50代からのリノベーション計画~これからの暮らしを楽しむ住まいの作り方
- 公開日:2024.9.30
- 更新日:2024.9.30
住まいのリノベーションを考えるタイミングはいくつかあります。
中でも年齢的に50代は、老後を見据えたライフスタイルの変化や、子供が巣立って家族構成が変わるなど、生活が大きく変わるタイミングです。
それに合わせて、これまでの住まいを見直して、リノベーションをすることで、新しい生活を一層充実させることができます。
50代からのリノベーションを考える際には以下のポイントをおさえて計画をしていきましょう。
- 現在の状況を把握する
- リノベーションの目的を決める
- 老後を見据えた予算と資金計画を立てる
この記事では、50代にさしかかり、ライフスタイルの変化とともにリノベーションを考えている方に向けて、リノベーションを成功に導くためのポイントや資金計画、成功事例などをご紹介します。
50代からのリノベーション状況別アプローチ
50代とひとくくりに言っても、それぞれ置かれている状況は異なります。それによってリノベーションのアプローチも異なってきますので、まずはご自身の置かれている状況を把握することからスタートしましょう。
子育て終了後の二人暮らしの場合
お子さんが就職して家を出て、夫婦二人暮らしになったタイミングでリノベーションを考える方は多いと思います。
この場合は、これまでお子さんが利用していた部屋など空いて余裕ができた生活空間をどのように利用するか?がリノベーションのプランの主題になってきます。
また、資金面では学費の負担がなくなることで、余裕も出てくるタイミングです。一方で、これまで子育てに資金がかかっていたことで、貯蓄が少なくなっている事もあるかもしれません。その場合、資金計画にあたっては、自己資金とローンの借入のバランスの取り方が重要になります。
子育て中、お子さんとの同居中の場合
50代とはいえ、まだお子さんが学校に通っていたり、将来お子さんが家を出るのかは未定だったりという方もいらっしゃるでしょう。
この場合、リノベーションの点では、将来の変化を想定した可変性のあるプランを考えることがポイントになります。例えば、子供部屋を確保しつつも、将来的には趣味の部屋に転用できるように広さや配置を考えるといった事が考えられます。一方で、この先も一緒に住むという場合には、結婚等で家族が増えた場合に必要な広さがあるかどうかといった点も検討が必要です。
資金計画の点では、お子さんが学校に通っている場合は学費の負担がしばらく続くため、学費を除いて用意できる自己資金やローンの返済負担を考えましょう。また、お子さんが就職していて同居をする場合には、親子でローンを組むという方法もあります。その場合は住宅の登記上の持分の設定や贈与税の負担などがかかわってきますので、税理士等の専門家に事前に相談をしましょう。
ただ、いずれにせよ、子育て中の場合は不確定要素が多くなるため、まずは親子の間で今後の暮らし方について話し合うことが大切です。
二人暮らし、一人暮らしの場合
これまでもお二人やお一人で暮らしてきた方は、大きなライスタイルの変化がなければそのままの状態で住み続けるという選択肢もあるでしょう。
一方で、住み始めてから10年、20年と時間が経っているなら、設備の老朽化も目立ってきて、設備のリニューアルを検討が必要になる時期にもなってきます。そういった設備のリニューアルに合わせて、今後のバリアフリー対策や、より暮らしを楽しめる住まいにリノベーションするには良いタイミングと言えます。
資金計画の面では、家計の大きな変化がなければ、比較的検討はしやすい状況かと思われます。定年後の生活も見据えて、老後の資金や趣味に使いたいお金などを改めて見直しつつ、無理のない資金計画を立てましょう。
親世帯との同居の場合
50代は、親御さんとの同居の可能性も考える時期でもあります。
同居をする場合には、将来的な介護も見据えて、バリアフリー対応のリノベーションがポイントになります。室内に手すりをつけるといった比較的簡易なことから、室内全体の段差をなくす、廊下や扉の幅を広くするといった大規模な工事まで、プランには幅があります。
