中古戸建ての選び方 失敗しないポイントは?
- 公開日:2021.6.11
- 更新日:2023.11.14
戸建ての中古物件探しはマンションと比べても難しいことばかり、建物の種類も違えば、そこにかかるリノベーションの費用も大きく違います。
みなさまが疑問に思っているのは、こんなことではないでしょうか。
●中古戸建てはリノベーションの金額がマンションよりもかかる?
●戸建て修繕費はマンションと同じく必要?
●中古戸建ての物件選びはどんなことに注意が必要?
まずは簡単にポイントを頭にいれておきましょう!
戸建てとマンションの物件探しの違い
物件探しをはじめようとしても中古戸建ての場合はすぐに壁にぶつかります。SUUMOなどのポータルサイトをあけて、検索条件を入力するときこんな疑問に直面することでしょう。
・建物面積、土地面積って何?どのくらい必要かわからない
・築年数はどのくらいがよいのかわからない
物件価格に大きく影響するのは戸建もマンションも「エリア・築年数・広さ」の3要素であることには変わりません。
が、エリアのイメージはついても築年数や広さはなかなかイメージが付きにくいのではないでしょうか?
おなじ「中古住宅探し」でも戸建のマンションで最も違うポイントがこの「広さ」と「築年数」の部分です。
※この記事では中古戸建てを中心にご紹介します。中古マンションの探し方については以下をご覧ください。
⇒リノまま【知る・調べる】中古マンションの上手な探し方と注意点~引きこもり物件探しのススメ~
⇒リノまま【知る・調べる】中古マンションの物件選びの極意 物件調査や内見のポイントと注意点
土地と建物の大きさの目安が難しい
建物面積とは購入しようとしているお住まいの広さのこと。土地面積とは建物が建っている土地の広さのこと。
建物のまわりに駐車場スペースが必要かどうか、や何階建ての建物か、などで必要な大きさが変わってきます。
マンションの専有面積をみるのと同じ感覚で広さをとらえてしまうと、「階段のスペースをみていなかった」や「建物の周囲の駐車スペースのことを忘れていた」といったことになりがちなので注意が必要です。
築年数の目安が難しい
中古マンション探しでは「新耐震基準か旧耐震基準か」や「物件価格が下がってきている築20年前後の物件か」が中古物件の狙い目の基準になります。
中古戸建ての場合はまず耐震基準に注意が必要です。2001年の建築基準法改正によって、木造戸建ての耐震基準が大きく変更されています。耐震基準については「旧耐震」「新耐震」に加えて、「2001年基準」に分かれることになります。
この「2001年基準を満たすかどうか」で耐震補強が必要になるかどうか、そのための費用を見込む必要があるか、が変わってきます。
できるだけ2001年基準の物件を選ぶ、次に新耐震基準の物件から選ぶ、というのが基本になってくるので、中古マンション同様、「築20年強が狙い目」という点では変わりありませんが、同じような築20数年の物件でも「2001年基準に該当するかどうか」もあわせてみておく必要があります。
また、中古戸建ての場合は屋根や外壁、基礎とよばれる建物の土台部分の劣化状況や配管の状態など、建物の構造に関わる箇所がどの程度しっかりメンテナンスされているかは物件ごとに大きく変わります。単に築年数だけで物件を絞り込むのではなく、実際に現地をみたときに建物の状態をしっかり見ておくことが重要になります。
※中古戸建ての築年数ごとのチェックポイントとリノベ費のイメージは以下で詳しく解説しています。
⇒リノまま【知る・調べる】中古戸建ての築年数の考え方 古い物件はリノベ費がかさむ!
