ARTICLE壁のリノベーション 様々な素材やデザインのアイデア
- 公開日:2016.7.28
- 更新日:2023.12.20
新築マンションの内装の壁は、プラスターボードにビニールクロスを貼って仕上げられているものがほとんどですが、リノベーションでは、もっと自由に壁をデザインできます。
この記事では、様々な壁の仕上げや壁を飾る/壁を機能的に使うといったアイデアをあげていきます。
目次
壁の仕上げの種類
壁がどんな素材で仕上げてあるか、でお部屋の印象は大きくかわります。デザインや壁の装飾についてみていく前にまず、壁の仕上げの種類をみてみましょう。
クロス貼り
最も一般的な壁仕上はクロス貼りです。
お住まいの壁は通常、プラスターボード(石膏ボード)と呼ばれるボードを骨組みとなる柱やコンクリートの躯体壁に固定して「下地」をつくっていきます。
この下地の上にクロスを貼り付けていきます。なので、クロスを交換する際にはこの「下地」の状態やクロスそのものの「厚さ」によってきれいな仕上がりになるかどうかが大きく変わってきます。
凹凸なくキレイにクロスが貼られた壁にしたい、というときは下地の状態やクロスの厚みにも注意しておきましょう。
「クロス」というと一般的には「壁紙」と同様の意味で言われていますが、実は素材は様々です。新築マンションなどで壁仕上に使用されるのは「ビニールクロス」と呼ばれるものですし、文字通り紙の素材でできたもの、布素材のものなどもあります。
塗装したような質感のクロスもあれば、さまざまな素材やガラをプリントしたクロスなどもあって、想像以上に選択肢の豊富さに驚くことでしょう。
柄やカラーのバリエーションが豊富なのは、なんといっても輸入のウォールぺーパーです。下のアンティーク調の本棚の壁紙はテシードが扱っている輸入壁紙です。我が家が一気にクラシックなライブラリー空間に変身します。比較的手軽に部屋の雰囲気を変えられる、具象柄から抽象柄まで豊富な柄がそろうなどもクロスならではの利点です。
壁紙やクロスについてもっと知りたい方はコチラへ
躯体あらわし
最もシンプルな仕上げが、今まであったボードなどを撤去して、躯体を素地のまま露出させたコンクリート現し(あらわし)にする方法です。
躯体は普通、表面の補修などをしません。不陸や型枠の跡など、でこぼこが残っているのが一般的です。コンクリート現し(あらわし)仕上げは、そうした無機的なコンクリートの素地そのものの味わいを楽しむインテリアです。表面をパテ処理や上塗りなどで仕上げて、独特のシャビーな風合いを出すことも可能です。
壁だけではなく天井もコンクリートの躯体を露出させ、ダクトレールでインダストリアルなペンダント照明を下げるなどして年代モノの倉庫を改装したイメージを楽しむのもよし、あるいはナチュラルな無垢フローリングと組合わせてミニマリスト風モダニズムを演出するもよし、リノベーションならではの素材感にこだわった空間が実現できます。
塗装仕上げ
もっとプレーンなイメージを、という人にはプラスターボードの上からマットな塗料でペイントした塗装仕上げがお薦めです。
AEP(アクリル・エマルジョン・ペイント)などの水性艶なしアクリル樹脂塗装による白い壁は、クロス貼りなどにはないマットでフラットなイメージの壁面が実現します。プレーンな白い壁は、モダンなインテリアデザインの基本です。
さまざまなカラーの塗装壁も魅力です。ペイント壁の歴史が長い欧米の塗料が日本でも入手可能です。
カラー・ワークスが扱うイギリスのF&B(ファロー&ボール)は、天然の顔料を使ったChalky(チョークのような)と呼ばれている質感のある仕上がりが特徴のペイントブランドです。色の歴史が長いヨーロッパならではの微妙なニュアンスの色が選べるのも魅力です。揮発有機化合物ゼロの身体と環境に優しい安全性も高い水性塗料です。
アメリカのベンジャミン・ムーアも魅力的です。約130年前にブルックリンで創業された歴史ある塗料メーカーです。Do it youselfの価値観が普及しているアメリカでは、家のペイントも自分たちでするのが当たり前です。こうした伝統に裏づけられた、セルフリノベでも手軽に扱える使い勝手と高い品質、安全性が特徴です。3,600種類ものカラーバリエーションも魅力です。
いずれも実際のサンプルなどでカラーが確認できるショールームがあり、ペイント教室なども開催されおり、ペイント壁は思っている以上に気軽にチャレンジできるアイテムです。
タイル貼り