それにより工事費も大きく異なり、資金計画も変わってきます。ご両親と同居することでご両親からの資金提供もあるかもしれません。その場合は、贈与税や持分といったことがかかわってきます。この場合も事前によく税理士等の専門家へ相談をしておきましょう。
50代からのリノベーション目的別アプローチ
50代からのライフスタイルや家族構成の変化とともに、今後、どのような暮らしをしていきたいか? そのために必要となることはどんなことがあるのか? といった視点でリノベーションの目的を考えてみましょう。
空いたスペースを利用して暮らしを楽しむリノベーション
お子さんが巣立った後は子供部屋が空きスペースになります。その空き部屋を趣味を楽しむ空間にしたり、全体的に間取りを変更してLDK を広くしたり、家事動線を見直して暮らしやすい間取りにしたりと、これまでとは違った考え方で日々の暮らしを楽しむリノベーションができます。
・好きな音楽を存分に聴きく個室がほしい
・大画面で映画を見られるホームシアターを作りたい
・料理を楽しめるようにこだわりのキッチンを作りたい
・あこがれていたインテリアに囲まれた空間を作りたい
などなど。これまで楽しんできた趣味はもちろん、これからチャレンジしたいことも考えて、自由な発想でリノベーションのプランを考えてみましょう。
快適性や安全性を向上するリノベーション
住み慣れた家であっても、築年数の経過とともに、設備が老朽化してきたり、現代の最新の住宅と比較して暑さ寒さを感じやすかったりと、いろいろと暮らしにくさを感じてくるタイミングでもあります。
そういった暮らしにくさを改善することもリノベーションの大きな目的になります。
・キッチンやお風呂などを最新の設備にリニューアルする
・二重サッシを取り入れて断熱性能を改善する
・耐用年数が迫っている給排水管を交換して漏水のリスクをへらす
・戸建て住宅なら地震へのリスクを下げるために耐震補強をする
などを行うことで快適性や安全性を向上して暮らしやすい住まいにすることが可能です。
老後を見据えたバリアフリーリノベーション
老後、体力が低下することを見据えてバリアフリーを意識したリノベーションを考えることも大事です。
・玄関やトイレ、お風呂など立ったり座ったりする場所に手すりを設置する
・室内全体の床の段差をなくす
・少ない移動で家事が行えるように家事動線を見直す
・開き戸を引き戸に変更して楽に開閉できるようにする
・滑りにくい床材に張り替える
・つまずきがちなバルコニーとの行き来を少なくするため室内干しの場所を作る
・室内の寒暖差を少なくしてヒートショックを防ぐために断熱や空調を見直す
などバリアフリーのための手段は色々とあります。
まずは“優先順位”を決めましょう
目的によってリノベーションでできることはさまざまです。一つの目的だけでなく、同時にいくつかの目的を満たす必要もあるでしょう。
とはいえ予算面ですべてを実現するのは難しい場合もありますので、やりたいことの“優先順位”をつけることが大切です。優先順位はご家族それぞれで違うこともあります。そのため、まずはご家族で「リノベーションで何を優先したいか?」をざっくばらんにお話しされることからスタートしましょう。
50代からのリノベーション事例
50代から取り組んだリノベーション事例をご紹介します。どのようなご希望があって、それをどう叶えたのか、じっくりとご覧ください。
思い出と趣味を楽しむブックカフェ風インテリアとギタールームのある暮らし
築29年のマンションをフルリノベーションし、ご夫婦がこれからを楽しむ空間にしました。ご結婚以来、息子さんの成長を見守りながら過ごした思い出の詰まった住まいを、奥様のこだわりを反映してブックカフェ風のインテリアに。ご主人の趣味であるギターを収納できるスペースや、自宅で練習ができる遮音対策を施した専用の部屋も設け、快適な暮らしを実現しています。
お手入れ簡単!好きなインテリアに囲まれたシンプルを楽しむ住まい
