理想の住まいを作る!リノベーションプラン~成功の秘訣と注意点
- 公開日:2024.9.9
- 更新日:2024.9.9
リノベーションは、既存の建物を改修し、新たな価値を付加するプロセスです。リフォームが単に古くなった部分を新しくする作業であるのに対し、リノベーションは空間の使い方やデザインを根本的に見直し、新しい機能や美しさを追求します。
そのようなリノベーションの性質上、「プラン」は表面的なデザインのみならず全体の施工や仕上がり品質も含めて、リノベーションの成功を左右する重要なポイントと言えます。
リノベーションプランは基本的にはリノベーション会社の設計士や営業担当者が主体となって検討することではありますが、施主の考えがプランのベースとなるため、施主にとってもリノベーションプランの基本的なことを理解しておくことはリノベーションを成功させるために必要不可欠です。
この記事では施主が知っておいたほうがよいリノベーションプランの成功の秘訣と注意点を5つに絞ってご紹介します。
- 明確な目的を持つ
- 予算と現実のバランスを取る
- リノベーションプランの要点を知る
- 法律面、管理規約等での制約がある
- 設計士や営業担当者とのコミュニケーション
リノベーションプラン 成功のための秘訣と注意点
1.明確な目的を持つ
新築でもなく、リフォームでもなく、リノベーションをしよう!と決断するには、理由があるはずです。子供が成長して部屋が必要になった、子供が巣立って夫婦二人で広々と暮らしたい、毎日の家事をストレスなくこなしたい、物が散らかった部屋をすっきりさせたい、などなど。
リノベーションでやれることは多くある分、あれもこれもと希望が膨らむと、リノベーションのテーマがぶれて、設計士にも意図が伝わりにくくなってしまいます。また、リノベーションは限られた”器”の中で、さまざまな要素を組み立てていくプロセスでもあります。そのため目的をしっかりときめておかないと、結果として中途半端なリノベーションになってしまいかねません。
リノベーションの目的を定める際には、夫婦や家族で十分に話し合い、共通の“軸”を持つようにしましょう。
明確な目的を持ち、それを共有することで、プラン段階で取捨選択が必要となった際にも、間違いない判断がしやすくなります。
2.予算と現実のバランスを取る
リノベーションには当然ながら予算があって、その予算内に収まるようにプランを作っていきます。ただし、要望が膨らみすぎてしまうと予算オーバーになることも。
予算オーバーを防ぐには、最初に予算の上限をしっかりと決めましょう。リノベーションは工事規模も大きくなる分、予算も数百万円単位でかかることがほとんどです。小さな金額ではないので、単純にリノベーションのことだけでなく、家計全体から見て、適正な予算を決めるのが無難です。また、予算を用意する方法も、自己資金、リフォームローン、現在の住宅ローンの借り換えなどいくつかあります。ローンは借り入れ条件も金融機関毎に異なるため借入可能な上限額も変わってきます。予算を決めるのに不安がある場合には、リノベーション会社の担当者やファイナンシャルプランナーによく相談をして決めることをお勧めします。
次にリノベーションでやりたいことの優先順位をつけましょう。全ての要望を完璧に満たそうとすれば予算オーバーの可能性は高まります。予算オーバーを防ぐには、やりたいことの中で一番大切なことを優先して、希望と現実の間での妥協点を見つけることが重要です。例えば、快適に過ごせるLDKをメインに手を加えて寝室は壁紙の張替えだけにする、水回りがまだ使えそうなら水回りには手を加えないといった具合にリノベーションの内容にメリハリをつけましょう。
なお、やりたいことの優先順位を決める際には、初期コストはかかっても長期的に見てコスト削減になることは上位に置くことも考えてみましょう。例えば、高性能な内窓を設置することは、将来的な冷暖房費の削減や快適な室内環境につながります。
またなるべくなら、予算をぎりぎり上限まで組まずに、多少の予備費を持っておくことも大切です。リノベーションは事前調査の段階で見えない部分まで可能な限り調査をしてプランを進めることが前提ですが、解体をしてみて想定外のことがわかることもゼロではありません。また、現在は一定のリノベーション工事ではアスベストが含まれている建材が使われていないかの調査も義務付けられています。そこで万が一アスベストが含まれていることが判明するとその撤去費用に多くの予算が割かれて、リノベーションプランを大きく見直さなければならないことにもつながりかねません。予備費を確保しておけば、不測の事態が発生した際に大きな計画変更をせずに乗り切ることができます。
