「リノベーション一体型ローン」ってなに?実はこんなメリットがある!利用するために気を付けるべきこととは?
高原太郎

[著者]

高原太郎

宅地建物取引士。映画館勤務を経てリノベーションへ。リノままの一員として多くのお客様の住まいづくりに関わる。

著者の詳しいプロフィール

1. そもそも「リノベーション一体型ローン」とは?


>リノベーション事例「こだわりの家」|リノまま

中古マンションや中古戸建の住宅を購入する際、ほとんどの方は住宅ローンを活用してお金を支払います。

そしてこの「住宅ローン」、購入時におこなうリノベーション費用もあわせて借りることができる「リノベーション一体型ローン」を扱う金融機関が増えています。

最近ではリノベーション費用だけでなく、物件購入時に必要な諸経費の一部も「住宅ローン」の中に含めてもらえる金融機関もあります。

 ※とはいえ要注意
 →【「頭金0」にまつわる危険な誤解!「貯金0」では家は買えない!!住まい探しのスタートに必要なお金っていくら?】

現在(2021年1月)は記録的な低金利の時代と言われますが、低金利であるばかりか、リノベーション費用や物件の仲介手数料、登記関連費用といった購入諸経費など、住宅ローンの資金使途も以前よりずっと広くなって利用しやすくなっている、ということです。

リノままで「中古を買って、リノベーション」するお客様の殆どは「リノベーション一体型ローン」を使って、物件の購入価格もリノベーション費用も両方とも住宅ローンで支払っています。

2. なぜ「リノベーション一体型ローン」を選ぶのか?どんないいことがあるの?


>リノベーション事例「ニューヨークのアパート」|リノまま

なぜ「リノベーション一体型ローン」を選ぶのか、その理由はいたってシンプル。

一般の人々がお金を借りるにあたって、「住宅ローン」が最も金利が「安く」、返済期間も最大35年間と「長く」借りられる方法なのです。

お金を借りるのであればできるだけ「住宅ローン」で借りた方が有利。

多くの方が「リノベーション一体型ローン」を使って、物件もリノベーションも(場合によっては諸経費の一部も)住宅ローンで支払ってしまうのはそのためです。

リノベーション費用で住宅ローンを活用しない場合は、「リフォームローン」といった違う種類のローンを使うことはできます。

それでも住宅ローンは金利が変動金利で0.5%前後~、返済期間は最大35年、といった条件でお金を借りられるのに対して、リフォームローンでは金利が2~5%程度、返済期間は10~25年、といった条件で借りることになります。

すると月々の返済金額も大きく変わってきます。

〇物件購入時、1000万円のリノベーション費用をかりた場合のシミュレーション

A:住宅ローン(金利0.5%、35年)で借りる
→月々25,958円の返済
→総支払額 10,902,385円

B :リフォームローン(金利2%、20年)で借りる
→月々50,588円の返済
→総支払額 12,141,072円

借入期間が短い分、リフォームローンの方が支払い額は大きくなるのは当然ですが、金利でも差がつくので、最終的な総支払額でみても124万円も住宅ローンの方が少なくなります。

また、通常の住宅ローンでは、みなさんが購入した物件に金融機関が「抵当権」を設定します。

これは万が一みなさんが住宅ローンを支払えなくなったときに、金融機関がその物件を差し押さえて売却して、貸したお金を回収できる、ということを意味します。

一方でリフォームローンは「無担保ローン」と呼ばれるもので、特に「抵当権」の設定はありません。

万が一みなさんが住宅ローンを支払えなくなっても、物件を売却してお金を回収することはできません。

あくまで皆さんの返済能力を信じてお金を貸している、ということです。

つまり、住宅ローンでは一定の価値がある物件を担保にしているからこそ、低金利で長くお金を借りることができる、というわけです。

3. 気を付けよう!「リノベーション一体型ローン」を使うときの注意点!


