中古戸建ての土地 形状や向きによるメリットとデメリット
- 公開日:2022.1.21
- 更新日:2023.10.20
前回までは、戸建ての「構造」・「築年数」・「サイズ感」についてお話ししました。
中古物件を探し始めると、道路や敷地の条件もいろいろですよね。
そこでそれぞれの特徴をまとめてみました!
道路付けの方角についてはそれぞれ良しあしがあります。
ここでは抜粋してそのポイントをお伝え致します。
南道路の土地と、北道路の土地の違いとは?
物件を探す際に、土地の道路付けにはどのような違いがあるのでしょうか?
一般的には南道路や東南角地などが良いと言われていますが、一概にはそうは言えません。
北道路でも立地によっては良いこともあります。
上記の図は同じサイズの土地に同じサイズの建物を配置したレイアウトになります。
パッと見て、お庭や駐車場など全体的に比べていかがでしょうか?
例えば、間口(道路に接している部分)10m×奥行き13mの土地(130㎡=39.3坪)の場合には下記の図のようになります。
南道路の特徴
<メリット>
・南が道路なので、日当たりが良く、風通しも良い
<デメリット>
・価格が高め
・道路からの目線が気になる為、プライバシー対策が必要
・建築の場合の斜線制限が影響しやすい
・北側の離隔距離3坪分のデッドスペースや、アプローチ長くなるなどのため、お庭がコンパクトになる
北道路の特徴
<メリット>
・価格が安い
・お庭が広めに確保できる
・斜線制限の影響を受けにくい
・プライバシーが守りやすい
<デメリット>
・日当たりや風通し条件が悪いことがある
いかがでしょう?一般的に人気がない北道路の物件もなかなか魅力的にうつるのではないでしょうか?
南道路の土地と北道路の土地で違う斜線制限
前項でも少し触れましたが、例えば一般の住宅地だと、北側斜線制限や道路斜線制限などの建築制限がかかります。
下図のようなイメージで、斜線から飛び出さないように建物を建てないといけません。
南道路接道の場合は斜線制限が厳しくなり、2Fを少し1Fより小さくしてセットバックするといった制限が出やすいですが、北側道路接道の場合は余裕があるので、計画がしやすいというメリットがあります。
将来的に建替え検討も視野に入れる場合はチェックしておいた方が良いポイントです。
北道路でもおススメの立地条件は?
北道路付けだと、どうしても日当たりや通風がとりづらい土地がありますが、次のように日当たりが確保できる場合、デメリットを解消できるかもしれません。
南側が1段低くなっている
上記のように南側が1段下がっている土地であれば、日当たりもしっかりと確保できますし、風通しや眺望も良いですよね。
ただし、土砂崩れなどがおきないように段差部分がしっかりした擁壁で作られているかなどはプロにチェックしてもらうのが安心です。
南側の建物との距離がとれている
上記のように南側建物との距離が取れている土地であれば、しっかりと陽が入りますよね。
南側の建物が平屋などの場合にはもちろん条件は尚良いです。
南側に建物がある場合は建物内の窓から、冬場の太陽高度30度程度でも日当たりがとれるかチェックすると良いです。
北道路の土地のデメリットは「日当たりが悪い」ことです。日当たりが悪くなる理由は、道路が北側なので建物の南側には別の建物や家があるから、です。
従って、土地に段差があったり、隣の建物との距離があったりといった条件でこれらのデメリットが解消されているかどうか、がポイントになるのです。
変形地や高低差のある土地など注意ポイント
旗竿地(敷地延長)
土地の形はなるべく真四角に近い整形である方が良いですが、上記のような旗竿地(敷地延長)というものもあります。
この場合、通常の土地より少し価格が手ごろなのがメリットです。
全体的に廻りの建物に囲まれているので、現地を見て、日当たりなどチェックして条件が良ければ購入を検討しても良い物件ですね。
「再建築不可」の土地に要注意!
そもそも、「道路に面していない土地」に建物の再建築はできません。
※「道路」とは幅4m以上ある公道のこと。幅が狭い道路に面している土地についてもその利用に制限がでてくるので要注意です。
今建っている建物がこの先老朽化したときに建て替えることができず、土地の利用方法が限られてしまうため、土地の価値が極めて低くなります。
さきほど説明した旗竿地(敷地延長)は道路に接してはいるものの、次のような場合は、「道路に面していない土地」扱いになるため、「再建築不可」となります。
一見旗竿地と同じように見えてしまうので注意が必要です。要は「道路に面している」とは道路に出るまでずっと2m以上の通路が確保できるか、ということに影響されるのです。
そもそも道路に面していない土地が「再建築不可」とされるのは消防車や救急車といった緊急車両がはいっていけないと災害時に被害を拡大させてしまうから、です。緊急車両がしっかりと建物のそばまで入れるようにするには2m以上の幅の通路が確保できないといけない、ということですね。
このような「再建築不可」の土地については、住宅ローンが通らないので買うこと自体が困難ですし、将来売却をする際には売れても二束三文、もしくは売ること自体が難しくなってしまいます。
「安い!」といって飛びついて買ってみたら「再建築不可」の土地だった、なんてことはよくあるので、くれぐれも注意してください。
高低差のある土地
さきほど高低差のある土地の場合、日当たりが確保できれば良いとご説明しましたが、高低差が大きい場合は「がけ条例」に注意が必要です。
「がけ条例」とは敷地が一定高さの「がけ」に面している場合に、がけの上または下の一定距離以内の建築を規制するものになります。
細かい制限は都道府県ごとに異なります。
例えば、千葉県の場合はこのように定められています。
がけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外の土地で高さ2メートルを超えるものをいう。以下同じ。)の上にあってはがけの下端から当該がけの高さの1.5倍、がけの下にあってはがけの上端から当該がけの高さの2倍に相当する距離以内の場所に居室を有する建築物を建築してはならない。(千葉県建築基準法施工条例第4条)
東京都の場合は、
高さ2メートルを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高の2倍以内のところに建築物を建築し、又は建築敷地を造成する場合は、高さ二メートルを超える擁壁を設けなければならない。(東京都建築安全条例第6条)
このように、がけの上でも下でも建築の規制がかかる恐れがあります。
規制を守って建てられた建物か、そもそも安全に住むことができそうか、注意してみておくようにしましょう。
敷地の上に送電線が通っていないか
敷地の上や付近を送電線が通っている場合も注意です。
電波障害なども心配なところですし、それだけでなく、高圧の送電線の下などは、一定距離に建築物の制限などがかかり、建物が建てられない、建物の高さが制限されるということがあります。
また、送電線を上空に通すため、「地役権」などの権利設定がされている場合もあります。
将来建て替えが必要になったときなどスムーズに進められるかどうかに影響してきます。
変形地や高低差のある土地では次のような点には特に注意してチェックしましょう。
・4m以上の道路に接道しているか?
・前面道路に2m以上接道しているか?(敷地の内部でも2m以上あるか?)
・高低差のある土地の場合、がけ条例に該当しないか?
・敷地の上に送電線など、ないか?
まとめ
いかがでしょう?
土地の形ひとつとっても様々なものがあります。
もちろん南側道路の土地は人気がありますが、北側道路や旗竿地も「プライベートな空間が確保しやすい」といった魅力があります。
「どんな暮らしがしたいか」をもとにそれぞれのメリット、デメリットをみていくと物件探しもスムーズに進められますよ。
「再建築不可」や「送電線」「高低差」といった専門的な部分については信頼できるパートナーに相談しながら検討するようにしましょう。
もちろんリノままでもご相談をお待ちしております!
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