2022年新制度版「住宅ローン減税」にまつわるよくある誤解<②知らないと損する!要注意!実践編>

さあ家を買おう!
多くの方は「住宅ローン」を使って家を買います。
そしてなんとなく知っているのが「住宅ローン減税」という制度。

でもこの制度、誤解している方も多くて要注意!

昨今は制度の変更が毎年のようにおこなわれているので不動産業者なんかでも誤解しているケースも散見されるもの。

「使えない」なんて思っていても、よく調べたらしっかり減税を受けられるケースもあれば、「住宅ローン減税」をあてにして物件を買ったのに実は使えなかったなんてケースもあります。2022年以降に住まいを購入する方は特に要注意です!

物件を決める前に必ずおさえておきたいポイントをいくつかあげてみました。

今回の記事はこの制度が「使える/使えない」に直結する実践編です。

高原太郎

[著者]

高原太郎

宅地建物取引士。映画館勤務を経てリノベーションへ。リノままの一員として多くのお客様の住まいづくりに関わる。

著者の詳しいプロフィール

<2022年1月28日更新>

前回の基本編のおさらいはまずはコチラから↓

2022年新制度版「住宅ローン減税」にまつわるよくある誤解<①あまり教えてもらえない基本編>

1.古い物件って「住宅ローン減税」は使えない?あきらめるのはまだ早い!


>リノベーション事例「ふたりだけの景色」|リノまま

気に入った物件が築40年超えの古い物件だった、「住宅ローン減税」はあきらめよう、そんなこと思っていませんか?

確かに「住宅ローン減税」の条件では、「1982年(昭和57年)以降に建築された住宅」という条件があります。

これは以前の「耐火建築物は築25年以内、その他は築20年以内」という条件よりはかなり緩和されています。

とはいえ築40年超えなど、いわゆる「旧耐震」の物件を購入する方にとっては、悩ましいところでしょう。

でもあきらめるのはまだ早い!

 「住宅ローン減税」の築年数を定めた条件のところをよく読んでみてください。

「耐震基準に適合する建物」という条件もあります。

そうです、築40年、築50年を超えるような「旧耐震」の建物でも、建築士による「耐震基準適合証明書」が取得できれば「住宅ローン減税」の対象になりうるのです!

もちろん、専門の業者に依頼して調査してもらうので、数万円の費用はかかってしまいますが、それだけで「住宅ローン減税」が使えることになりますし、他にもこの「耐震基準適合証明」があることで税金はいろいろと安くなります。「旧耐震基準」の物件なので、確率は低いものの「耐震基準適合証明」が取得できる物件はちょこちょこ見かけます。

この「耐震基準適合証明」が発行できる物件かどうかは購入する前に確認できます。

ただ必ず、物件があなたのものになる「前に」取得しておく必要があります。

後から証明を取得するのでは、「耐震性に問題がない物件を選んで取得した」ということにならないからです。

以前別の記事でも書きましたが、国や自治体は「新耐震」や「耐震性のある」とされる建物をできるだけ優遇して、広く流通するようにしようとしています。

だからこそ「耐震基準適合証明」については物件を選ぶ段階でチェックしていて、「耐震性がある」物件を選んで取得した方だけが「住宅ローン減税」の対象になるのです。

早めに知っておかないとなんか損した気分になってしまいますね。

古い物件を買うからといってあきらめないで不動産会社に問い合わせてみましょう。

また、この「耐震基準適合証明」ですが、よくフラット35のローンを利用するための「適合証明」と間違われやすいです。

でもフラット35の「適合証明」があるからといって、「住宅ローン減税」が使えるわけではありませんので要注意!