築24年のマンションをフルリノベーションし、老朽化した設備を一新。お子さんの独立を機に、ご夫婦二人が快適に過ごせる住まいを目指しました。収納の場所・大きさ・カタチを見直していつでも整う住まいに。間仕切り壁を取り払い、オープンキッチンにすることで使い勝手も向上。お手入れも簡単な快適な住まいに生まれ変わりました。
新生活に合わせた快適リノベーション~回遊動線と断熱性で心地よい住まい
長年住んで設備の老朽化が気になり始めた住まいを、夫婦二人の新たな生活スタイルに合わせてリノベーションしました。床の構造を改善し足元の冷えを解消。窓にはインナーサッシを入れて断熱性を向上しました。家事をスムーズにする回遊動線がそのまま光と風の通り道になって、家中どこにいても快適に過ごせます。同居する息子さんのお部屋は、将来書斎や来客スペースとしても活用できるプランです。
50代からのリノベーションの費用と資金計画
暮らしに合わせて住まいを造りかえるリノベーションは、設備や内装など古くなった部分を元に戻すリフォームに比べると費用はかかりがちです。ここからはリノベーションの内容による費用の目安と資金計画のポイントを説明します。
リノベーションにかかる費用は?
東京でのフルリノベーションの費用相場は1㎡あたり税込20万円~22万円程度が目安になります。例えば、65㎡なら1,300万円~1,430万円くらいが目安です。
ただし、キッチン、お風呂、洗面、トイレといった水回り設備を標準的な商品に全て交換した場合300万円~350万円程度かかるため、面積が小さい場合には、「水回りの費用+それ以外の部分の工事1㎡あたり18万円程度」の計算で考えてみてください。
例)40㎡なら、350万円+40㎡×15万円=950万円程度
資金面でフルリノベーションまでは難しいという場合は、元々のお住まいでそのまま利用できる部分を活かす「部分リノベーション」も選択肢として有効です。
築年数の新しい物件や、過去にリフォームをして部分的に設備を交換している場合は、設備はそのままに、LDKだけをリノベーションするといった方法がとれます。
例えば500~600万円の予算でリビングを重視したリノベーションをする場合、
・リビングに隣接する和室をリビングと一体にして広々空間に
・キッチンをお気に入りのものに変更
・オリジナルの造り付けの棚をつくる
・リビングの入り口扉をオシャレに変更
といったことが可能です。
資金を用意する手段と注意点
自己資金で賄う
一番シンプルかつ確実な方法です。ただし、工事費用を全額賄う資金があるとしても、今後かかるであろう費用を圧迫してしまうことがないように注意をしましょう。老後の資金であったり、将来的な再度の設備リニューアルのための資金であったり、趣味を楽しむための資金であったり。そういった将来にわたってリノベーション以外にかかる費用も考えた上で、自己資金でいくらまで賄うのが適切かを検討しましょう。
リフォームローンを利用する
リフォーム工事費用を目的としたローンを利用するという方法です。有担保型と無担保型があり、現在のお住まいの住宅ローンを返済途中の場合は、新たな抵当権設定が必要ない無担保型のほうが借り入れはしやすくなります。有担保型は無担保型にくらべて借入上限度額や返済期間が緩和されることが多いですが、住宅ローンの返済中の場合は追加で抵当権を設定することができず、借り入れが難しい場合もあります。
注意点としては、住宅ローンに比べて、金利は高め2%~4%台、返済期間は短く最長20年くらい、借入額の上限が1,000万円程度、と制限があることです。
金利が高く、借入期間が短いと月々の返済負担は増えます。またフルリノベーションでは1,000万円を超えることもあるため、借入可能額の上限を超える場合はその分を自己資金で賄う必要があります。
また、返済期間が定年後にかかることも想定されるため、定年後の返済計画も念頭にローンを組むことが大事です。
住宅ローンの残債とまとめて借り換える
物件購入時の住宅ローンの支払いが残っている場合は、残りの住宅ローンとリフォーム費用を合わせて、住宅ローンの借り換えをするという方法を取ることも可能です。住宅ローンはリフォームローンに比べて金利が低い(変動金利で0.4~1%程度)ため、月々の返済額を抑えることができます。