中古戸建て探しの注意点
中古住宅のなかでも中古戸建てについては、ここまでみてきたような「中古マンションとの違い」がそのまま物件探しを進める上での注意点になります。
大きさのイメージをもつ
先にも述べたように、中古戸建ての物件探しにあたっては建物面積や土地面積のイメージをもってからスタートすることが重要です。
自分たちの暮らしにとって必要な部屋、必要なスペースをまず書き出していくことからはじめましょう。
その際、マンションとは違い、以下のようにスペースをみたてておく必要があるので注意しておきましょう。
・玄関、ホール 3帖程度(マンションより広くなる)
・玄関収納 1帖程度(マンションより広くなる)
・廊下 2.5帖程度(マンションより広くなる)
・階段 2帖程度(マンションでは必要ないスペース)
・洗面室、お風呂 各2帖、合計4帖程度(マンションより広くなる)
・トイレ 1帖程度(マンション同様)
・収納スペース 居住スペースの12%程度(マンションの場合は8%程度)
※1帖=約1.6562㎡
これらのスペースはいずれも戸建の方がマンションよりも広くスペースをとることになります。そのため「2階建ての建物面積70㎡の中古戸建て」は「専有面積70㎡の中古マンション」よりも居住面積は狭く感じられるようになる、ということです。
上記に必要なリビングの広さ、寝室の広さ、子供部屋、書斎の広さなどを加えていくと建物面積のイメージが少しつかめます。
さらに土地の面積となると少し複雑です。建物面積を1階、2階、あるいは3階までに分けると家のワンフロアあたりの面積がつかめます。
それらに加えて
・駐車場スペース 1台あたり18㎡
・庭のスペース
・建物の周囲のスペース(隣地境界、道路からのアプローチ等)
を必要に応じて加えてみると、土地面積のイメージがわきます。
こうして「どのくらいの土地が必要か」「どのくらいの大きさの建物が必要か」の目安をつくっていくのがまず最初のハードルです。
※大きさのイメージをもつための考え方は以下の記事で詳細をご紹介しています
⇒リノまま【知る・調べる】中古戸建て探し 建物や土地のサイズ感を知る
一戸建ての場合もマンション同様メンテンナンス費用は必要
マンションの修繕積立金がもったいないから、一戸建ての方がいいのかな?と思っている方がいらっしゃいましたら、ちょっと待ってください。要注意です!
マンションと同じで一戸建てでも修繕費は必要です!
でも、どのくらい必要なの?と聞かれた際に私が説明しているのは『月々2万円くらいは修繕費として貯蓄しましょう』とお話しています。
「あれ?マンションと変わらない?」と思いますよね。
>住まいのメンテナンススケジュール|住宅産業協議会(クリックで拡大)
表に記載のとおり、外壁・屋根塗装やベランダ防水は10年に1回のメンテナンスが必要で、防蟻処理は5年に一度。
30年で800万円くらいかかる計算です。
そうすると1年あたり26万円くらい。月々2万円くらい必要な計算になり、修繕の費用の面では、マンションとあまりかわりません。
マンションと異なるのは、戸建ての場合には自分で計画的に修繕をしなくてはいけないという点です。
もちろん、草むしりや芝刈り、掃除といったご自身でのお手入れも必要です。
ローンが通らない物件もある
中古マンションでも物件によってはローンが通りづらいものが稀にありますが、中古戸建てではマンション以上に「ローンが通る物件か」は注意が必要です。
古い物件では建築後に増築をおこなっているものの、増築分についての建築確認をうけていない物件があります。これらは違法建築にあたるため、住宅ローンを組むことができません。
また家を建てた後に底地の一部を売却してしまい、「道路に面していない」とか「建蔽率、容積率といったルールを満たしていない」という物件もみかけます。
物件探しをしていて周囲の相場よりも極端に安い物件をみつけた際には注意が必要です。
中古戸建ての内見・物件選びのポイント
ここまでの注意点をおさえたら、あとは中古マンション探しとほとんど同じです。
ポータルサイトで建物面積や土地面積、築年数、エリアの条件を設定して物件探しをはじめてみましょう。
気になる物件をみつけたら、いよいよ資料を集めて現地を見に行く、ということになりますが、ここでも見ておくべきポイントがいくつかあります。物件の中を見ることについてはマンションとあまりかわりませんが、戸建てでは物件の「外側」をしっかりみておくことが重要になってきます。
以下で4つのポイントを紹介します。
建物の構造
中古戸建てを買ってリノベーションを考えている方にとって、建物の構造は非常に重要です。大きく分けると「木造」「軽量鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3種類がありますが、最もリノベーションの自由度が高いのは「木造」の「在来軸組工法」で建てられたものです。
柱や梁で骨組みをつくっている構造なので、壁を壊して間取りを変更する、といった対応がしやすいのが特徴です。
この他「木造」の「2×4工法」は壁で建物を支える構造になるため、「在来軸組工法」に比べると間取変更に制限がありますが、こういった構造でも必要な壁そしっかり計画しておけば間取りなどは比較的自由に変更することができます。
※戸建の構造については以下で詳しく説明しています。
⇒リノまま【知る・調べる】中古戸建てのリノベは「構造」によって費用が変わる!