不動産会社でも間違えてご案内しているケースも散見されます。

問い合わせてみるときは「住宅ローン減税に使うための耐震基準適合証明はとれますか」と「目的」まで伝えるようにしてくださいね。

最後にもう1点、今回の制度改正でいたるところにでてくる「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」への優遇について。

前回の記事でも書いたとおり、残念ながら今のところ中古物件の売買ではなかなかお目にかかれません。今後、建築時に「住宅性能評価」をうけているような年代の物件の売買が進んだり、中古物件でも「既存住宅性能評価」を取得するのが一般化したりする可能性もあります。

ここに出てきた「新耐震/旧耐震」の問題と同じように、「省エネ性能」が物件の資産価値を左右するような時代がくるかも知れません。少なくとも税制の点ではどんどん「新耐震」+「省エネ」を優遇する方向へ進んでいますので。

2. 「住宅ローン減税」を使うなら「広さ」に細心の注意を!


>リノベーション事例「自由なひと部屋」|リノまま

「住宅ローン減税」で一番の「壁」になるのは住まいの「広さ」です。

これも適用条件の中に「50㎡以上」という要件が入っています。

この「広さ」だけはどうすることもできません。

「よしよし、どうにか50㎡以上の物件をみつけた、51㎡って書いてあるから大丈夫だろう!」

なんてあなた、ちょっと待ってください!!!

実は不動産の「広さ」は測り方によって異なります。

「住宅ローン減税」の要件にある「広さ」とは登記簿上の広さのこと。

「内法」(うちのり)といって、壁の内側(要は居住スペースの部分のみ)を測った「広さ」です。

これは、みなさんがよくみているSUUMOやHome’s、at homeなんかに記載の「広さ」とは異なります。

不動産の広告でよくみる「広さ」は「壁芯」といって、壁の中心を起点にして測った「広さ」です。

さて、この「広さ」、不動産の広告でみた広さと登記簿上の広さ、どっちが広いでしょう?

皆さんお分かりですね。

当然ながら壁の中心を起点にした「壁芯」の広さ、すなわちSUUMOなんかで見る広さの方が広く計測されます。

そうすると不動産の広告でみた「51㎡」なんて表記のある物件は、登記簿をみると「48㎡」だった、なんてことはザラにあります。

どうしても登記簿上の広さは少し狭くカウントされてしまうので、「住宅ローン減税」を使いたい、という方は55㎡くらいまでの住まいを購入しようとするときには必ず登記簿上の広さも確認しておくようにしましょう。

「古い」物件ならば「耐震基準適合証明」がとれれば何とかなりますが、「狭い」物件だけはどうすることもできませんので。

※2021年時点では一定条件を満たせば中古の「40㎡以上50㎡未満」の物件も住宅ローン減税の対象になっていましたが、2022年の制度改正で「40㎡以上50㎡未満」の物件については一定条件を満たす「新築物件」のみが住宅ローン減税の対象となる見込みです。

 詳しくは「国交省 住宅ローン減税」といった言葉で検索して政府からの発表をみるようにしてみましょう!

3. 夫婦共有で住まいを買うときの「住宅ローン減税」ってどうなる?


>リノベーション事例「リミックス・リノベ」|リノまま

改めておさらいすると、「住宅ローン減税」は、住まいを買うためにお金を借りた(=住宅ローンを組む)人が、その人が支払う所得税や住民税をまけてもらう、という制度です。

なので、物件はひとつでもその物件に住んでいてお金を借りた「人」が複数いれば、それぞれ制度を利用することができます。

今や7割近い夫婦が共働きという時代。リノままでもご夫婦の共有名義で住まいを購入する方が多くいます。こういったご夫婦の「共有」の場合、多くの方が住宅ローンについてもご夫婦で組んでいます。