リノベーション一体型の住宅ローンでは、事前審査のタイミングでリノベーション費用の見積もりやリノベプランの図面が必要になることが殆ど。

ということは、物件を決めたらすぐにリノベーションの見積もりと図面が必要です。

「この物件が欲しい!」とみなさんが決断したら、売主様に購入申し込みをして、ローンの事前審査を済ませて、そこではじめて物件の売買契約の締結へ進む、というのが通常です。

このときに、ローンの事前審査の承認を速やかにとっておかないと、他の方に物件を買われてしまう、ということが多々あります。

リノベーションせずに物件を購入するだけ、リノベ費には住宅ローンを使わない、といった方は住宅ローンの事前審査をすぐに進めることができます。

一方で、リノベーション一体型ローンを使うためには、リノベ会社に物件の概要を伝えて、見積もりや図面を作成して、と時間と手間がかかってしまいます。

そのため、どうしても「物件を買う」という競争では不利になりがちなのです。

また、一般的な仲介会社はリノベーション一体型ローンの手続きに不慣れなことも多く、どこの金融機関が一体型ローンを扱っているか、それぞれのお客様に応じてどんなローンを組めば有利か、といったご案内が十分にできないケースもしばしばあります。

なので、リノベーション一体型ローンを使うのであれば、できるだけリノベーションのワンストップサービスの会社を利用することをお薦めします。

ワンストップサービスの会社であれば一体型ローンにも詳しいですし、物件の内見のときから一緒にみているので、事前審査に必要な見積もりやリノベプランの図面作成もスピーディに進めてもらえます。

4. ワンストップサービスを利用していない方はリノベ費のお金に要注意!


>リノベーション事例「ゆったりとした時間」|リノまま

ワンストップサービスを利用していない方は、必ず物件の売買契約の「前」にリノベーション会社に相談しましょう。

一体型ローンに詳しいリノベ会社であれば、いろいろと相談にのってもらえますし、不動産仲介会社との交渉も進めてもらえるかもしれません。

大事なのは「物件の売買契約前」であること。

物件の売買契約には「どこのどんなローンを借りてお金を払う」「ローンの本審査が通らなかったら契約を解除できる」といった項目が謳われています。

契約を結んでしまった後に、一体型ローンを準備することになった場合、リノベ費のローンが出なかったからといって「やっぱり物件を買わない」なんてことはできなくなってしまいます。

リノベ費を自己資金で支払おうとしていた場合でも同じです。

リノベ会社に相談したら「希望の内容ではリノベ費のお金が足りない」なんてことを言われてしまうこともよくあります。

そんなとき、「リノベーション一体型ローンを使って資金調達をする」、「リフォームローンを使って資金調達をする」、「もしくはそもそもお金が足りないからその物件はあきらめる」、といった選択肢を選べるのもあくまで「物件の売買契約前」までです。

5. 逆にリフォームローンはどんなときに使うのか?


>リノベーション事例「CIRCUIT」|リノまま

ここまでお伝えしてきたように、リフォームローンは全体的に住宅ローンよりも金利が高く、借入期間が短い、というデメリットがあります。

でもデメリットばかりではありません。

先ほどご説明した通り「無担保ローン」なので、リフォームローンについては「抵当権設定費用」という司法書士の先生に支払う登記費用が発生しません。

そのため諸経費が少し安くなります。

また、「無担保ローン」ということは、「どんな物件を買うか」は審査にほとんど影響しません。

住宅ローンでリノベ費を借りようとしても、「物件が古すぎて希望金額全額は貸してくれない」といった場合でも、リフォームローンならば借りられる、というケースもあります。

借りる方の職業や勤続年数、収入といった「属性」についての審査も、住宅ローンほどは厳しくみられない、というケースもあります。

もちろん、ローンはご自身の返済能力やライフプランに無理のない範囲で借りる、というのが大前提です。

それでも、例えば「転職したばかりで収入は十分あるのに住宅ローンでは希望金額全額までは貸してくれない」とか「築年数が古いために住宅ローンが全額借りられない」といった、返済能力に関係のない部分でローンに苦戦しているときに検討するのもアリです。

リノままでは金利1%台と他より安くて使いやすいリフォームローンもご案内していますので、「しまった、一体型ローンが使えない!」なんて方もご相談くださいね。


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