3.リノベーションプランの要点を知る
あらかじめ「リノベーションのプランでこんなことができる」ということを知っておくと、自身でやりたいことを考える際や、設計士や営業担当者との打ち合わせをスムーズにすすめることができます。そのようなリノベーションプランの要点をいくつかご紹介します。
・既存の空間を最大限に活用するための工夫
例えば、寝室は寝るだけの場所と考えれば、ベッドを置いて通路が確保できる広さがあれば十分で、既存で7帖のお部屋を5帖くらいにしても支障なく快適に過ごすことも可能です。その分削れたスペースをウォークインクロゼットにあてがうなどすれば、全体として空間を有効利用できます。
〇元々約6帖の洋室を約4.5帖の寝室と土間収納にしたプラン事例
・動線の工夫
日常生活で使いやすい動線を考えてみましょう。小さなお子さんがいる家庭では、外で汚れて家に帰ってきたら、玄関から脱衣所に直接アクセスできる動線も便利です。洗面所(洗濯機置場)~キッチンへの通り抜けができると家事の効率化にもつながります。動線を考える際には、普段の暮らしで「ここがこうだったら便利なのにな…」という視点で振り返ってみることも有効です。
〇玄関土間~ウォーキングクローゼット~洗面所へつながる動線。玄関でコートを脱いで花粉を室内へ持ち込まない工夫をしたプラン事例
・多機能なスペース作り
一つのスペースに複数の機能を持たせることで、限られた面積を有効活用することもできます。普段は書斎として使うスペースを来客時のゲストスペースとして併用する、ワークスペースの使い方を考えて、区切る必要がないならリビングの一角にオープンなワークカウンターを設ける、小上がりを設けるならその下のスペースを収納にするなど、アイデアは数多くあります。
〇お子様の勉強や、家族のPC作業の場に多用途に使えるリビングのワークスペース。
・美しいデザインと機能性のバランス
見た目の美しさはもちろん大事ですが、そこばかりに目が行ってしまうと、普段生活する中で使い勝手が悪かったり、傷みが早くてメンテナンスが頻繁に必要だったりといったマイナス面も引き起こしてしまうこともあります。これらのポイントは暮らしてみないとわからないこともあるので、経験豊富な設計士の意見を取り入れて、デザインと機能性のバランスの取れたプランを検討しましょう。
・全体のデザインコンセプトを一貫させる
家全体の統一感を持たせることで、落ち着いた空間を作り出す事ができます。それには素材選びと色彩計画が重要です。まずは、デザインテーマを決めて、素材の質感や色合いが空間全体の雰囲気に与える影響を考慮しながら、フローリングの種類、壁の色合い、家具の素材選びなど細かい部分を決めていきましょう。デザインは人それぞれ好みが分かれることが多い要素でもあります。家族内でも好みが分かれることがありますが、相反するデザインをそれぞれが希望するとまとまりのない部屋になってしまうので、ある程度家族内で要望を集約しておきましょう。
〇白を基調としたインテリアでデザインを統一した、上質で洗練されたモノトーンの空間。
・エネルギー効率を高め快適な住環境をつくる
マンションは構造的に気密性が高く、エネルギー効率が高い作りになっています。だた、西日が長く射す部屋や、最上階にある部屋は太陽熱でコンクリートが暖められて暑くなりやすい傾向があります。対策としては高性能な内窓を設置したり、断熱材を敷設したりするといった方法があります(特に築古の物件では断熱材が入っていないこともあり断熱工事は必須)。一方で1階の部屋や2階でも下階が駐車場で外気にさらされているような構造の場合は、地面や外気の寒さが足元から伝わりやすい傾向があります。その場合は、床を直張りから空気層を挟む置き床にする、床下に断熱材を施するなどの対策が有効です。
また、間取りの点からは、部屋の仕切りや室内窓の設置などの工夫で、風通しを良くしたり、1台のエアコンで効率的に冷暖房を効かせたりといったことも可能です。
断熱工事は見えない部分なので、ここに予算をかけることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。ただ、断熱をしっかりすることで住環境は大きく変わりますので、断熱が不十分な場合はプランの段階でしっかり検討することが大切です。