そんなとき、ご夫婦でうまく住宅ローンを組んでいれば、「住宅ローン減税」についても夫、妻と2人分使用することができるのです。

例)4000万円の物件を買って、夫と妻で50%ずつ所有

 購入諸経費は夫と妻で半分ずつ現金で支払い 

 物件代4000万円に住宅ローンを活用する場合

 ※わかりやすくするために、「年末に」「中古の」「通常の」住宅を一般の方から購入してすぐに住み始めた場合を想定します

A 夫、妻それぞれがお金を借りる「ペアローン」を利用

夫名義で2000万円、妻名義で2000万円の住宅ローンをそれぞれ組むことになりますので、住宅ローン控除は2名分

  夫 2000万円×0.7%=14万円 以後年末残高に応じて10年分控除あり

  妻 2000万円×0.7%=14万円 以後年末残高に応じて10年分控除あり

B 夫・妻の共同名義でお金を借りる「連帯債務」を利用

夫・妻の連名で4000万円の住宅ローンを組むことになります。物件は夫婦で50%ずつ所有しているので、夫2000万円、妻2000万円の住宅ローンを組んでいるのと同等の扱いになります。   

   夫 4000万円×持分50%×0.7%=14万円 以後年末残高に応じて10年分控除あり

   妻 4000万円×持分50%×0.7%=14万円 以後年末残高に応じて10年分控除あり

C 夫名義で4000万円の住宅ローンを組んで、妻は「連帯保証人」になる

住宅ローンとしてはあくまで夫単独名義となってしまいます。そのため、住宅ローン減税は夫の分しか利用できませんし、中古住宅なので住宅ローンの残高が2000万円より多かったとしても、それ以上の分は控除対象になりません。

 夫 上限2000万円×0.7%=14万円 以後年末残高に応じて10年分控除あり

どうでしょう。AやBのようにご夫婦それぞれが借金の名義人=要は「債務者」になっていれば、2人分住宅ローン減税を活用することができます。

ただ、Cのようにあくまで名義人ではなく「連帯保証人」という位置づけではそうはいきません。

ご夫婦両方の収入を前提に住まいを購入する方については

・物件をお二人の共同所有にする

・お二人ともに「債務者」になる形で住宅ローンを組む

という方法を使えば、住宅ローン控除も二人分利用することができるので、住宅ローン控除の上限額を超えて借り入れる方は少しお得です。

上の例のように4000万円借りても、夫・妻いずれかの単独名義でお金を借りていれば2000万円×0.7%=14万円が住宅ローン減税額の上限になってしまいますが、2000万円ずつ二人で借りていれば2000万円×0.7%×2人分=28万円まで減税額の上限があげられますので。

もちろん、必ずしもご夫婦で住宅ローンを組むのがよい、ということではありません。

ご夫婦ふたりの収入前提にするとついついお金を借りすぎてしまうケースが散見されます。この先、出産・子育てなどを予定されている方は特に、ご夫婦どちらかの「収入が減る/なくなる」時期がでてくる可能性もあります。そんなことも加味して慎重に検討するようにしてくださいね。

4. まとめ

みなさんが何となく知っている「住宅ローン減税」。

誤解していたことはありましたか?

結構複雑な制度だな、なんて感じましたか?

こういった制度は毎年のようにいろいろな変更が繰り返されています。

しかも国税庁なんかに記載してある文章は厳格にルールを書いてあるから非常に難しくて読みづらいです。

あまりこういった「減税」や「助成金」といったものを気にしすぎずに、まずは「自分たちの暮らしのために一番よさそうな住まいを選ぶ」というシンプルなことに集中した方が「物件探し」も「リノベーション」もうまくいきます。

「なんとか住宅ローン減税が利用できる物件だけを探して、立地や広さに少し不満があるけと我慢した」、というよりも「自分たちの暮らしのコンセプトにみあった物件を選んだら、たまたま住宅ローン減税が使えたから資金計画が少し楽になった」という順番で考えた方がその後の暮らしが楽しくなりそうではないですか?

あなたが「この住まいでこんな暮らしがしたい」って決断したとき、複雑な制度を少しでも有利に活用できるようにアドバイスするのはパートナーとなる会社の役割。

そんな風に割り切って信頼できるパートナーをみつけておくのをお薦めします。


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