レンガタイルやモザイクタイルなど、タイル貼りとするのも選択枝のひとつです。新築マンションの内装ではあまり使われることはありませんが、リノベーションではキッチン、洗面台などを中心に様々なアイデアで使用しています。
塗り壁
漆喰(しっくい)や珪藻土(けいそうど)などの自然素材を中心とした塗り壁も魅力的です。
塗り壁は土のような質感の素材を壁下地の上に薄く塗っていく、というもので、リノベーションでは塗装と並んでDIYで取り組まれる方もいらっしゃいます。
塗り壁のお部屋にすると、素材のもつ調湿機能が働き、お部屋の湿気をすいとってくれたり、お部屋が乾燥しているときには湿気を吐き出してくれたり、と快適な環境をつくってくれます。
壁をデザインするリノベーションアイデア
ここまで様々な壁の仕上げをみてきました。
シンプルに家具などを引き立たせるにはあえて真っ白の壁にすることで、あまり飾りすぎない適度な余白が空間の広さを演出してくれます。
ただ、広いのっぺりとした壁だけだと、圧迫感もあるし、間の抜けた感じがしてちょっと寂しいな…なんて思うこともあるかもしれません。
いっぱいある壁だからこそ、上手く向き合って飾ったり、収納したり、アクセントにしたりして「ただの壁」だけではなく、工夫することで「意味のある壁」を作ってみるととても素敵です。
ここからは壁を使ったお部屋のデザインの手法をご紹介します。
ファブリックパネル
ファブリックパネルとは木製パネルの上から布生地などを貼り付けて作成するインテリア雑貨。北欧で生まれた素敵なアイテムです。
ファブリックパネルは布生地などで好きな部分を選んでつくることができますし、下の写真のように最近ではおしゃれな輸入壁紙などでもつくることができます。
私も打合せでよく壁紙のサンプルをとるのですが、おしゃれな柄のものなどはもったいないので、木のフレームに巻いてパネルを作ってみました!
左が壁紙でつくったパネル、右は頂きものの壁紙でできたノートです!
結構簡単ですので、トイレや玄関に気分で好きなものを飾ったりするのも良いですね。
グリーンや鏡、小物を使う
グリーンなどをかけたり、アクセサリーを変えたりすることで無機質な壁がガラっと変わります。
鏡などをつけることで広さや抜け感を出すこともできますね。
写真正面の壁はお隣住戸との間仕切り壁。
もちろん窓はありません。
そこに鏡をつけるだけでまるで向こうに部屋があるかのような解放感。
シンプルな鏡でなくても、今は絵のようなおしゃれな鏡もあります。
使い方によっては物もかけられたり、小物を飾れたりもするものがいっぱい。
少し木の素材を入れるとシンプルなナチュラル空間で無機質な壁が温かみのある壁になります。
フェルトガーランドを飾ってみたり
飾り棚やグリーンを下げたり、木のアクセサリーをつけたり。
「白い壁」ならではの楽しみ方はいろいろあります。
気軽に雰囲気を変えたいという方には、壁はシンプルに!というのもアリですね。
ただ、注意点として、壁にものを掛けたり、つけたりするのには画びょうや釘がさせる下地が必要です。
戸建てはあまり心配はいりませんが、マンションの場合は戸境壁がコンクリート壁で何も掛けれない!ということが多々あります。
そんなときには下地を入れる、ピクチャーレールなどの方法で解決することができますのでリノベーションの時に設計士に相談しておくようにしましょう。
壁を便利に使うリノベーションアイデア
書斎の壁や、キッチンやリビングの壁など、ものを置くスペースは無いけど小物を掛けてみたら便利かも。こういった壁を便利に利用するためのアイデアをご紹介します。
有孔ボード
子どもの頃に音楽室などでよくみかけた「有孔ボード」。その名の通り、小さな穴が整然と等間隔であいているボードです。リノベーションでは壁掛け収納のために使うことが多くなっています。
ワークスペースのカウンター前には写真や筆記用具などをかけられて、実用的な見せる収納に。
玄関脇にはアクセサリー小物、帽子やリュックまで必要な時にすぐ手の届くおしゃれな見せ方。
寝室にも壁1か所にあるだけで充電コードなど細々したものを整理する収納術にも。
有孔ボードも色が多種多様で、ペイントで塗ることもできます。
マグネットがくっつく壁
スチール製の壁をキッチンやトイレなどに貼ること自由自在にマグネットで収納。
今はマグネットアイテムもたくさんあるのでとても便利です。
使い方によって移動したり、掃除のときは取り外せたりするのが魅力です。
下の写真はテーブル脇の壁の下地がマグネットでできているもの。