土地の向き・形状
中古戸建てでは「どんな土地に建物がたっているか」も重要な条件です。特に木造住宅は法定耐用年数も22年と決められており、資産の評価としては「ほとんど土地だけ」といった状況だからです。
一般的には土地の南側が道路になっている、いわゆる「南道路」の立地が日当たりがよいので人気です。
でも土地の北側が道路になっている「北道路」の立地も庭が広めにとれることや道路側が庭にならないためプライバシーを守りやすい、といったメリットがあります。
また、少し価格が手ごろな土地の形状で「旗竿地」とよばれるものがあります。道路に面した通路を通って奥にある敷地とつながっている、というものです。
こういった「旗竿地」に関しては道路につながる通路部分の幅が2m以上ないと、今建っているたてものを壊したら再建築できない「再建築不可」とよばれる土地になってしまい、価値が著しく低い、ローンがつかない、といった問題がでてきます。
他にも崖上の土地なのか、周囲の家との距離が近いのか遠いのか、など、土地については現地にいったり専門家にきいたりしないとわからないポイントが沢山あります。
※土地の形状のチェックポイントは以下で詳しく解説しています。
⇒リノまま【知る・調べる】中古戸建ての土地 形状や向きによるメリットとデメリット
ライフライン
電気・水道・ガスやテレビ、インターネットなど、皆さんが当たり前のように使用している「ライフライン」についても重要な確認ポイントです。
殆どのマンションでは問題なく整備されているものですが、戸建ての中古住宅では決して「当たり前」ではありません。
<電気>
・必要な電気容量は十分あるか
・どこから家に電気をひきこんでいるか
<水道・下水>
・水道はどこから家にひきこんでいるか
・水道の引き込み管の口径は十分か
・下水が整備されているか
・下水がなく浄化槽とよばれる設備が埋設されているか
<ガス>
・都市ガスかプロパンガスか
<テレビ・インターネット>
・テレビアンテナを設置しているか
・ケーブルテレビを使用しているか
・ネットの光回線は引き込み可能か
・これらのライフラインは他人の土地を通ってひきこまれていないか
いずれもライフラインがしっかり利用できるかどうかや利用にあたって費用が発生するかなどに関わるポイントです。
現地でみておかないとわからないことも沢山あるのでしっかりみておきましょう。
※中古戸建てのライフラインについて様々な注意点は以下で詳しく解説しています。
⇒リノまま【知る・調べる】 中古戸建てのライフライン 調査ポイントと注意点
屋根や外壁・基礎工事の状態
あとは建物そのものの状態です。
屋根や外壁がいたんでいないか、基礎工事とよばれる土台のコンクリートの部分にクラック(ひび割れ)が入っていないか、もし傷んでいるとしたらどの程度の傷みか、などです。
室内でも雨漏れのあとがないか、をあわせて確認しておくとよいでしょう。
いずれも屋根や外壁、基礎工事の補修費用をどのくらいみておかないといけないか、というポイントに直結しますし、数百万円規模でリノベーション費用が変わってきます。
中古戸建てのリノベーション費用
ここまで中古戸建ての物件探しや現地を見る際の注意点をあげてきました。
それでは中古戸建てのリノベーションの金額はどのくらいかかるのでしょうか?