・将来の変化に対応するプラン
今の生活だけでなく、将来のライフスタイルも考慮にいれたプランも重要です。
例えば、子供が小さいうちは子供部屋を作らず広々としたLDKにし、将来的に子供部屋が必要となった時に壁が建てられるように壁や天井の中に下地を組んでおくといったことが考えられます。
また、住まいには経年変化もつきものなので、日々のメンテナンスや将来的な設備更新のし易さなども予めプラン段階で考えることになります。例えば、無垢のフローリングを使いたいなら、定期的にオイルを塗る、傷つきやすい樹種もあるなど、この先どのように素材と付き合っていくかメンテナンス方法もあらかじめ知っておくと、安心して採用することができます。
〇玄関からつながる広いホールを設けた事例。お子様が小さい時は遊び場として、成長したら子供部屋に。
4. 法律面、管理規約等での制約がある
リノベーションでできることは多いとはいえ、建築基準法や各種規制、マンションであれば管理規約などを遵守することは大前提となります。
特に戸建の場合は、構造面でのリノベーションも可能な反面、耐震基準や防火基準、増築なら面積の制限、それによっての許認可の必要性など、様々な面での法的な基準をクリアする場面が多くなります。また、マンションでは工事ができるのは専有部分に限られるので、コンクリートの構造部分や、共用部給排水管、サッシ、バルコニーなど共用部分に該当するところに手を加えることはできません。予め管理規約で共用部分がどこかを確認して、その制約の中でリノベーションのプランニングを進めることを念頭に置いておきましょう。
5. 設計士や営業担当者とのコミュニケーション
リノベーションは今ある空間の使い方やデザインを根本的に見直し、暮らしを改善するプロセスです。そのため、依頼者の暮らし方や予算を聞いて、具体的なプランに落とし込んでいく設計士や営業担当者が重要な役割を担っています。
リノベーションのプランを成功させるには、信頼できる設計士や営業担当者を選ぶことがまず何より大切です。ホームページ等でこれまでの施工事例や口コミをチェックしたり、実際に会って話を聞いたりして、依頼先は慎重に選びましょう。
関連記事:「信頼できるリノベーション会社の選び方 6つのチェックポイント」
また、リノベーションのプランニングは、設計士や営業担当者との協同作業です。どちらかの意見を一方的に押し付けるのではなく、対等なコミュニケーションとチームワークでプランを作り上げていくのが理想的な進め方です。
リノベーション会社を選ぶ際には、要望を踏まえて、実体験なども織り交ぜながらより良い提案をしてくれているか、その会社の担当者のこだわりにひっぱられていないか、などを意識して話を聞いてみましょう。
なお、ネットや雑誌等で施工事例をたくさん見たり、リノベーション経験者の話を聞いたりして、「こんな住まいにしたい!」と希望を持つことは大事です。ただ、事例や人の話を元に、細かい部分にまでその実現に固執しすぎると、結果として全体のバランスが崩れて、なんとなく違和感を感じる空間であったり、使い勝手の悪い住まいになってしまったりするリスクもあります。
プランは微に入り細を穿つようにすべて自分で決めようとはせず、専門家である設計士や営業担当者にある程度ゆだねるのも成功の秘訣です。
プランニングの流れ
ここからは、私たちリノままを例に挙げて、プランニングの流れについてご説明します。いつの段階でどんなことを決めるのかを予め知っておくと、慌てずにプランニングを進めていくことができるでしょう。
※リノままの標準的なプランニングの流れです。工事内容によっては打ち合わせ回数や決めごとが変わることもあります。また会社毎に流れも少しづつ異なりますので、初期の段階で流れを確認してください。
まとめ
リノベーションを成功させるためには、プランニング段階で検討が必要なことを予め理解しておくことが大切です。特に、明確な目的を定めて、その目標を軸に一貫したプランニングを進めていくことがポイントです。
そして何よりの成功のカギは「設計士や営業担当者とのチームワーク」です。ここにまとめた成功の秘訣や注意点を元にして、信頼できる専門家と一緒にリノベーションプランニングの過程そのものをぜひ楽しんでください。
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