一見普通の壁紙なのですがマグネットがつくようになっています。
ユニットバスなども壁にマグネットがくっつく為、最近ではマグネットの収納棚やタオル掛けなどをつけることも多いです。
コルクシート
壁の一部にコルクを貼って、写真を飾ったり、メモを貼ったりするのにたまに使うアイテムです。
お子様の勉強や、書斎カウンターなどの前一面に貼ることもあります。
ホワイトボードや黒板
ちょっとしたキッチンの脇やリビングなど。
家族が通るスペースにあるとコミュニケーションボードにも役立ちます。
ホワイトボードは何となく事務所っぽい感じがする…というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、リノベーションならリブ付の木枠で囲って飾り付けすることもできますし、写真のようなカフェにありそうな白以外の色も今はあります。
壁にチョークボードペイントといういわゆる黒板塗料で塗装をすると、チョークで絵や文字がかけるようになります。さらにマグネットペイントという鉄粉が入ったペイントを施せばマグネットもくっつくようになります。
チョークボードペイントの色の種類も沢山あります。
壁のカタチを変えるリノベーションアイデア
床から天井まで立つ壁。でもちょっとした加工を施すと雰囲気がガラリと変わります!そんな壁のカタチを変えてみるアイデアをいくつかご紹介します。
ニッチ
「くぼみ」という意味をもつ「ニッチ」。写真のように壁の一部をへこませてつくります。
一面壁を眺めると圧迫感がありますが、ちょっとしたニッチのスペースをつくると視線がニッチに行き、圧迫感も軽減され、奥行き感が生まれます。
ニッチだけタイルを貼ってみたり、小物を飾ったり、間接照明でライトアップなどしてもいいですね。
柔らかさを演出するR壁や空間を広くみせる斜め壁・低い壁
Rとは曲線のこと。ちょっと狭い玄関に曲線の壁をつくったりするだけで、空間の広がりと柔らかい印象が加わります。
斜めの壁をいれることで空間が広くみえる効果も出すことができます。
あえて上部をオープンにする低めの壁をつくると抜け感が出て開放的になります。
壁の素材を変えてアクセントにするリノベーションアイデア
壁の一部だけを他とは違う素材にするとアクセントになります。そんなアイデアをご紹介します。
無垢材のパネリング
フローリングのイメージが強い無垢材ですが、「パネリング」として壁や天井にも貼ることができます。
腰までの高さのキッチン壁に貼ったり、壁一面に貼ったり使い方はいろいろ、
壁もヘリンボーン貼り!なんてこともできます。
白やグレーなどのスッキリしたスタイルや、モノトーンのインテリアに少し木を加えることで冷たい印象が無くなり落ち着いた雰囲気にできます。 グレー色のモルタル、コンクリートとの色の相性も良いですし、ブラックのアイアンなどとのバランスも良いです。
アクセントクロス
クロスをお部屋の一面だけ、玄関の片面だけ、など一部だけ変わったものを使うとアクセントになります。
タイル貼り
なかなか壁一面をタイル仕上にすることは少ないかもしれませんが、キッチンや洗面の壁の一部をタイルにすると一気にオシャレな雰囲気になります。
小さなモザイクタイルなどから、レンガのようなブリックタイルなど種類がいっぱい。
かわいらしい雰囲気にも、スタイリッシュにラフなブルックリン風にもできます。
ガラスブロックや室内窓
アクセントがわりにガラスブロックやステンドグラス、窓などをつけるだけでも開放的になります。
室内窓について詳しく知りたい方は
⇒リノまま【知る・調べる】快適に暮らす工夫 ① ~風通しの大切さ~
まとめ
いかかでしたか?
床や天井は、施工面や機能面の制約(例えば遮音性など)が大きく、素材やデザインを全く自由に選ぶことは難しい部位です。
それに比べると壁は、インテリアの中でももっとも自由度が高く、壁の位置からその素材やカラーなど、かなり自由にデザインすることが可能です。
既にリノベーションされた方も、これなら自分でできそう!といった楽しみがいろいろあります。是非、DIYでもチャレンジしてみてくださいね。
これからリノベーションのお客様は、プランニングなどのタイミングでやってみたいことの希望を伝えておくと安心です。
そうすれば後で下地が無くて絵がかけられない…なんてこともありません。
ここで挙げた以外にもいろんなアイデアが設計スタッフの頭の中にはあります。
もっとファッションと同じようにインテリアも変える楽しさも知ってもらえると嬉しいです。