マンションであればフルリノベーションで㎡あたり税込18~20万円程度、といった具合にイメージがわきます。
一方で戸建に関しては物件によってリノベーション費用が本当にまちまちです。
1,000万円でできるものもあれば、極端な話、3,000万円かかるなんてこともあります。
戸建てリノベは大きく『内装リノベーション』と『内装+外装リノベーション』にわけられます。
これらに付随して、『修繕工事』や『耐震補強』、『外構リノベーション』などの工事が必要なケースもあります。
全てをやろうとすると場合によっては建替えた方が安い!なんてこともあります。
●『内装リノベーション』
マンションリノベと同様に、新しいキッチンやお風呂、間取りも変更して…など、中だけを自由にリノベーションするイメージです。
細かくは建物の構造、年代にもよりますが、費用感は大体マンションリノベと同じくらいか若干プラスくらいのイメージです。
例えば、90㎡の建物なら『1300万円~1700万円』あたり。
●フルスケルトンの『内装+外装リノベーション』
内装のリノベーションだけでなく、『玄関位置を変える』『窓を大きくする』や『外観デザインを変える』『屋根や外壁を新しくする』など外装のリノベーションをする場合です。
費用感は内容にもよりますが、『1700万円~2500万円』など一気にコストがあがります。
●その他付随する工事、『修繕工事』や『耐震補強』、『外構リノベーション』
内装だけのリノベーションでよくても、外壁や屋根が傷んでいたり、古い家の場合は何かと修繕工事が必要なケースがあります。
例えば、外壁・屋根塗装で150万円、雨漏れがあれば直すのに50万円、耐震補強が必要な場合は100~200万円、お庭をリノベーションなら200万円~300万円などの工事が必要なこともあります。
ここであげた金額は建物や年数により異なるので、実際にいくらかかるのかは建築士のいる会社に良く相談したほうが安心です。
※中古戸建ての築年数ごとのチェックポイントとリノベ費のイメージは以下で詳しく解説しています。
⇒リノまま【知る・調べる】中古戸建ての築年数の考え方 古い物件はリノベ費がかさむ!中古戸建ての物件探しは建築士のいるリノベーション会社にお願いしたほうが良い
ここまでみてきたように中古戸建ての物件探しはマンションとは大きく異なります。
マンションであれば外周部のコンクリート部分を除けば、自由にリノベーションができるのがほとんどであるため比較的簡単であり、建築士の資格もいりません。
ですが、戸建ての場合の物件は建物の仕様や、構造も違うし、リノベーションの自由度も費用もかわってきます。
●一戸建ては物件が調べにくい(所在不明、立地が不明)
マンションの場合は建物名が出ているのでわかりやすいですが、一戸建ての場合はWEBで調べても住所が掲載されていません。
そのため、不動産屋さんにその都度問合せしないとわからないので大変
●様々な工法で建てられているため、プロでないとリノベーションの自由度の判断がむずかしい。
●築年数によりかかるコストが大きく変わる
●メンテナンスされているどうかが重要
マンションは管理会社がしっかりとサポートしながら大規模修繕等を行っているので安心ですが、一戸建ての場合は売主次第でしっかりとメンテナンスされている建物もあれば、全然メンテナンスがされていなく、構造が劣化している建物もあります。
●さまざまな法令が関係するため、建築士でないと判断がつかない
以上のような理由からマンションのリノベーションとは異なり、多岐にわたる知識が必要なため、戸建て経験のある建築士の在籍する会社にお願いするのが安心なのです。
リノままでは、「戸建てのリノベーション」はもちろんのこと、「中古戸建て探し+リノベーション」のご相談も承っております。ご希望の方はぜひご相談ください。
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〇 中古戸建てのリノベは「構造」によって費用が変わる!
戸建ての構造は大きく分けて、木造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造があります。
物件の構造によっては、リノベーション費用が余計にかかったり、プランの制限が出たりすることもあるのです。
〇 中古戸建ての築年数の考え方 古い物件はリノベ費がかさむ!
続いて見極めるポイントは、「築年数」。
一見、築年数が古ければ古いほど、物件価格は安いように見えますが、
その後リノベーションすることも考えると、結果的にお買い得なのはどちらなんでしょうか?
耐震基準によって異なる物件の特徴や、それによって必要な工事のステップから、探すべき物件の条件をご説明していきます。
〇 中古戸建て探し 建物や土地のサイズ感を知る
中古戸建てを探してみよう!と思った時に分かりづらいのが「建物」や「土地」のサイズ感。
「マンションなら70㎡や80㎡でもイメージしやすいけど、一戸建ては階段や廊下などのスペースもあるから同じ70㎡や80㎡だと狭いし、どれくらいの広さが必要なのかなぁ。」
「建物の図面は掲載されているけど、部屋の広さも分からないし、1Fと2Fの大きさも分からない。土地の形状も書いてないし、駐車場があるのかどうかもわからない」など。
そこで、まず、どのくらいのサイズの建物、土地を探せばよいか自分達の求めている「サイズ感」を確認していきましょう。
〇中古戸建ての土地 形状や向きによるメリットとデメリット
中古物件を探し始めると、道路や敷地の条件もいろいろ。
そこでそれぞれの特徴をまとめてみました!
〇中古戸建てのライフライン 調査ポイントと注意点
給排水、電気、ガス、TV、インターネット、電話…どれも当たり前のように使っている「ライフライン」 見落としがちですが、戸建探しではお家の前までひかれているかどうかは様々。 しっかり見ておかないと思ってもなかったところでお金や手間がかかってしまうので要注意!
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