるその前に!予算の中にあるヘソクリをみてみよう!

「この物件がいい!」いよいよ決断するそのときに、いままで「おおざっぱ」に考えていた予算に対して、「実際にかかりそうな費用」を細かくきめていきましょう。

住宅ローンはどんなところで借りるのか、金利や諸経費がどのくらいになるのか、管理費や修繕積立金はどのくらい支払うことになりそうか、などなど。

ここまでの「予算」、実はちょこちょこヘソクリを隠してあります。

お気づきの方はいらっしゃるでしょうか?

例えば「100万円かりて35年で返済すると月々3000円くらいの返済」という目安ですが、変動金利の安い金利0.5%なんかで借りられれば「100万円かりて35年で返済すると月々2595円の返済」にまで返済額が下がるので、3500万円のローンを組んでみても毎月9万円ちょっと(90,825円)の返済にまで節約できます。

物件の購入諸経費も多くの場合、物件価格の10%を見込んでおけば若干の予備費を残しておけます。

こうやって余裕をもっておいた分、「どうしてもこれだけはやりたい!」「予算少しオーバーしそうだけどどうしよう」といった悩みを吸収できるかもしれません。

「安い変動金利は魅力的だけど、将来金利があがったらこわい!」なんて迷いも月々の支払いに余裕ができることですっきりするかもしれません。

実際に気に入った物件が管理費・修繕積立金の合計額が4万円を超えるようなものだったとしても月々の支払いは予定した金額に収まるかもしれません。

「実際にかかりそうな費用」を細かくみていくと、予定外のところで出費がかさんだり、未来のことを考えて不安になったり、ってことがおこります。

それでもこの段階で迷っていたり悩んでいたりする時間はそれほどありません。良い物件は迷ったり悩んだりしている間に売れてしまうからです。

まとめ

予算を組む時点で「おおざっぱに全体像をつかんでおく」という「柔軟性」と、「予定外を吸収できる」という「余裕」をもっておくこと、その上で常に「痛みを伴うイメージ」におきかえられること、この3つがあれば、勢いまかせになることもなく、良い選択ができることでしょう。

もちろん、「自分ひとりだと舞い上がってしまいそうで不安」なんて方は「リノまま」にご相談くださいね。


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