注意点としては、借り換えの際には諸費用(事務手数料、抵当権抹消および設定費用、繰り上げ返済手数料など)がかかることです。住宅ローンの残債が少ない場合やリフォームローンとの金利差が小さい場合は、リフォームローンと比較して月々の支払額は抑えられても、諸費用を含めた総費用でみたときに、リフォームローンを借りるよりも負担が増えてしまうことがあります。
また、借り換えの際には2つの金融機関と同時に手続きを進めなければならないため手続きが複雑になります。
リフォーム費用を含めた借り換えを検討する際は、借り換えにかかる諸費用や、手続きにかかる手間まで含めて、トータルでメリットがあるかどうかを確認しましょう。
リバースモーゲージという手段も
リバースモーゲージとは、自宅を担保にしてお金を借りる仕組みです。60歳以上で利用できることが一般的ですが、金融機関によっては50代から利用可能なところもあります。用途としては、老後の生活費や医療費などの資金を確保するために利用されることが多いですが、リフォーム資金として利用することも可能です。
通常の住宅ローンでは、家を購入するためにお金を借り、毎月返済を行いますが、リバースモーゲージはその逆で、家を担保にお金を借り、借りたお金は原則として毎月返済する必要がありません。その代わり、借りたお金は自宅を売却する際や、借主が亡くなった際に一括で返済される仕組みです。
メリットは、自宅に住み続けながら資金を得られる点にあります。家を手放すことなく、必要な資金を確保できるため、毎月の返済負担がないことは大きな安心材料です。
ただし、デメリットもあります。例えば、家の価値が下がった場合、売却時に借入額が家の売却額を上回るリスクがあり、その場合は負債が残る可能性もあります。また、家を担保にした借入のため、最終的に家を売らなければならず、家族に残せる財産が減少する可能性もあります。
リバースモーゲージはリフォーム資金を賄う一手として有効な選択肢ですが、デメリットもあるので、ご自身や家族の将来を考慮して慎重な検討が必要です。
資金計画は将来も見据えて入念に検討を
50代は、定年後が見えてくるライフステージということもあり、現在置かれている状況や、これまでの資金形成、老後資金の準備状況などによって、リノベーション費用を準備するのに適した方法は人それぞれ異なります。
また、昨今の状況としては、物価高や職人さんの人件費の上昇に伴うリノベーション費用の上昇、2024年3月の日銀の金融緩和政策の転換に伴うローンの金利の上昇など、リノベーションに関わる費用全体がじわじわと上昇していく傾向にあります。
そのため、資金計画は入念に検討しましょう。その際に、資金計画に不安がある場合には、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に、現在から将来にわたって家計全体を見通した資金計画を相談することをおすすめします。
まとめ
50代からのリノベーションは、老後を見据えた人生の第二ステージをより豊かにするためのイベントです。
50代は人それぞれ置かれている状況もことなるため、ご自身たちのリノベーションの目的や資金計画を考えた上でスタートするのがリノベーションの成功のポイントになります。
- ご自身の現在状況、今後のライフプランを考える
- リノベーションの目的を明確にする
- 定年後も見据えた資金計画を立てる
特にこの3点を意識して検討を進めてみてください。
リノままでは、これまで50代や60代の方々のリノベーションを数多く手がけてきています。ベテランの設計スタッフが、自身の経験も踏まえて、お客様の将来の暮らしを一緒に考えていくというのが特長です。50代を迎え、ライフステージの変化に合わせてより良い住まいへのリノベーションをお考えの方は、ぜひリノままへご相談ください。
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